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ロングトレイル初心者の山陰海岸ジオパークトレイル 


はじめに

初めてソロでロングトレイルを歩いてみた自分の記録用と、
これから山陰海岸ジオパークトレイル(以下SGT)を歩いてみようと企む人に向けて書いてみることにしました。
というのも、いざSGT の計画を立てるときに心配性の自分が知りたい情報がネット上で得られなかったことが大きな理由です。笑
準備過程で気になったことや実際に歩いてみて感じたことを書き残してみて、
少しでもSGTの魅力が伝われば嬉しいです^ ^

かく言うわたしもロングトレイルという言葉を知ったのはここ一年くらいのこと。そもそもロングトレイルってなに….. ということで ↓

ロングトレイルとは、「歩く旅」を楽しむために造られた道のことです。登頂を目的とする登山とは異なり、登山道やハイキング道、自然散策路、里山のあぜ道、ときには車道などを歩きながら、その地域の自然や歴史、文化に触れることができるのがロングトレイルです。

日本ロングトレイル協会HPより

普段から歩くことが好きで登山や街歩きをしている自分にとっては、地方を旅しながら歩くコースがあるというのは魅力的でした。
日本全国には現在20くらいのロングトレイルコースがあって、これからさらに増えていくようです。
色々なルートを調べていくうちにロングトレイルを歩いてみたいという気持ちが爆発し、3日間の休みを手に入れました。

今回の計画について

5月中旬は山歩きがメインのコースだと夏山シーズン前の微妙な時期であることや、熊とか怖いな〜と思ったので、初心者で一人で歩く予定の自分は海岸歩きと街歩きがメインのSGTを選びました。
今回は3日間でSGTの一部を歩くセクションハイク。鳥取駅から始まるコース4から、浜坂駅が最寄りのコース13をテント泊しながら約50km歩く旅を計画しました。詳しい行程は後ほど。

今回の旅は、前日夜からの移動で
21:50東京駅発のサンライズ出雲→9:10米子駅
米子駅からは特急スーパーまつかぜで鳥取駅に正午前に到着で予定を組みました。
帰りは鳥取コナン空港から東京に戻る予定だったので、
鳥取駅から東に歩き、最終地点の最寄駅から鳥取駅に戻る感じです。

計画を立てた時点での不安要素
・SGTでは指定キャンプ地以外でのキャンプは禁止されているため、宿泊地からかなり離れた次の宿泊地まで本当に歩けるのかということ。
・キャンプ場の情報が本当に少ないこと。(HPがないキャンプ場については宿泊確認が取れず)
・悪天候になった場合の避難場所など。

このように、20代女の初めてのソロ・ロングハイクは不安要素だらけでした…。まあ、行かないという選択肢はなかったんですけどね。笑
心配性なので、事前にかなり地図に目を通したり、SNSで実際に歩いた人の情報を血眼で探しました(必死)。

全長230kmのコースを27のセクションに分けた地図

装備

容量40ℓのリュックに総重量10kg +飲み物1ℓ

シュラフ(夏用),エアーマット,テント,エマージェンシーシート×2枚,ストック,ソーラーランタン,ヘッドライト
ウィンドシェル,レインウェア,保温着(フリース),着替え,タオル,手拭い,サンダル
ガスバーナー,他クッカー類,ボトル1ℓ,ウォーターキャリー,コンパクト浄水器,
救急セット,充電器類,最低限の化粧品,
3食分の食料,行動食,ポカリスエット粉

0日目

平日夜、仕事を終えて東京駅に向かい、夕食を食べながらサンライズ出雲の発車時間を待つ。サンライズはずっと乗りたかった寝台列車で、一ヶ月前の乗車券発売日になんとかシングルソロの個室部屋の予約を取る。
なんとサンライズ出雲はシャワー室ありで、シャワーカードを購入してシャワーを浴びることができます。めっちゃ揺れるけど笑

この日は26歳の誕生日でケーキでお祝い。
ときどき列車の揺れで目を覚ます。11時間かけて少しずつ西に向かっていく列車の窓から明け方の風景。
車窓から大山が見えた。鳥取に来た感!!!!

