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音階とリップスラー

 これをやっていれば必ず上手くなる練習です。ここに記した音階とリップスラーの練習を毎日やるのならば、初心者が3ヶ月で2オクターブの音域を自分のものにすることが出来ます。

音階の練習

 ソプラノ・コルネットとテナー・ホーンとE♭バスは、変ホ長調の音階を演奏します。B♭コルネットとフリューゲルホーンとバリトンとトロンボーンとユーフォニアムとB♭バスは、変ロ長調の音階を演奏します。
 この楽譜は小学校ブラスバンドでの取り組みで実践していたことを楽譜にしたもので、実際には子どもたちに楽譜を配布することを想定していません。子どもが楽譜を見てしまうと視覚情報の処理という要素が「初心者が3ヶ月で2オクターブの音域を自分のものにする」という目的を阻害するのではないかと考えています。

シラブル

 「音の動きのイメージ」の図は必ず示します。

音の動きのイメージ

 「シラブル」という言葉は、舌の形や位置、口の中の形、そして息のスピードという意味で使います。

 最も大切なことは、フレーズ音の始まりを「 a (ア)」、そのフレーズの最も高音は「 i (イ)」、その間は「 e (エ)」、そして最も低音も「 a (ア)」という口の中の形を意識することです。決して低音がア、中音がエ、高音がイという意味ではありません。

 実際の曲では、同じフレーズを演奏する全員が同じシラブルを意識することで音程や音色、そしてフレーズ感等に統一感が増します。また、演奏できなかったフレーズが吹けるようになったりします。

シラブル参考例

口の中の動きの実際

 ジョセフ・マイト(Joesph Meidt) 氏(米国)の学位論文の一部として制作された、ホルン奏者とトランペット奏者が音を出す様子を撮影したX線音像動画です。ここには舌と口の動きが記録されています。

 別サイト

指(スライド)の練習

 音階の練習は指の動きの練習でもあります。初心者は特に、しっかりと素早くピストンを下まで押しきれていないことがとても多いので、指導者は奏者一人一人の指がどのような動きをしているのかを日常的に視認し、下までしっかり押せていない瞬間を指摘し続ける必要があります。なお、稀にしっかりと上に上がりきれていないこともありますので、それも見逃さないようにします。
 なお、トロンボーンは、音程を変化させるのに右腕の大きな動きが必要になる楽器です。スライドの動きとタンギングのタイミング、スラーに聞こえるタンギングの方法、そして安定した楽器の保持等の整えなければならない要素がとても多くなります。スライドの動きの練習でもある音階練習は特に大切です。

楽譜を子どもには見せません

 子どもには見せずに「口伝」します。秘伝を口で伝え、教え授けるのでワクワク練習できます。なお、この楽譜の前段階に「ド-レ-ド」「-レ--レ-」「-レ-ミ-ファ-ミ-レ-」「-レ-ミ-ファ--ファ-ミ-レ-」「-レ-ミ-ファ--ファ-ミ-レ-ド--ド」「-レ-ミ-ファ--ファ-ミ-レ-ド-シ--シ-」を必要とする段階があります。

 フレーズの始まりの「ド」を「 ta (タ)」、そのフレーズの最も高音の「ソ」は「 i (イ)」、そして最も低音の「ソ」は「 a (ア)」、最後の音「ド」は「 i (イ)」、それらの音の間は「 e (エ)」という口の中の形を意識することを繰り返し忘れずに伝えます。

ta-e-e-e-i-e-e-e-e-e-e-a-e-e-i 」「」の意識です。

 途中で息を吸ったりしません。音が出なくても息を出し続けたままで正しい運指とテンポで最後までやりきります。
 鳴らない音があってもいいんです。指を動かし続け、息を出しつづけていれば3ヶ月も続けると鳴るようになります。途中で息を吸って流れを途切らせないことがポイントです。

リップスラー

 リップスラーの練習も「口伝」です。息のスピードシラブルが大切になります。そこでは「 i 」をどうイメージさせるのか、具体化させるのかが重要なポイントで、「シー」と高い声で発音している時の息のスピードで「 i 」を発音するというのが1番近い伝え方かなと思っています。
 リップスラーもフレーズの始まりの「ド」を「 ta (タ)」、そのフレーズの最も高音は「 i (シ)」、最後の音「ド」は「a (ア)」、それらの音の間は「 e (エ)」という口の中の形を意識することを繰り返し忘れずに伝えます。

 音が出なくても息を出し続けたままで正しい運指とテンポで最後までやりきります。
 鳴らない音があってもいいんです。息を出しつづけていれば3ヶ月も続けると出来るようになります。途中で息を途切らせないことがポイントです。

参考

 ここまで読んでくださった方に、最も大切な、重要な事柄をお伝えします。

そ れ は 

 息とシラブルを丁寧に実践する。

         です。

 どなたかに正しく子どもたちに伝えられているのかのチェックをしていただく。

         です。   

              writer HEIDERU MUSIC

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