長屋工業

真鍮製品難加工承ります

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  • テンセグリティ台座プロジェクト

    これら一連の記事は私の独断により書かれているものであり、上司には秘密である。なぜなら怒られてしまうからだ。

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「自社デザインのインテリア製品を販売する」

上長からの業務命令であった。 情報系の専門学校を卒業し自動車メーカーに就職、この会社に転職してからはNC旋盤加工を担当しているところの、つまりまるで門外漢である私にそのような無茶な指示が下りてきたのは、おそらく、というか間違いなく、先日のプレゼンが原因だろう。 うっかり芸術祭だとか美術館だとかいったワードを交えたことがどうやら上司の琴線に触れてしまったらしく、クラウドファウンディングで資金を調達すればいいんじゃないかと冗談めかして言われたのが半年前のことだ。 とはいえ、まさ

    • 自社インテリア製品を販売する

      お久しぶりである。 5/22に弊社のインテリア開発第一号となるテンセグリティ台座プロジェクトを公開にこぎつけることができたため、宣伝を兼ねて更新する。 定価8000円の製品を最大2500円OFFで購入できてしまうこの機会を見逃す手はない。正直言ってこの製品の定価8000円というのも材料費を考慮すると相当な安売りであり、ここから1000円も2000円も安くしてはたして利益をあげることが可能なのかという不安はあるが、今回のプロジェクトの名目は市場調査と自社製品販売ノウハウの蓄

      • 同じ形状を連続で削る2

        変数とか#1とかWHILEってなんだよ? わけがわからんことを書きよってからに。 わけがわからんのも当然である。 今やりたいことは加工機を動かす冗長な命令をメンテナンスしやすいように簡潔に書きたいというよくばりアクションだ。 そんなこと言ってもGコードは上から下へ一行ずつ実行されるのだからどうしようもないではないか。 確かにそうなのだが、そうではない場合があり、そうではなくするテクニックがある。 ・ループ(同じ個所に記述した命令を繰り返し実行する) ・条件分岐(条件を満たす

        • 同じ形状を連続で削る1

          六角形状である。旋盤屋であれば手掛ける頻度が多いであろう加工だ。 今回はGコードをテキストエディタで(信じがたいことだが私が入社するまではNC旋盤付属のコンソール入力という人道上の問題があると言わざるを得ない作業環境であった)直書きしている弊社のようなソフトウェア投資が十分でなく、またその重要性を訴えても金がないの一言で却下されてしまうがとりあえず今日の仕事はうまいことやらなければならないかたに向けた記事である。 あなたはこの形状を加工するときどのようなGコードを記述するだろ

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        「自社デザインのインテリア製品を販売する」

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        • テンセグリティ台座プロジェクト
          5本

        記事

          変な形を削る

          前回までの更新をご覧になった読者はおそらく弊社がいいかげんなところだという印象を強く抱いたことと思う。 その通りである。 が、それはそれとして広報担当としては真面目な仕事もしていると示しておく必要がある。先日手掛けた奇怪な部品をご覧いただきたい。 一見単純な形状に見えるがこれを旋盤で削り出す際の制約は多い。最大のポイントは右端近くに空いた小径の貫通穴だ。 旋盤は一般に材料を回転させて固定された刃物を当てて切削を行う機械であるが、下記のようなツールを回転させるためのユニット

          変な形を削る

          コンテンツになる

          つまりこういうことである。 会社に無理難題を押し付けられている私自身がコンテンツになり、この状況自体を読み物とするのだ。商品プロモーションとしてはかなりの飛び道具感は否めないが、これしかない。 幸いにして私はテキストを書くのが得意だ。 得意だと思っている。 本当は得意じゃなくていい。今だけそう思い込むのだ。 そう自己暗示をかけると私はnoteアカウントを作成し、プロフィール欄にこうしたためた。 「真鍮製品難加工承ります」

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          プロモーションをする

          まずお断りしておきたいことであるが、これら一連の記事は私の独断により書かれているものであり、上司には秘密である。 なぜなら怒られてしまうからだ。 表向きのプロモーションとしてはインスタグラム用アカウント https://www.instagram.com/nagayakogyo/ と動画一本を用意した。こちらの運用も私の担当であるから、当面の間はこの水面下の活動は私しか知らないことになるだろう。 さて、例のオブジェ試作品が完成した。 前回までの工程に加え二次加工用の旋

          プロモーションをする

          パーツを切り出す

          ここでNC旋盤加工がどのようなものか簡単に説明しておく。 工作機械とは、その名のとおり金属などを切削するための機械のことである。一般的に使われる工具としては、フライス盤やボール盤が挙げられる。これらを使って人の手では再現不可能な精度の部品をいくつも作りたいような場合どうすればよいか。機械に任せればよいのだ。数値制御(Numerical Control)、つまりコンピュータ上で設計した通りに刃物を動かすことで、人間には到底真似できないような複雑な形状を実現できるのがNC加工機な

          パーツを切り出す

          「テンセグリティで行く」

          またもや上長からの業務命令であった。 なんでも社長がyoutubeで偶然見つけた動画を見て感動したらしく、ぜひうちの製品に採用したいとのことだった。 なんなんだ一体。 テンセグリティ(tensegrity)は、アメリカ合衆国の建築家バックミンスター・フラーによって提唱された構造であり、日本語では緊張状態とか均衡状態と訳される。 たとえば2つの接触していない上部材A,下部材Bを3本の糸で支える場合では、上部材Aに働く重力によって接続された糸が張られ、張力によってバランスが保た

          「テンセグリティで行く」