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金管楽器の基礎練習

 1995年(平7)に当時指導していた網走小学校ブラスバンドでビュッフェ・クランポンのコルネット講師 岡本篤彦 氏 の指導を初めて受ける機会がありました。彼の金管楽器奏法に関する手立てを可能な限り忠実に実践することが、子どもたちが短時間で確実に必ず上手になると確信して、その後自校のみへの指導に留まらず、小学校スクールバンド連盟の児童講習会に定期的(年に1回を20年以上になります)に招くようになりました。

 各学校では、それぞれ独自のパターンで岡本氏から学んだ基礎練習に取り組むことで各個人の技術レベルを高めバンドの演奏力を高めることにつなげています。

最も大切なポイント

全て一息でやること。途中で息を吸って続きをやったりしないこと。

楽器を使う練習を始める前の準備

最初に口の周りの筋肉や唇の準備をします。

  1. 唇をブルルルと震わせる。(バズィング)

  2. バズィングしているところにマウスピースをつけたり離したりする。 【1.2.合わせて30秒程度】

  3. マウスピースで音をゆらす練習をする。 【15秒程度】

  4. 楽器にマウスピースをつけて音をゆらす練習をする。 【15秒程度】

楽器を使う練習

息の指のコントロールの練習をします。

全て一息でやること。途中で息を吸って続きをやったりしないこと。

* 一息で出来る早さでやる。あるいは、一息で2回3回と繰り返す。
* 絶対に息を途中で止めない。音は出なくても息は出し続けること。
  出来ないことは出来ているふりをして息を出し続け、できるところから音にする。

音階練習をする。

それぞれの譜例全てスラーで一息で演奏する。
息が余るのなら2回(3回)繰り返す。
ピストンは下まできっちり押さえる。

スラーで一息
途中で息を吸わない
指はしっかり押す
一息を忘れない
指がわからなくてもガチャガチャ動かす。
音が鳴らずとも息を出し続ける。
出来ないことも出来ているように指を動かす。
出来ないことは出来ているふりをして息を出し続ける。
息を出し続け、できるところから音にする。
出来ないことは出来ているふりをする。
できるところから音にする。

リップスラーの練習をする。

楽器を使う練習を始める前の準備での「マウスピースで音をゆらす練習」と「楽器にマウスピースをつけて音をゆらす練習」の発展

A)タ イ ア イ ア イ ア(発音のイメージ)

 A1)   ◯◯◯   ド ー ー ー ド ソ ド      
 A2)   ◯●◯   シ ー ー ー シ ソ♭ シ
 A3)   ●◯◯   シ♭ ー ー ー シ♭ ファシ♭
 A4)   ●●◯   ラ ー ー ー ラ ミ ラ
 A5)   ◯●●   ラ♭ ー ー ー ラ♭ ミ♭ ラ♭
 A6)   ●◯●   ソ ー ー ー ソ レ ソ
 A7)   ●●●   ソ♭ ー ー ー ソ♭ レ♭ ソ♭

B)タ イ ア イ ア エ イ エ ア(発音のイメージ)

 B1)   ◯◯◯   ド ー ー ー ド ソ ド ソ ド
 B2)   ◯●◯   シ ー ー ー シ ソ♭ シ ソ♭ シ
 B3)   ●◯◯   シ♭ ー ー ー シ♭ ファシ♭ ファシ♭
 B4)   ●●◯   ラ ー ー ー ラ ミ ラ ミ ラ
 B5)   ◯●●   ラ♭ ー ー ー ラ♭ ミ♭ ラ♭ ミ♭ ラ♭
 B6)   ●◯●   ソ ー ー ー ソ レ ソ レ ソ
 B7)   ●●●   ソ♭ ー ー ー ソ♭ レ♭ ソ♭ レ♭ ソ♭

C)タ イ ア イ ア エ エ イ エ エ ア(発音のイメージ)

   ◯◯◯   ド ー ー ー ド ソ ド ミ ド ソ ド -
   ◯●◯   シ ー ー ー シ ソ♭シ ミ♭シ ソ♭シ -
   ●◯◯   シ♭ー ー ー シ♭ファシ♭レ シ♭ファシ♭ -
   ●●◯   ラ ー ー ー ラ ミ ラ レ♭ラ ミ ラ -
   ◯●●   ラ♭ー ー ー ラ♭ミ♭ラ♭ド ラ♭ミ♭ラ♭ -
   ●◯●   ソ ー ー ー ソ レ ソ シ ソ レ ソ -
   ●●●   ソ♭ー ー ー ソ♭レ♭ソ♭シ♭ソ♭レ♭ソ♭

D)タ イ ア イ ア エ エ エ イ エ エ エ ア

 D1) ◯◯◯ ド ー ー ー ド ソ ド ミ ソ ミ ド ソ ド
 D2) ◯●◯ シ ー ー ー シ ソ♭ シ ミ♭ ソ♭ ミ♭ シ ソ♭ シ
 D3) ●◯◯ シ♭ ー ー ー シ♭ ファ シ♭ レ ファ レ シ♭ ファ シ♭
 D4) ●●◯ ラ ー ー ー ラ ミ ラ レ♭ ミ レ♭ ラ ミ ラ
 D5) ◯●● ラ♭ ー ー ー ラ♭ ミ♭ ラ♭ ド ミ♭ ド ラ♭ ミ♭ラ ♭
 D6) ●◯● ソ ー ー ー ソ レ ソ シ レ シ ソ レ ソ
 D7) ●●● ソ♭ ー ー ー ソ♭ レ♭ ソ♭ シ♭ レ♭ シ♭ ソ♭ レ♭ ソ♭