1日目(鳥取駅〜鳥取砂丘西側休憩舎)

11:00 鳥取駅に到着。
駅の案内所でSGTトレイルマップをもらう。電波のあるうちにスマホにも地図をダウンロードしておく。蕎麦屋で早めの昼食をとり、12:00早速歩き始める。
1日目の行程は、久松山から中国自然歩道を通って摩尼寺、多鯰ヶ池、柳茶屋キャンプ地(24年4月からは砂育キャンプ場に変更していた)を目指す、17kmのトレイル。
コース4:鳥取駅〜摩尼寺

久松山から目的地の鳥取砂丘が見えた。
中国自然歩道にて。分岐にはSGTのマークがある。誰ともすれ違わず、山道を一人で歩くのは心細い。
人気のない摩尼寺にいた犬と猫。分岐が分かりづらくて道を尋ねるも、勿論返答はなし。

15:00 摩尼寺に到着。
コース5:ルート変更。
摩尼寺から多鯰ヶ池に抜けるコースがまさかの通行止め。
オロオロしていたところ、その日初めて人に遭遇した。嬉しさの余り話しかけると、背筋の良い素敵なおばあさまだった。
その人は歩きながら、こうして近所の山をひとりで歩いていることや、昔よく登っていた山のことを話してくれた。
私の旅について話してみると、すごく興味を持ってくれた。
歩くことが好きでとても気さくな方で、笑い方や話し方が自分とよく似ていて、自分の50年後の姿を見ているような不思議な気持ちだった。
「もうおばあさんだから無理だけど、あなたと歩いてみたかったわ〜」と楽しそうに話し、ストレートな物言いに少し泣きそうになった。ずっと山道を一人で歩いていて心細かったけど、来て良かったなと思った瞬間。
おばあさまに砂丘までの別の道を教えていただき、再び一人で歩き出す。

途中まで乗っていく?というお誘いをお断りし、手を挙げて去っていく車を見送る。
摩尼川沿いをひたすら歩くと大通りに出た。
おばあさま、ありがとうございました!
ハプニングもあったけど、16:40 無事砂丘に到着。思わずガッツポーズ。笑
ずっと来てみたかった鳥取砂丘。
テントを張り、荷物を置いて日の入りを見に行った。すごく綺麗だった。
リニューアルオープンした砂育キャンプ場。水場、トイレあり。夜8−9時はシャワーも使えるそう。
この日は貸切で、防風林のおかげで朝まで爆睡。
多分、軽い熱中症だった。

2日目(鳥取砂丘西側休憩舎〜居組駐在所)

4:20 日の出前に起床し、急いで荷物をまとめ砂丘に向かう。
2日目は次の宿泊地のキャンプ場までおおよそ30kmで10時間という初めての長さ。
日暮れ前には着きたいと足速に歩くも、あまりの絶景に度々立ち止まる足。
歩くことだけに気を取られ過ぎちゃいけない!と思い直し、絶対に無理をしないこと、楽しむことを優先しようと思った。

日の出で赤く染まる砂丘。

コース6:鳥取砂丘〜岩戸 

やわらかな砂に足を取られて歩きづらい。ランニング中のおじさんがいて”こんなとこよう走るわ…"と思ってたら、”大きな荷物で大変ですね!!"と言われた。変わり者はお互いさまだったみたい。笑
これがオアシス….!!! CrushのOasis(feat.ZICO)を思わず口ずさむ。基本誰もいないので、歌を歌うことも多いロングトレイル。
2日目は沿岸沿いを歩くコースが多いみたいで楽しみ。

コース7:岩戸〜網代

登ったり下ったりを繰り返す。
網代で朝から営業している定食屋があった!「カフェなだばだ」さんのカレイの煮付け定食。

コース8:網代〜城原海岸

波の侵食によってできた穴、海食洞門が多く見られるのが山陰海岸ジオパーク。
えっ 犬いる!!!!!今トレイル初の犬チャンス。
ウキウキで向かう。
レトリバーだ〜〜〜!!完全に犬側がウェルカムである空気を察知。
撫で回さしてもらい、びしょ濡れになりながら犬と遊ぶ。
写真撮ってもいい?と聞かれたので快諾し、送ってもらった写真。棚からぼたもち過ぎる。
姿が見えなくなるまで手を振って見送ってくれた飼い主さま方。楽しい時間をありがとうございました!

