信じたことをくつがえすのは難しい

蓄積した常識をくつがえすのは難しい。

「正しい」と頭の中にビッチリ糊付けされていて
引き剥がすのに相当な体力と根気が必要になります。

自分を改めるのも、相手を改めさせるのも難しいです。


少し前にテレビで、詐欺被害者が集まり
詐欺グループと思われる人たちに
怒りの訴えを起こしている映像が流れていました。
「騙したカネを返せ!」という怒りの声です。

その模様がインタビューされている中で
ある人が口に出した言葉に皮肉を感じたのでした。
「返してくれると信じるしかない。」

信じてしまって騙されてしまったのに
彼らを再び信じようとする心理の不思議です。

一度信じてしまったが為に
自分の中でそれをくつがえすのは
非常に難しいことがわかる例だと思います。

なかなか変えようと思っても変えられないのには
人間の心理的なクセが影響しているそうです。


「今までの間違った方法は捨てて
新しいやり方を試してみようじゃないか!」

働き方や様々な現代ツールがアピールされて
社会の背中を押してきているわけですが
これがなかなか難しい。

全くやっていなかった初心者だと
まだ余計なことをやっていない分
素直に実行できることが多いです。

しかし、ある程度長くやってきている人や
それなりに知識がある人の場合
知っていることとギャップがあるほど尻込みします。

今までやってきたことが間違いだったなんて
認めたくなくなってくるからです。
「この1年は何だったんだ・・・」
とポッカリ穴を開けたくないわけです。

そうすると、間違っていることでも
自分を捨ててしまうような気がして
踏み出せなくなるようになります。

こうなってくると、
本当に正しいのかどうかではなく
正しいと思いたい方向にしか
信じようとしなくなります。

(ある問題について否定派だったけど
今さら賛成派には寝返る訳にはいかない。)

引くに引けなくなってしまい
同じことに縛られるようになります。

間違っていることやズレていることが
常識や伝統の枠に入ってしまっていると
厄介になっているケースが多いですよね。


これは『影響力の武器』という書籍で紹介されている
「一貫性の原理」という心理現象?習性?の1つです。

一度「いいよ。」と承諾したら
あとに引けなくなってくることとか、
一度好きになった人はなかなか嫌いになれないとか、
せっかく遠くまで来たんだから何か買って帰らないと、とか

自分が好きなこと・信じたことに対して
同じ態度や言動を取ろうとする姿勢のことを
一貫性の原理と呼びます。

一途に信念を貫こうとする心理なんですが
悪い方向に傾くと意固地で頑固になるわけです。

「正しいことを信じる」から
「信じたいことを信じる」方向に行きます。


自分の頭の中にある常識をくつがえすには
自分の常識を疑うことです。

(自分が正しいと思っていることは、
本当に正しいのだろうか?)

人によってはちょっと怖くなってくるかもしれません。

しかし、
「正しいところもあるし、間違っているところもある。」
とフェアに見られるようにならないと、
思考の幅が狭まってしまうことになります。

おまけに誰かに間違いを指摘されると
その指摘のされ方によってはかえって反発します。
「お前、間違ってるよ。」と言われてみてください。
「間違ってない!」って言い返したくなると思います。

間違いをスッパリ間違いだと認めるのって
非常に難しいです。

自分で「おや?」と思えないといけないので
なかなか難しいです。
あるいは自分の非を受け入れること。

自分が間違っていると認めるのは悔しいですが
間違い続けて生きるのももっと悔しいので
乗り越えなければいけません。

チクショーと思いながらでも
良い方向へ体の向きを変えていく必要があります。


・・・こう考えると
「信じる」ってこと自体が
まあまあリスクを含んでいる気がしてきます。

ハリウッドのアクション映画でも
「信じる」は最後の手段ですし。

信じようとする意思だけではダメで、
何があっても良いようにスキルを磨いて行動して
信じなくても戦えるようにしておくと良いのかも。

「もっと勉強しなさい。」ってことですね。

「頑固さが出てきたら勉強不足のサイン!」
と思っておけば、良い軌道修正のキッカケになりそうです。


最後までお読みいただき
ありがとうございました!


ながたっち


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