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海外でPCR陽性になった場合のシミュレーション

【重要】2022年9月7日から水際措置が変更されました。有効なワクチン接種証明書がある場合には出国前検査が不要になっているなど、この記事の記載とは異なる運用に変わっています。詳細は厚生労働省のサイトなどを各自ご確認ください。なお、この記事は、記録としてこのまま残します。

2022年夏現在、海外出張や国際会議への参加などの頻度が少しずつ戻りつつあるようだ。しかしながら、渡航~現地での滞在までは以前の通りに近いものの、特に帰国のためには「PCR陰性」が必須であって、以前の通りに戻っているわけではないので、もし現地で陽性になってしまうと「帰れない!」という状況が発生しうる。
このあたり、深く考えずに渡航してしまうと途方に暮れてしまう可能性もあるが、渡航前にリアルに(具体的に)施策をイメージしておくだけでもずいぶん安心だろうと思い “シミュレーション” してみたので、その結果を記しておく。

1. 現在のルール:日本への出国前72時間以内にPCR

まず、厚生労働省が示している2022年8月現在のルールは以下の通りである:

全ての入国者(日本人を含む)は、出国前72時間以内に検査を受け、医療機関等により発行された陰性の検査証明書を入国時に、検疫所へ提示しなければなりません。
有効な検査証明書を提示できない方は、検疫法に基づき、日本への上陸が認められません。
出発国において搭乗前に検査証明書を所持していない場合には、航空機への搭乗を拒否されます。

【水際対策】出国前検査証明書

このように、「PCR陰性」にならない限り、そもそも帰国便にも乗れないよ、というのが(公式な)ルールである。実際にはこの「航空機への搭乗を拒否」という運用は航空会社に任されているような感じで、実際にどこまで厳密にチェックされるかはわからない。例えば、ワクチンの3回接種の証明書(もちろん英語のもの)だけを確認する例もあるようである。しかしながら、いずれにせよPCR受診無しでチェックインカウンターにGO!というわけにはいかないので、PCR受診は必須である。

(※ちなみに、上記では簡易的に「PCR」と表記したが、実際にはもう少し細かいルールがある。厚生労働省から出ている資料を参照されたい。これに合致していなければ、いくら「陰性」でも入国できない。)
(※加えて、この記事では日本からの出国については触れていないので注意。自治体でワクチン接種証明を発行してもらうなど、やっておくべきことがある。)

2. 現地でのPCR検査が陽性になると

現地でのPCR検査は、現実的には出国の前日か、あるいは前々日あたりに受けることになるだろう。それが陰性ならば問題無いが、もしこれが陽性になってしまうと、飛行機に乗れない、ということになってしまう。
(感染リスクを考えて少しでも早く受けたいという発想もあり得るものの、正確には日本便の搭乗便の出発予定時刻の72時間前以降でなければならないので、もし3日前に受診しても乗り継ぎ後の便の出発の72時間よりも前だったり欠航等により1日遅れた便に変更されたりすると無効になるかもしれない(このケースは筆者の想像であり未確認である)ので、やはり受診は2日前が妥当だろう。もちろん1日前でもイイが、不測の事態も怖いので、できれば2日前には受診して、遅くとも1日前には結果を手にしておきたい。そうすれば、万一何か問題があった時に対処できる猶予がある。)

少なくとも現地の市民が(医療や感染の状況はさておき)日常生活を取り戻している国に滞在する場合、感染機会はかなり高いと思われる。特に日本人には未感染の人の比率がまだまだ高いだろうから、感染確率は相対的に高いように思う。というわけで、もちろん感染しないに越したことはないが、万一陽性になった場合に発生しうる状況を列挙してみる:

