2023/01/08 学びたい人、伝えたい人

「学び直し」と言われて久しくなりました。多くの大人が、社会に出て、働くようになってからも学ぶことの価値を認めているようです。まず、前提として、たしかに学生の本分は学ぶことにありますが、それは社会人が学ぶことから解放されることを何ら意味していません。この言葉は、その意識が前提にあるようで、とても気持ちが悪い。学ぶことは生涯かけて行うことであり、やり直すという概念がそこに生まれるのでしょうか。そもそもの考え方に強い違和感がありますが、これも時代ですから、一旦おきましょう。

さて、この学び直しですが、どんな内容でも、そこには必ず伝える人がいます。自分で本を読むこともできますが、この言葉には、何か、講義めいたようなものを帯びている気がしてなりません。すると、どうしても伝える先生役が必要になります。
ところが、この先生役から学び直しを考えることはあまりない。そこで今回は、このようなタイトルでつらつらと書き連ねます。

私は多くの人にお世話になっていますが、なかでも、ファッションに関しては、特にお世話になっている方がいます。その方が勤めているお店で、スーツを誂えてもらったり、時には何も買わずにただただお話に興じたり。SNSでも相互フォローし、多くの場面で接点をもっております。
その方に採寸していただいき、相談して決めたディテールを抱えるスーツは、はいつもこちらの予想以上の仕上げをしてくれて、大変に満足していますし、今も大事に着ております。

その方と話す話題は、いつもファッションにとどまることはありません。例えば、建築、筆記具、都市の発展や、時にはフォントにまで、多岐に渡ります。特に万年筆のsafariで有名なLAMY社のフォントの意味に関しては感動したなあ・・・
ある日、思ったのですよ。ファッションにも関わりをもっていない、ただ好きなだけの若造にどうしてここまでよくしてくれるのかと。そこで思い切り聞いてみました。その方の答えは、若い人に知見を伝えたい、でした。

その方はよく、今の若い人がスーツの着方を知らない、革靴のことに詳しくないのは、我々世代の責任である、と仰ります。若い人にその責任を押し付けようとはせず、自分たちがしっかりと伝えてこなかったことが問題であると言うのです。今の僕の年齢ではあまり実感の湧かない考えですが、いつかそう思う時が来るのでしょう。次いで、その方はだから、ちゃんと引き継ぎをして、次の世代にバトンを渡したいとも言いました。

それからしばらくして、友人とカフェにいた時、僕らも今の10代が思い切り勉強に打ち込めるところを用意できないか、と話題にしました。そこで、ふと思ったのです。学びたい人に目を向けるだけでなく、伝えたい人にも目を向けるべきではないかと。
誰かに伝えたいことがあるけど、どうすればいいか分からない人がたくさんいるはず。だから、僕らがその場を設けることができるのではないかと考えたわけです。

まだ、それに向けて具体的に動くことは考えていませんが、とてもいい発見ができたと思っています。いつか、学びたい人、伝えたい人の両者をつないで、僕らも含めて面白い場を作ってみようと思います。基本的に面白そう、からはじまることは何とか面白い形で落ち着くものだと思いますよ。

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