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ローカル企業の新型コロナウイルス対策シリーズ① BCP(事業継続計画)の概念から

みなさんこんにちは。

まちづくり芸人の永山(nagayaaan)です。

今日は、まちづくり色を極力排し、自分自身が役員を務めている一般社団鹿児島天文館総合研究所Ten-Lab理事長および株式会社ecommitの取締役 経営戦略部長としての記事です。

新型コロナウイルスの脅威がひろがっています。

日々の報道にあるように、事態はかなり深刻です。

株式会社ecommitは、鹿児島に本社を構えていますが、東京・北関東に2つの営業所、約50名のスタッフを抱えています(全社では130名)。

首都圏のロックダウン(都市封鎖)も視野に、新型コロナウイルス対策を進めていますが、弊社で従来定めていた地震・大雨等の災害対応BCPでは、今回のような感染症リスクへの対応が十分ではないことが明らかになり、いま至急BCPの追加対応を行っています。

※BCP(事業継続計画):企業が自然災害、大火災、テロ攻撃などの緊急事態に遭遇した場合において、事業資産の損害を最小限にとどめつつ、中核となる事業の継続あるいは早期復旧を可能とするために、平常時に行うべき活動や緊急時における事業継続のための方法、手段などを取り決めておく計画のこと。

※そもそもBCPってなに?というかたは、こちらが参考になります。

↑こちら、中小企業庁のBCPページ。ただ、こちらを見てもわかるように、これまでBCPといえば大雨や地震などの災害対応を想定して作られているものが多いようです。

今回は、世界的な感染症の流行ということで、すでにBCPを策定済の皆さんでも、改めて運用を見直さざるを得ないところが多いのではないでしょうか。

今回は、そこでポイントになりそうな点をいくつか。

※こちらの記事は、BCP(事業継続計画)という概念にこれまで接点のなかった方にも読んでいただきやすいように、可能な限りわかりやすい出典をもとに作成しています。

※緊急時の事業継続の最優先は資金繰りです。そこは各々マジで真剣にやりましょう。そのうえで、ほかにも意識しておくべきことがあるという観点でお読みいただけると嬉しいです。

※BCPの本質は事前の十分な検討とシミュレーション、備蓄などの対策、そして感染フェーズに応じたスピーディな状況判断にあると思うので、「いまさらBCPかよ!」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。でも、まだ間に合うなら、今からやっておいた方が良いと永山個人は思います。

このページでは、2009年頃の新型インフルエンザ発生時のガイドラインと、シンガポールの新型コロナウイルス感染症に対するBCPガイドラインのなかで参考になりそうなものをピックアップしながら、私なりの整理を共有していきます。

①新型コロナウイルス対策のBCP策定は、新型インフルエンザ対応BCPが参考になりそう

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➡新型インフルエンザの発生は2009年。社会状況は異なりますが、基本的な考え方や対応フローについては非常に参考になります。また、こちらは社会福祉施設や事業所向けのものですが、業種問わず参考になる表記が多く、また感染症蔓延時のBCPの考え方がよくわかるので、一読されるとよいかもしれません。

➡特に参考になるのは、下記。
『2-4.業務継続計画(BCP)とは (9ページ)
   3-1.BCP 策定のポイント (13ページ)、
   3-2.BCP の構成モデルと主な内容 (15ページ)』あたり。
一部抜粋して、この記事の後半でお伝えします。

②新型コロナウイルス対策BCPでは、シンガポールの状況が参考になる。

世界の条項を見ていくと、こちらがわかりやすいなと感じた次第です。

➡本編にはCOVID-19の概要や事業継続計画に求められる検討事項の説明、社内に感染者が出た場合の業務継続のためのさまざまな観点における対策、感染症警戒レベル、健康管理に関する情報等が記載されています。付属資料には衛生管理、事業継続責任者の対応、感染症警戒レベルのフレームワーク等が記載されています。一部抜粋して、この記事の後半でお伝えします。