航空券の変更

予定していた帰国便に乗れないことが確定したわけなので、陽性のショックから立ち直ったら、まずはすぐさま復路の航空券を変更あるいはキャンセルしなければならない。

変更ができる航空券を所持している場合はラッキーである。ただし、変更といっても、いつ帰れるかはこの時点では未定なわけなので、かなり先(2週間先とか1ヶ月先とか)の日程のうち、コストが最も安い日を探すことになるだろう。変更に手数料が掛かるケースが多いと思うので、変更回数を最小限に留める必要があり、少々面倒である。
(しかも、ちょっとこういうイレギュラーが発生すると、航空会社のオンラインシステムというものはすぐにギブアップして「電話してね」と言い出しがちである(個人の感想です)。その場合、現地のサポートデスクと英語での交渉になるだろうから、不慣れな人は心積もりが必要である。)
キャンセルについては、仮に「一定額を支払えばキャンセル可」という航空券であっても、実は『「往路の」出発前なら』という条件が付いていることが多い。この場合は、キャンセルはできない(単に復路の権利を捨てることになる)ので注意が必要である。

以上のような可能性があるので、現状では、少々高額であっても変更の自由度の高い航空券を選んでおくのが安全であろう。少し前まではコロナ関連の理由であれば無償で何度でも変更可能という条件を提示していた航空会社が多かったようだが、最近は元のルールに戻している航空会社が多いようであるので要注意である。

いずれにせよ、日程が確定していない航空券を手にした状態でPCR検査が陰性になるのをひたすら待つ、ということになる。

大使館のウェブサイトを確認

次に、その国にある日本大使館(領事館)のウェブサイトを確認しよう。「国名 大使館」などで検索すれば見つかるはずだ(その国が日本に設置している大使館(駐日大使館)ではなく、その国に設置されている日本国大使館ですよ、念のため。「在〇〇日本国大使館」などと書かれているものがそれである)。そのウェブサイトには、少なくとも一般的なCOVID-19に関する情報やPCR検査等に関する情報は書かれていることが多いだろうし、場合によっては感染時の最低限の対応などが書かれているかもしれない(が、書かれていないかもしれない)。いずれにせよ、まずは大使館のウェブサイトを確認しておくことは必須だろう。

なお、この時点でもしも疑問点等があれば、大使館(領事館)に電話を掛けるという選択肢もある。現地語と英語しか話せないスタッフに繋がるかもしれないが、日本語が話せるスタッフも在籍しているはずである。

ホテルの予約

続いて、ホテルがまた厄介である。繰り返すが、いつ帰れるかがわからないわけなので、一日ずつ伸ばすか、あるいは返金されないのを覚悟で複数日の予約を取ることになる。

一日ずつ伸ばす場合は、当然ながら毎日「チェックアウト → チェックイン」を繰り返すわけなので、運良く同じホテルが取れたとしても、部屋が変わる可能性が高い。そして、その間、居場所がなくなるだろう。もっと運が悪いと、ホテルを毎日変わる必要があるかもしれない。
これを避けるために連泊で予約する場合は、PCRが陰性になって帰れることになった場合に残りの日数分の費用を無駄にすることになる。同じホテルに連泊できるのでストレスと手間は格段に小さいだろうが、無駄にした分はさすにが保険ではカバーされないと予想される(これは筆者の勝手な想像だが)ので、自腹の負担が増える。

さらに、もちろんホテル代云々よりも現地の法令が優先されるので、例えば「5日間は自己隔離ね!」と言われたらそのホテルから出られないかもしれない。いくらそのホテルが高額であっても、そこから移れない可能性もあるわけである。さらに、できるかぎり早く帰国するために連日PCRを受診することになるだろうから、PCR会場へのアクセス性もホテル選びの重要なファクターになるだろう。毎日数時間&数千円などを掛けて検査に通うくらいなら、少々高くても近くのホテルに移った方が便利だろう。このように、平時に宿を探す場合よりもどうしても選択肢が格段に狭くなると予想されるので、いつものようにリーズナブルな宿に泊まれるとは限らない。すなわち、ホテル代がかなり高額になることを覚悟しておかなければならないわけである。立地によっては一泊2万円くらいになってもおかしくはないので、追加のホテル代だけで20万円くらいになっても何ら不思議ではない。

PCR検査

そして、肝心のPCR検査である。これが陰性になるまで、毎日(あるいは2日に一回くらい?)受け続けることになる。もしもそれほど帰国を急がないならば3日に一回くらいでもいいかもしれないが、仕事がある、あるいは、講義がある、といった場合には「どうして毎日受けなかったの?」という問いに答える必要があるだろう。