E)タ イ ア イ ア エ エ エ エ イ エ エ エ ア

E1) ◯◯◯ ド ー ー ー ド ソ ド ミ ソ シ♭ ソ ミ ド ソ ド
E2) ◯●◯ シ ー ー ー シ ソ♭ シ ミ♭ ソ♭ ラ ソ♭ ミ♭ シ ソ♭ シ
E3) ●◯◯ シ♭ ー ー ー シ♭ ファ シ♭ レ ファ ラ♭ ファ レ シ♭ ファ シ♭
E4) ●●◯ ラ ー ー ー ラ ミ ラ レ♭ ミ ソ ミ レ♭ ラ ミ ラ
E5) ◯●● ラ♭ ー ー ー ラ♭ ミ♭ ラ♭ ド ミ♭ ソ♭ ミ♭ ド ラ♭ ミ♭ ラ♭
E6) ●◯● ソ ー ー ー ソ レ ソ シ レ ファレ シ ソ レ ソ
E7) ●●● ソ♭ ー ー ー ソ♭ レ♭ ソ♭ シ♭ レ♭ ミ レ♭ シ♭ ソ♭ レ♭ ソ♭

F)タ イ ア イ ア エ エ エ エ エ イ エ エ エ ア

F1)◯◯◯ ド ー ー ー ドソドミソシ♭ドシ♭ソミドソド
F2)◯●◯ シ ー ー ー シソ♭シミ♭ソ♭ラシラソ♭ミ♭シソ♭シ
F3)●◯◯ シ♭ ー ー ー シ♭ファシ♭レファラ♭シ♭ラ♭ファレシ♭ファシ♭
F4)●●◯ ラ ー ー ー ラミラレ♭ミソラソミレ♭ラミラ
F5)◯●● ラ♭ ー ー ー ラ♭ミ♭ラ♭ドミ♭ソ♭ラ♭ソ♭ミ♭ドラ♭ミ♭ラ♭
F6)●◯● ソ ー ー ー ソレソシレファソファレシソレソ
F7)●●● ソ♭ ー ー ー ソ♭レ♭ソ♭シ♭レ♭ミソ♭ミレ♭シ♭ソ♭レ♭ソ♭

タンギングの練習をする。

 音階練習の楽譜を使ってタンギングの練習をします。
 A)シングルタンギング
 B)トリプルタンギング (タタカ)
 C)ダブルタンギング (タカタカ)

他の調でのスラー音階練習をする。 

変ロ調 → ハ調 → 変ホ調 → ヘ調 ぐらいはやる。

覚え書き

・フレーズの最初の音は「ア」。
 そのフレーズの最高音は「イ」。
 「ア」と「イ」のあいだの音は「エ」。
 *ここで言っている「ア」「エ」「イ」は舌の位置とか口の形と考えて
・タンギングは「TA」「TE」「TI」「CHI」「KI」「KE」など。
・出来ても出来なくてもひとフレーズは、息を出し続ける。テンポをキープして指を押しつづける。
・ひとフレーズが終ったら、必ず唇からマウスピースを離す。
・指を下までしっかり押す。上までしっかりあげる。
・金管バンドならビブラートの練習もする。ビブラートは80の速さで4つゆらす。顎を動かすことでビブラートをかける。
・小学生だからそうしているのか・・・自分でも迷いますが、楽譜を作ったり見せたりして練習をさせていませんでした。
・中心になる練習は「リップスラー練習」です。
・「唇をブルルルと震わせる」は音高を意識出来るといいのですが、筆者の学校ではそこまでは、出来ていませんでした。どちらかと言うと、唇のリラックスのために唇全体をブルルルとやらせています。
・「バズィングしているところにマウスピースをつけたり離したりする」はバズィングの音高とマウスピースでの音高が同じになればいいなぁと思ってやらせています。
・「マウスピースで音をゆらす練習」は息のコントロールのため。
・「 楽器にマウスピースをつけて音をゆらす練習」は音色・音程のコントロールのため。
・「音階練習」は音色の統一。音域の拡大。息のコントロールのため。
・「リップスラー練習」は柔軟性のため。
・「ペダルトーン練習」は息のコントロールのため。
・「タンギング練習」は舌の柔軟性。息のコントロールのため。
・「他の調でスラー音階練習」は指の訓練。

ケースから楽器を出して1シリーズ。リーダーが前に出て1シリーズ。帰る前に1シリーズ。 この3回はやらせたいと思っていました。

* 2001年1月18日に以前作ったものを部分改訂して公開した文書を書き直して「金管楽器の基礎練習」として作成しました。

                       writer Hiraide Hisashi

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