③事故・自然災害等のBCPと、パンデミックのBCPの違い

まずは、災害と感染症とで、BCPの構造がどう違うのかというお話は、こちらの図表が参考になります。

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(出典:社会福祉施設・事業所における新型インフルエンザ等発生時の
業務継続ガイドライン https://www.irric.co.jp/pdf/reason/research/influ/guidelines.pdf)

➡事故・自然災害はある時点で急速に機能が失われ、それを速やかに回復させるものです。一方で、パンデミックは段階を経ながら緩やかに業務を縮小させ、沈静化した段階から一気に回復させる運用になります。

④感染症対策BCPの全体像

シンガポールでの新型コロナウイルス感染症対策BCPの全体像は下記のとおり。

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(出典:シンガポールの新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対するBCPガイドライン ~その概要と日本企業での活用方法~ https://www.newton-consulting.co.jp/bcmnavi/guideline/guideline_covid19_singapore.html )

全体を人員管理/事業プロセス・機能/サプライヤー・顧客管理/関係者とのコミュニケーション/感染症警戒レベル/情報管理に関する情報提供と項目建てして設計しています。

こちらはシンガポールでの例ですが、日本にも適用可能な部分はかなりありますし、そもそもこういった状況で経営者としてどのように備えるべきか、論点を網羅的に確認する上では非常に有用な図だなと感じております。

⑤まずやるべきは体制整備と、重要業務の区分け

重要業務の区分けや、体制整備については、厚労省が新型インフルエンザ対策ガイドラインに記載しているこちらの整理が非常に有用です。(いずれも抜粋していきます)

1)体制についてのイメージ

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➡まずは全社の感染症対策に関する役割を設定します。(この参考資料は介護事業所を想定して作成されていますが、自社の業種に当てはめてカスタマイズするとよさそう。)

2)業務の優先度と重要度の整理

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(出典:社会福祉施設・事業所における新型インフルエンザ等発生時の
業務継続ガイドラインhttps://www.irric.co.jp/pdf/reason/research/influ/guidelines.pdf)

➡続いて、事業の重要度・緊急度を整理し、緊急時でも対応すべき業務と、状況に応じて休止すべき業務を線引きします(こちらも参考資料は介護事業所を想定していますので、自社の業種の特性を考えてカスタマイズしたほうがよさそうです。)

⑥私の持ち場で対応していること

私が経営する一般社団法人鹿児島天文館総合研究所Ten-Labでは、上記までの整理を踏まえ、下記の運用を行いました。

【Ten-Labでは】
Ten-Labは、全員が雇用契約を結ばない形のフリーランスによるコミュニティ型企業という形をとっています。平常時ではそれで何も困りませんが、こういった局面では、法人としてのリスク管理をこれまで以上に重視する必要があります。そこで、下記を定めることにしました。

1)全業務の重要度・緊急度等の整理
2)全案件の緊急時代行体制の検討と運用案作成
3)メンバーの健康管理体制の検討と運用
4)重要顧客との緊急時対応方針検討
5)フルリモート対応に対する方針の決定と運用

また、全国に拠点を有する株式会社ecommitでは、すでに3月1日に災害対策本部を設置しておりましたが、上記整理をもとに、感染症対策BCPを策定のうえ、運用しています。

⑦いまこそ、がんばりましょう

新型コロナウイルス対策の対応については、直近の資金繰りに苦しむ業界、中長期の影響を懸念する業界、社会的な要請を受けて今こそフル稼働すべき業界など、職種によって対応すべき段階はそれぞれかと思います。

まずは足元の資金繰り対策を万全にしたうえで、本業の継続に向けて、いまはやるべきことをすべてやっておきたいですよね。

これまでこちらのnoteでは、まちづくりに関することを書いてきましたが、しばらくは新型コロナウイルス対策に関するメモも書いていこうと思います。


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