いずれにせよ、前述の通り、日本政府が認める検査の種類は限られているので、これに対応している業者を探す必要がある。現在、入国などのためにPCRを必須にしている国は減っているようで、国によっては民間の業者が提供する非常に高額な検査を選ばざるを得ない可能性がある。
この検査は、例えば EU 圏だと、70ユーロとか100ユーロとか掛かるのが普通のようである。さらに、結果がすぐにわかるものなら140ユーロなどの検査も目にする。しかし、これを受けない限り帰れないわけなので、背に腹は代えられない、という選択をすることになるだろう。

ところで、PCR検査は、一般に、感染から5日くらいで陰性になるケースは少なく、10日くらいは掛かると聞く。場合によっては半月や、長い場合は1ヶ月近く陰性にならない事例もあるらしい。これだけの間、毎日1万円オーダーでの出費が発生するわけである。仮に保険でカバーされたとしても、支払われるのは帰国後であり、まずは全額を自前で立て替えなければならない。総額としても大変だが、特に学生さんが国際学会に参加したりする場合には、ホテル代と合わせるとカードの限度額を軽くオーバーする可能性も高い。さらに、学会参加費や元々の航空券を立て替えていたりする場合も多いだろうから、問題は深刻である。このあたり、万一感染した場合に誰がどうやって立て替えるのか、という話も上司、指導教員、保護者などと事前に話し合っておくべきだろう。

「領事レター」という選択肢

ところで、前述の通り、PCR検査は症状が回復していても陽性になり続ける可能性が高い。この問題に対処するため(なのかどうか知らないが)、大使館で「領事レター」を発行して貰う、という代替策があるようだ。

これは、ウェブ等では公開されていない情報だと思われるが、大使館に問い合わせると教えてくれるようだ。おそらく、「PCRがまだ陽性であるという証明書」と「現地の医師による回復証明書(proof of recovery)」と「帰りの航空券」を用意して大使館に駆け込めば、「陰性証明」に替わる効力を持つ「領事レター」なるものを発行してくれる、というもののようである。ただし、繰り返すが、これは公式にアナウンスされているものではないのと、国や時期等によって対応が異なる可能性もあるので、あくまでも緊急時の一つの可能性として頭に入れておくべき、という類いの情報である。

ちなみに、この「現地の医師による回復証明書」がまた厄介だと思われる。例えば、掛かり付け医の制度が充実している国では、そもそも「健康だよ!」なんて証明書を出してくれる医療機関を探すのに一苦労だろうし、たとえ見つかっても、それがすぐに発行されるとも限らないので PCR 陰性の結果が出るのとの競争、という様相になるかもしれない。しかも、それを大使館に持っていっても即日で発行されるわけでもないだろうから、いずれにせよ時間が掛かる。それに、大使館は一国に一カ所しかないから、そこまでの交通費と時間も掛かってしまう。従って、いずれにせよこの「領事レター」は最後の(しかも不確実な)手段だと思っておくのが良いだろう。

とは言っても、もしかしたらこの選択肢を採る可能性も少しはあるわけなので、もしも可能であればホテルは PCR 検査場と大使館と空港とのいずれへのアクセスも悪くないような立地のものに(そんなものがあれば、だが)予め移っておくと少しは安心かもしれない。

3. ついにPCRが陰性になったら

さて、晴れて PCR 結果が陰性になったとしよう。ここまで、最初の陽性の結果から1週間とか10日とかが経っているはずであるが、なんにせよこれで帰れる!というわけである。

そこでやることがいくつかある。

受け取った検査証明書が要件を満たしていることの確認

まずは、厚生労働省が公開しているサイトを確認して、受け取った検査証明書が要件を満たしていることの確認が必要である(これは陽性になっていなくても全員に当てはまることだが)。このサイトは自身で細部まで見て、受け取った証明書が要件を満たしているかを一字一句見比べて確認しなければならない。検査方法や検体など、似ているが少し違う、みたいなものがあるので、要注意である。少しでも違ったら受け入れられないだろう。また、検体採取のタイミング(時刻)が記載されていない場合もあると聞くので、これも必ず確認しなければならない。

