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男子大学生が女の子にスカートを選んでもらって着る話

(この記事だけでも読めますが、一応前編があります)

「スカートが着たいから自分に似合いそうなのを見繕ってほしい」


と、仲のいい大学の女の子に頼んでみたらあっさりOKが出ました。

よかった〜…内心ドキドキでした。
なんなら今後の大学生活が掛かってますからね。
「え、ちょっと無理かも〜」とか言われて、もしも変態女装野郎のレッテルでも貼られようものなら私はまた受験生からやり直さなくてはいけないかもしれない。そのくらいの覚悟の上でのお願いでした。

「細いからきっと似合うよ!いいの選んであげる!」とのこと
な、なんて心強いんだ…いい友達をもったなぁ(しみじみ)

と、そのときはそう思ってました。
そう、その友達がいい友達すぎるおかげで後にあんなことになろうとは思ってもなかったのです…


休みの日、私たちはアウトレットにやってきました。
服はどういうところで買えばいいのかすらわからない私に対して、とりあえずここにくれば間違いないということで彼女が選んでくれた場所です。
見渡す限り服屋さんで確かにここなら何でも揃いそうですね。

今回、女の子の服を買うにあたって、男がお店で物色してるというのは浮きそうで嫌だったので、ゆるめの服を着てなるべく骨格が出ないようにしてきました。髪も肩ぐらいだったので、まー女といわれたら女かもしれないけど多分男でしょ、くらいの見た目だったと思います。

こんな見た目で大丈夫かなぁ、とか思いつつもこればっかしはどうしようもないのでなるべく目立たないように周囲に溶け込むように徹します。

てくてく歩きながらアウトレットのお店のウィンドウを見て、なんとなくどんな服が欲しいのかを考えていると彼女がお店に入っていったので付いていきます。

てきぱきとお店に並んだ服を手に取ったり、その服と私の顔を交互に見ながら服を選別する彼女。段々と近づくその時を感じて私は少し弱気になっていました。少しでもこのお店の中の空気感を乱さないようにおとなしく目立たないようにしていると、

「じゃ、とりあえずこれ、試着してみようか」

と、彼女。
さて、ついに来てしまいました。私が一番危惧していたこと。
それは試着です。
思えばフツーに男の姿で男の服を買う時でさえ試着は苦手でした。

何が嫌かって、着るのはまだしもその前後に必ず店員さんとやり取りをしなくてはいけないことです。

【試着お願いします】は大丈夫、言える。でも試着した後、店員さんに
「いかがでしたか?」と聞かれた時の模範解答が未だにわからない!
「あ、えっと、いいですね(?)」
「え、たぶん、似合うと思います、へへっ(?)」
…多分どっちも不正解だ、わーん

こんな調子なのにこのやり取りをレディース服屋さんでやらなくてはならないとなるともう正直地獄である。
というかそもそも男がこの店の試着室に入ってもいいのか?
最悪お縄にかかってしまうのでは…やっぱりやめたほうが…

<あ、すいませーん、この子試着でお願いしまーす
<はーい


……

「じゃ、カーテンの前で待ってるからこれ着てね!」
シャッ!(閉まるカーテン)

気づいたら服を渡されて試着室の中にいました。
………ん、着よう。

渡されたのは黄緑のジャンパースカートとブラウスでした。
似合うのかな…?

なにはともあれ、
ブラウスのボタンを外して袖を通します。
羽織った感じサイズは大丈夫そう。肩幅が心配だったけど意外と平気。
外したボタンをひとつひとつ留めていく、
ボタンの左右がいつもと違ってちょっとやりにくい、

留め終わったら次はジャンパースカートだ。
上からかぶる?下から履く?
…まあ下からだよね
スカートに足を通して上にあげる、
肋骨の下あたりが絞ってあってちょっとだけ窮屈だったが苦しくはない

