ショートカットの女は首にキスマークを付けさせるな
ここ最近はギターという弦楽器を手慰みに弾いている。いや、手慰みという表現は適切ではない。これはやることがない人が目的もなく暇を潰すという意味であって、上手にギターを弾けるようになって女性と親密になるという明確な目的のもと効率と合理を重視し最短で上達しようとしている今の俺に使うのは間違っている。俺がギターを弾けることと俺が女性と親密になり、閑静な住宅地に一軒家を建てて女性と猫二匹としっぽり暮らすことに一見相関はないように見えるだろうが、実はある。俺は数学が得意なのでその辺の事情はお前らより詳しいと思ってもらっていい。
とにかく俺はギターを弾いているのだが、これがまた難しい。友人はジャランジャランと簡単そうに鳴らしてみせるが、俺が鳴らすとボロンボロンとチンポコみたいな字面の音が鳴り響く。弦楽器から出るべきでない卑猥な音が六畳の部屋をいっぱいに満たす。ギターを弾く人間の目的から言って、ギターを弾くこととチンポコを出すことはあながち大きく外れてもいないのだが、こうも破廉恥だと流石に差し障りがある。ジョネシポ(女性と猫二匹としっぽり暮らす、の略)が遠ざかってしまう。この辺は練習あるのみとのことなので、チンポコを仕舞える様に精進していこうと思う。
そう考えるとバンドマンって凄い。ギターをかき鳴らす姿は格好いいし、世界への呪詛を撒き散らすがなり声には鳥肌が立つ。世の中の女性がワラワラと彼らに群がっていくのにも頷ける。今日駅でギターを背負っていた女性は首にエグデカいキスマークをつけていた。キスマーク(日本語で言うと接吻印(せっぷんいん)になるね。ダサすぎる)をつけたヤツはどうせバンドマンだろうし、事が終わったらニコチンを静脈注射しながら彼女の体の服で隠れる部分を殴ったのだろう。ナマンダブ。今頃彼女はどうしているのだろう。首のキスマークを増やされながら副流煙に顔を顰めているのだろうか。おいたわしい。いつかどこかで夢から醒めて、どこかの誰かとジョネシポしてくれることを切に願う。
そもそもショートカットなんだからキスマークを首に付けさせるなよ。翌日学校行くのわかってんだろ。付けさせてはいけないのに付けてくるような男とは可及的速やかに恋愛契約を破棄しろ。そして俺と契約しろ。俺はギターを弾くとチンポコが出るという欠点こそあるが、キスマークを付けてはいけないのに付けるような奴よりも2000恒河沙倍マシだ。数学が得意な俺が言うんだから論理的に間違いない。俺は食べ物の好き嫌いはないし、あと左利きだし、なにより俺は法学部だ。法学部は偉い。ただでさえ偉いのに、俺は六法全書まで持っている。これはもう最強でしかない。この世に法学部のやつはまあ探せば見あたるだろうが、六法全書を持っている法学部となるとこれはもう俺くらいしかいない。断言する。鬼に金棒、俺に六法。ホラ見てみろ、俺は韻だって踏める。最強。崇め奉れ。しかるのちに神輿の上に乗っけろ。紫の炎の中に放り込んで俺の周りをぐるぐる踊れ。全部消し炭になったら六法全書を風船にくくりつけて空に打ち上げろ。ほんでそれっぽい星で俺座を作れ。冠婚葬祭の度に俺を思い出せ。お空の上から見てるからね。約束です。
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