コース9:城原海岸〜山陰ジオパーク海と大地の自然館

海域公園 城原海岸
山陰ジオパークの施設に到着。曇ってきた。

この施設で事前に宿泊確認が取れなかった2日目のキャンプ地(居組サンビーチキャンプ場)について尋ねると、
2024年4月~ 営業時期以外の宿泊が有料化し、
管理人が駐在していると教えていただいた。
宿泊の許可を取り、キャンプ地に向かう。

コース10:山陰ジオパーク海と大地の自然館〜東浜駅

龍神洞展望所を通るコースが落石による通行止めのため、車道沿いを歩く。その先の東浜海水浴場に抜ける道の通行止めは徒歩なら可能だった。

東浜海水浴場。雨が降りそうな天気になってきた。
整備された木道。東浜駅が近いが、誰もいない。
涼しくなってきて、黙々と歩みを進める。

コース11: 東浜駅〜居組駐在所
宿泊地の居組サンビーチキャンプ場まであと少しとなり、鳥取県と兵庫県をまたぐ旧178号線の七坂八峠を歩く。人はもちろん、車も通らない曲がりくねった道をひたすら歩く。

七坂八峠から1日かけて歩いてきた海岸線を一望することができた。
県境!
湿度が高く、森林の香りに満ちていた。
ダウンロードしていた音楽を聴きながら歩く。
16:00頃 居組港が見えてきた。
16:30にキャンプ場に着くも、管理人はおらず。
海の家の側にテントを張った。
海水浴場の100円温水シャワーがあった。
夜中も釣り人たちの往来があり、時々目が覚めてしまった。

3日目(居組駐在所〜浜坂駅)

コース12:居組駐在所〜諸寄漁港
起床して足の裏に豆ができていることに気付く。歩くと少し痛むため、応急処置をした。
最終日の行程は短めだったので、のんびり7:00頃出発。今日はお土産を買ったり、銭湯に入ったりするんだ!!とすっかり観光モード。

大胆な乾かし方。笑
ほぼ車道の道。車はスピードを出しているので注意が必要。
諸寄漁港。穏やかな波と柔らかな陽射しが心地良い。

コース13:諸寄漁港〜浜坂駅

近畿自然歩道を通って八城ヶ鼻灯台から浜坂漁港へ抜ける道が通行止めだった。灯台まで往復することもできたが、無理をせず浜坂までは路線沿いを歩くことに決めた。

鳴り石の浜。
波で石が押し上げられて積み上がっている。
ぶつかり合って角のないまあるい石がごろごろ。
石英?みたいな混ざった石がきれい。
トンネルの中は冷んやりしている。
JR山陰本線 浜坂駅から鳥取駅まではあの電車で帰る。
魚市場。2階の食堂で昼食を食べた。

お土産を選んでいると、旅の終わりを実感する。
帰りたくないな、もう少し先まで歩いてみたかったなと名残惜しい気持ちのまま、
お土産屋のおばちゃんと話していた。
あまりにもしょげた顔をしていたのか、
“また、ここから歩けばいいじゃない”と言ってもらい、
日常に戻って、また準備をしようと思った。
次もある。人生は、たぶん長い。

銭湯で汗を流し、電車に乗って歩いてきた道を戻っていく。当たり前だけど、乗り物って速い。

おわり

ロングトレイルは初めてだったので、
もしも途中で天候が悪くなったり、自分の体に異変を感じたら、早めに判断して最寄駅から電車に乗って鳥取駅に戻ろうと決めていました。
幸いにも天候に恵まれ、無事予定していた区間を歩くことができました。
旅の途中、SGTを歩いている人には出会いませんでしたが、一人で歩いていると
街の人に声をかけていただいたり、道を教えてもらったり、案外たくさんの人と話していたような気がします。
とにかく楽しかったので、また続きを歩こうと思います。
次はもう少し長く、遠くまで!


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