肩ひもを一つずつ肩に乗せて、ブラウスをきれいに整えた

鏡には小綺麗な自分がいた。


正直、期待してた。
ちゃんと選んでもらったら、それなりに綺麗にはなるんじゃないか。
でも、
想像以上に自分はちゃんとしていた、と思う。

すごい…服で、組み合わせでこんなに変わるんだ。
ブラウスはすごく清楚というか清潔感があるし、
ジャンパースカートは上品だけどもカジュアルにも見えて堅すぎない。
ウエストの絞りは、ないはずのくびれや胸の膨らみを、まるで自然にあるかのように錯覚させていて、
太めの肩紐は肩幅をうまくカバーして目立たせない。

「どう?着れたー?」
「うん」

カーテンを開ける。

「…」
「ど、どうですか?」

「やっぱり似合うじゃん!かわいいよ!」

彼女は、うんうん計算通り、みたいに頷いていました。

「わぁ、お似合いですね!どうしますか?」

あ、
私はすっかり忘れていました。
試着した後には店員さんと喋らなくてはいけないことを。

どどどど、どうしよう。何て言えば。
幸いにも男とはバレてない?
こういうときなんていえばいいんだ?
というかそもそも喋ったら声でバレる。。うわー!

<サイズもいいし気に入ったみたいなので買います!
<はーい

「じゃ、元のに着替えてねー」
シャッ!(閉まるカーテン)

気づいたらまた試着室の中でした。

「…着替えよう」

……

そんな感じで彼女に完全にフォローされながらなんとか服を買うことが出来ました!

それを着るなら靴とかもだね!

そう言って彼女はジャンパースカートに合う白いコンバースの靴と靴下を選んでくれました。もう至れり尽くせりです。


帰りのバスで彼女は服の選び方や女の子の心得について教えてくれました。

骨格やスタイルで似合う服があること。
着こなし次第で気になるところをカバーできること。
でもあまりそれに捉われすぎずに着たいものを着るのも大事ということ。
服装や身なりに気を遣うこと。
髪とかもきれいにメンテナンスすること。
服を選ぶときは靴やカバンも含めて3色以内にするとまとまりが良いこと
そして、自信を持つこと

どんなに似合う服を着ていても、その人が暗い顔をしてちゃ勿体ない。
お気に入りの服は魔法をかけてくれるのだと。

「似合ってたから大丈夫!店員さんもそう言ってたよ!」

確かに、第三者から見ても似合ってたのかな。
そう思うとちょっと自信が出ました。

私は彼女にお礼に夕飯を奢って、また服を選んでもらう約束をしました。
そのスカートに慣れたら、またいろんな服を選んであげるとのこと。
今回は初めてだから比較的着やすいであろう長めのワンピースっぽいジャンパースカートにしたそうです。ありがたや。

今度はミニスカートとかにしよっか?
…それはちょっとまだ恥ずかしいかも…
そっかー、でも"まだ"ってことはそのうち着てくれるってこと?
…検討しておきます


そんなこんなで

この日を機に、私はメンズの服もレディースの服もどっちも着るようになりました。
大学にも少しずつ着ていくようになり、友人たちもなにひとつ拒むことなく受け入れるどころか褒めてくれたりもします。
私がスカートも着れると知った他の人も買い物に誘ってくれたりもしました。

本当に良き友人に恵まれていると思います。
スカートを着たりするのは正直かなり勇気のいる行動ですが、それができるのは自分の意志だけでなく周りの環境のおかげでもあります。
日々感謝です。

長くなりましたが、こんな人もいるんだなーと少しでも私のことについてわかってもらえたなら幸いです。

あ、申し遅れました。
私、レンタル事務所喫茶れんたるのキャストをしております。

御坂 凪(みさか なぎ)と申します。

もしnoteとかを読んで、私と喋ってみたいなーとか、お話聞いてほしいなーとか思った人!、ぜひ私のことをレンタルしていただければと思います。
いきなり宣伝でした!すみません!

ではまた!
なぎ


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