帰路の航空券の確保

次に、航空券の確保である。陽性になった直後に変更しておいた航空券を、直近の日程に再び変更するわけである。しかしながら、特に最近はそもそも航空券の価格が高騰しており、日程が自由に選べない(一刻も早く帰りたい)場合にリーズナブルな価格で変更できるとは限らない。さらに、コロナ禍が始まって以来ずっと減便されたままという可能性があり、そもそも希望日にフライト自体が存在しない、ということもあるだろう。そんなわけで、実は追加費用が50万円、といったケースも充分に有り得る。

その場合は、仕方が無いのでその航空会社の復路の権利を諦めて(捨てて)、別の安い航空会社を探すことになる。これもかなり選択肢が限られるだろうが、無事見つかったとしよう。(それでも、例えばヨーロッパからの便だと10万円などでは見つからないだろう。片道で20万円とか30万円とかは覚悟しておいた方が良い。)

この場合に、問題が2つ。
1つは、最初の航空会社の航空券を半分捨てているので、会社あるいは大学などからその分の費用が出ない可能性が高くなる。新たに購入した復路の航空券は保険会社から出たとしても(これも一定以上高額なら出ない可能性もあることにも注意)、最初に取っていた航空券までは保険会社は出してくれない。すなわち、この分は自腹、ということになる可能性も高い。場合によっては、往路と復路の金額が分離して計算できない場合は、往路すら自腹になる可能性もあるかもしれない。このあたり、事前に上司や指導教員と相談(少なくとも情報共有)しておくことを勧める。
もう1つは、新たに取ったフライトの経由地の問題である。直行便なら問題ないが、もし別の国を経由する場合には注意が必要である(例えばドーハやドバイやインドやタイなどが有り得ると想定して書いている)。すなわち、その国のルールに影響されるのである。入国しなければスルーしてくれる国ならば、遅延等によってその国に入国を余儀なくされる場合を除いては問題無い。そうではなくて、途中までは国内便扱いだったり、あるいは入国しないのに陰性証明や保険の加入を要求してくる国であった場合に、乗り継ぎのためにあらたな書類が必要になる場合もある。従って、予定外の経由地を経由する航空券を購入した場合は、その国のルールをよく確認する必要がある。さらに、もしその国に入国してしまうと、日本帰国時の入国ルールが変わる(一瞬でも入国するとその国に滞在したと見做されて隔離ルールが変わる)ので、この点も入念に確認しなければならない。

検疫手続きの事前審査

航空券を無事確保できたら、あとは「検疫手続きの事前審査」をおこなうだけである。厚生労働省のサイトを参考に、滞在国、3回目ワクチン接種の有無、陰性証明書などを登録しておくと、スムーズに入国できるだろう。この事前審査さえ通っていれば、一時期のような長蛇の列で成田泊を余儀なくされる、といったことは起きなくなっているようだ(が、夏休みシーズンにどうなるかは知らないが)。

ホテルの連泊のキャンセル

もしホテルを連泊で予約していて、途中でキャンセルできるような奇特な契約になっている場合は、残りの日程をキャンセルする。もちろん、もしもホテルと折衝してそのような条件を事前に引き出せているならばよいだろうが、果たしてそういう要求に応じてくれるホテルがどの程度あるかは未知数である(まず無理だろうとは思う)。

というわけで、これで無事帰国できるはずである。帰国したら保険の請求をお忘れ無く。(陽性になった時点で一報を入れておくとスムーズだろう。)

4. そんなわけで、事前に用意しておくと良さそうなもの

そういうわけで、いったん現地でPCR陽性になると、いろいろ大変なことが起きるだろう。これを少しでも低減するために、事前に用意しておくと良さそうなことを列挙しておく。

体温計+血中酸素濃度計(パルスオキシメーター)

なんだかんだで COVID-19 は元々は「肺炎」である。陽性だ隔離だ、というより前に、まずは「健康状態のチェック」ができるとひとまずの(最低限の)安心を得ることができるかもしれない。最近の株ではあまり聞かなくなったが、やはり肺炎としての症状はチェックしたい(←これは完全に個人の見解だが)。体温計は言うまでもなく、パルスオキシメーターがあれば、自覚症状の有無にかかわらず自身の肺炎の状況が最低限でも確認することができるので、ある程度は安心(?)して帰国のための施策を考えることができるだろう。安物でいいので、一台持っていくと良さそうだ(例えば、しばらく息を止めて表示値が下がっていったら、その装置は一応それなりに血中酸素濃度を検出しているという傍証にはなるだろう。事前に正常値を確認しておこう)。

