総合的な学習の時間〜教員7年目の考察〜 4 単元スタート前にすること①
1 はじめに
みなさん、5日間の旅行に行くとします。
何を準備して持っていきますか?
リュック、着替え、充電器、バスタオル、貴重品、歯ブラシ、コンタクトレンズ、トランプ…
キャリーケースや大きなカバンも必要かもしれませんね。
では、30日旅行に行くなら何を準備しますか?
え、30日も!?
と思われるかもしれません。
と同時に、そんなに長い間旅行に行くのに、何を準備すればいいのかわからない。
これは初任の頃、私が感じていたことと似ています。
例えば、国語の5時間扱いの単元があるとします。
総合的な学習の時間(以下総合)は、長いもので30時間を超えるものや学校によっては年間(70時間)を通して一つの単元で進めるということもあります。
総合的な学習の時間(以下総合)の単元を始めるときどんな準備がいるでしょうか。
何をすればいいでしょうか。
総合を始めようと思っている時にまず何をするべきなのか。
準備の一歩目をお伝えしたいと思います。
2 子どもたちの実態を知る 前年度の取り組みから
まず真っ先に、一番に、取り掛かってもらいたいのは「子どもたちの実態を知ること」です。
総合は、子どもたちの身の回りから課題を見つけるところからスタートします。
ですから、子どもたちがこれまでに何を体験してきたか、何を学んできたかをまずは調べます。
ここでいう「実態」とは、前年度までに何を学んできたかということです。
4年生だと3年生の総合の内容を。
3年生だと2年生の生活の内容を。
総合のもとは生活であり、生活のもとはこども園等の遊びです。
前年度の総合や生活で、
①どこに体験や見学に行ったのか
②どのような目的を持って活動したのか
③どのような相手に対して活動したのか
④どのような表現方法を選んだのか
⑤どのような情報の集め方をしたのか
などを整理しておくと、子どもたちの経験を活かしながら進めることができます。
「◯年生の時、〜〜にいったって聞いたけど、そのときどんなことが分かったの?」
3 子どもたちの実態を知る 情報源は?
どうやって子どもたちの総合の実態を調べたらいいのか。
ステップ①
総合の年間指導計画を見る
まず目をつけたいのは、年間指導計画です。
きっと学校の書類サーバの中のどこかにあるはずです。
これは更新されて続けているものがあれば、最高です。
今年度の終わりに、今年度仕様に書き換えたものがあると次の年度に担当する人は本当に助かります。
さらに、わたしの勤務校では、年度末に「総合の引き継ぎ会」を行った年もありました。
①年間指導計画を更新
②人材バンクの整理(使用した時期、連絡先)
③今年度の実践してみて良かった点、難しかった点
を一枚にまとめ、職員で研修します。
来年度新たに赴任された先生が総合を始める時の道標となれるような資料を目指します。
ただし、作成する側の負担になりすぎないように。
わたしはこの資料を常備して総合をしています。
また、総合の年間指導計画の作成については、別の記事で触れたいと思います。
年間指導計画は、学校の実態によって様々なので、まだ整理されていない学校もあるのが現実です。
期待できないようなら次の手段に進みます。
ステップ②
前年度の担任の先生に教えてもらう
次は、前年度担任して総合や生活をすすめた先生に直接聞きます。
私は、年間指導計画を見た時も、見ていない時もこのステップは踏みます。
質問項目は先ほど挙げたこれらです。
これらを簡単に教えてもらったら、次です。
ステップ③
総合に関する写真データを探す
校内の書類サーバの中に、写真が保管されているフォルダがあるとも思います。
その中から
総合の見学や表現の様子がわかるものを探します。
きっと見学などは比較的に簡単に見つかると思います。
簡単に見つけられる範囲でいいのだザザッと写真を見ていきます。
これまで、ステップ①とステップ②である程度活動内容がわかってくると思います。
写真を見ることで子どもたちがどのように活動していたのかを具体的にイメージすることができます。
ステップ④
さりげなく子どもたちに聞いてみる
ここまでステップ1からステップ3まで書いてきましたが、なかなか時間がなくてできなかったり、学校の実態的に難しかったりすると思います。
ただし、このステップ④は、簡単にできますし、効果も大きいです。
ステップ④だけでも実践することをお勧めします。
方法は簡単です。
休み時間隙間の時間にさりげなく、
「去年の総合(生活)ってどんなことしたか覚えてる?」
「どこに行ったか覚えてる?」
「最後どんなことしたかな?発表?何か作った?」
と、教師の近くに来た子どもたちに聞いてみるのです。
これで詳しく言えた事柄は、よく子どもたちの中に入っている事柄なのでメモしておきます。
ここで聞き取った事は授業でも使えます。
私も、よくその年度の初めの総合で、前の学年でどんな総合したかと聞きます。
その時に、意見が滞ったりて考えていた子がいたら、
「〇〇したって、聞いたよ。」
と合いの手を入れたり、
「〇〇のこと教えてよ。」
と言ったりして子どもたちの意見を引き出すために使います。
4 終わりに
総合には教科書がありません。
ですので、子どもたちの実態に合わせることが大切だと思います。
しかし、子供たちの実態を調べる方法は、研修等で共有される事はほとんどありません。
子どもたちの実態を調べることを総合を始める第一歩としてお勧めします。
ぜひ、やってみてください。
ここまでお読みいただきありがとうございました。
次の記事は、
単元スタート前に②
として、「ざっくりとした単元計画をつくる」ことについて書こうと思います。
よかったらお読みください。
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