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原因不明の嘔吐症②*私は何も吐き出せなかった

ピーマンと卵の炒めものを吐いてから
何日か後に、大学生当時住んでたアパートの近くの内科を受信した

診察とお腹の軽い触診
先生は『胃もたれ』って言った

「これまでそんなことなかったのに?」
質問したいことはいっぱいあったけど、その日はそれで終わった

夏の終わりの秋のはじまりから
少しずつ寒くなって
薄手の長袖Tシャツを着る頃

まとまった食事はほとんど取れなくなっていた
お腹がすいて食べても、何分か後にムカムカが始まってキレイに吐いちゃうの

吐いたらすっきりした
そしていつも通りの私に戻れた

でも私の身体は痩せてった
もともと痩せてる私だったのに
もっともっと痩せてスキニーのズボンはユルユルになった

友達にも『どうしたの?また痩せた?』って聞かれちゃうの
挨拶するみたいに言ってくる
笑って

ご飯食べれてないの、吐いちゃうの、怖いの
聞かないで、

私も笑って答える
「うん。最近みかんしか食べてないの」
「モデルみたいでしょ」

本当にみかんしか食べれてなかった
そのときみかんは食べても吐き気がしなかった

でも本当のことは言えなくて
でも笑って答えれば
何も無かったみたいに、いつも通りだから
どうせ、挨拶みたいな会話だから

どんどん寒くなって、長袖Tシャツだけじゃ夜はちょっと冷えるようになった

私はいつもと変わらず飲み会に参加してた

具合が悪かったけど
具合が悪くないことにしたくって

飲み会に参加して、お酒を飲んでた

飲み会の途中でも気持ちが悪くなったかな
吐いてたかもしれない
もうはっきり思い出せないんだけど

そんないくつかの夜が続いた、ある夜

その夜は、いつもは吐いたらスッキリの私の吐き気はおさまらかった

吐いても吐いてもスッキリしなくて
ずっとずっとずっとムカムカムカムカ

アパートに帰ってからは、もう夜も遅い時間
ずっとトイレにいなきゃなんなくなった

アパートの薄ピンク色のトイレに向かって
何が起こってるか分からなかった

いつも1回で止まってたのに
吐き気はどんどん酷くなった

もう何も出てこない
吐くものがないから、余計苦しいの

ムカムカするのに
嗚咽するのに
何も出てこない

吐きたくて
ムカムカとめたくて
吐こうとして
嗚咽する

苦しいのがずっと続く
薄ピンク色のトイレに向かったまま
深夜0:00も回って、何時だったのか
・・これがいつまで続くの?お願い誰か止めて・・
私は自分で救急車を呼んだ

「吐き気が止まらないんです、もう何時間も吐いてます、」
「お願いします、お願い、来てください、」

一人暮らしのアパートに救急車を自分で呼んだ真夜中まっくら

私の原因不明の嘔吐症

それから10年以上も続くなんて

あの夜はそんなこと考えるはずもなかった

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