限度額に余裕のある複数のクレジットカード

PCR陽性になると、かなりの額の立て替えが必要になる。限度額の残高が合計で50万円くらいは残っていないと不安である。
加えて、例えば同じPCR検査を5回とか6回とか受けたり、同じ路線のチケットを何度も購入したりしていると、クレジットカードが一時的にロックされたりしそうである。もちろんクレジットカード会社に電話すれば解除はしてくれるが、「今すぐ受けたいのに!」「今すぐこの電車に乗りたいのに!」といった場合に困ってしまう。カードは、最低でも2種類、できれば3種類(3ブランド)用意しておくと安心だろう(VISA+Master+AMEXなど)。(これは普段の海外旅行でも全く同じだが。)
これはさらに余談だが、全てのクレジットカードのオンライン決済のID+パスワードも事前に確認しておくべきである。物理媒体での決済は4桁の番号で使えても、オンライン決済では別のパスワードが要求される場合がある。

検査キット

お金と時間に余裕があれば毎日PCR検査を受けるのもイイだろうが、さすがにコストが掛かりすぎる。日本政府が認めてくれないものでもいいので、安価な検査キットを何セットか持参しておくと、自分でセルフチェックできて便利かもしれない(これが陰性になったタイミングで公式なPCR検査場に駆け込む、というように使う想定)。あるいは、自己隔離を終える根拠になるかもしれない。あるいは逆に、無症状の場合にキットでの結果も陽性であれば「偽陽性ではないのだろう」と考える傍証にもなるかもしれない(直接的には意味は無いが心情的に検査結果を受け入れるのに役立つかもしれない)。

建て替え費用源の確保

前述の通り、かなりの費用の立て替えが発生する。例えば滞在が10日間伸びたとして、ホテル代が10泊で20万円、PCRを5回受けたとして5万円、航空券を取り直したとして20万円、10日分の食費と衣類などで5万円、くらいだろうか。これでちょうど計50万円である。もしこれに加えて最初の航空券や学会参加費やホテル代も立て替えているなら、合計額が80万円とか100万円とかになってもおかしくない。これを一時的に立て替える(全額は帰ってこずともある程度は返って来たとしても)のは、特に学生さんなどには重荷だろう。これをどうするのか、保護者などと事前に話し合っておくべきだろう。

通信環境

通信環境も重要である。特に、ホテルを転々とする場合やPCR検査場に向かったりする場合など、移動中に通信ができないと困ることになりそうだ。また、どうしても電話を多用することになるだろうが、できる限りそれを避けようとすると想定よりも多くパケットを消費することになるだろう。
レンタルの WiFi サービスなどは、延滞料金が非常に高額になる場合がある。あるいは、SIMなどを購入した場合は、例えば1週間とか10日とかで無効になるものもある。通常の旅程であれば充分であっても、10日くらいは追加で伸びる可能性が充分にあるということを(日数的にも容量的にも)認識して選択した方が良い。
例えば、ahamo は特にオプション契約などをしなくてもそのまま海外ローミングできるので便利だが、15日経過後に128kbpsに落ちる(チャージも不可)。あるいは、楽天モバイルは日数制限はないが、2GBを超えると128kbpsに落ちる(チャージは可能)。使用予定の SIM によって挙動は様々なので、入念に確認してから出かけられることを推奨する。
もちろん現地でSIMを調達すればそれで問題無いが、大都会ならともかく、地方のホテルの近くで販売しているかどうかわからないし、そもそもそれを探し歩く気力が残っているとも限らない。できれば余裕のある通信環境を(多少コストが上がったとしても)用意しておくのが安心だろう。

以上、深く考えずに海外に渡航してしまって途方に暮れてしまう可能性を少しでも低減するために、渡航前にリアルに(具体的に)施策をイメージしておいていただきたい事項を列挙してみた。是非これらを脳内で “シミュレーション” して、万一に備えていただきたい。

[2022年8月8日 23:50更新]

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