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各Web会議システムのノイズ除去性能・傾向の比較

 ここ1年間ほどで主要なWeb会議システムにノイズ除去機能が次々と追加されたのでその性能をテストしてみた。結果、傾向の差はあるものの、いずれも充分に実用的なものであり、各社の努力が伺える。他方、条件によっては必要な音声まで除去されてしまう場合もあり、注意が必要である。

 なお、ここでテストしたのは「ノイズ除去(ノイズキャンセリング)」の性能であり、エコーキャンセリングの性能ではない点にご注意いただきたい。「ノイズキャンセリング」は外来のノイズを除去するものであるのに対し、「エコーキャンセリング」はスピーカーから出た音がマイクに戻るのを防ぐものであり、全く別物である。この「エコーキャンセル性能」の優劣は、場合によってはノイズキャンセル性能よりも重要であるので、よくご存じではない方はこの記事などをご参照いただきたい

比較方法

 比較に使用したのは Zoom, Teams, Webex, Meet の4つで、全て執筆時点(2022年9月11日)での最新版を利用した。

利用したバージョンと設定(動画内で紹介している順番):
Zoom: 5.11.11 (自動/低/中程度/高)
Microsoft Teams: 1.5.00.21668(自動/高/低/オフ)
Cisco Webex Meetings: 42.9.4.14(ノイズ除去/自分の声に最適化/すべての音声に最適化/ミュージックモード)
Google Meet: 2022年9月11日時点のWebアプリをGoogle Chromeで利用(ノイズキャンセルON/OFF)

 この4つのシステムに、あらかじめ作成したノイズや残響を追加した音声を流し込み、別の PC で録音した。なお、録音後の音質調整等はおこなっていないので、それぞれのシステムの音質そのものの違いも同時に確認できる。

比較結果

 結果については、以下の動画をご覧頂きたい(冒頭にオリジナル音声を入れてあるので、これとの比較をご確認頂きたい)。

 この動画でわかるように、今回テストした4つのシステム全てにおいて、傾向の差はあるものの、充分に実用的なノイズ除去性能が見られた。少なくとも「ノイズを通さない」性能としては、思っていた以上にどれも良かったというのが筆者の正直な感想である。

 他方、大きなノイズが入った際に自身の音声まで消えてしまう(無音に近くなる)システムもあり、いずれにせよ外来ノイズの小さな環境で利用することの重要性も浮き彫りになった。すなわち、本当に周囲が五月蠅くなってしまった場合には、自分の声まで消されてしまわないように、残念ながら設定を「中」や「中程度」などに変更しないと会議が成立しないだろう、ということである。
 加えて、ヒドい残響があった場合に自分の声までノイズと見做して除去してしまう傾向の強いシステムもあり、部屋の音環境にも気を遣う必要があることも明らかになった。残響除去性能までは期待していなかったが、むしろ残響があることで必要な音声まで消してしまうシステム(設定)の存在はこれまで認識していなかったため、少し驚いた。
 ついでに、各Web会議システムの音質そのもの(ノイズが無かった場合)にもかなり違いがあるので、各自ご確認頂きたい。好みの問題もあるだろうが、個人的には Zoom と Webex のミュージックモードの品質が突出しているように感じる。

まとめ

 各システムのノイズ除去性能はいずれも非常に高く、積極的に利用する価値があるように見える。これまで意識していなかったという方は、ぜひご自身のソフトウェアの設定を確認されることを勧める。

 加えて、繰り返しになるが、快適な Web 会議のためには、ノイズ除去に加えてエコーキャンセルや適切なマイク配置などについて理解しておくことも非常に重要であるので、ぜひこの記事などもご参照いただきたい

 以上の内容を把握された上で、快適で活発なミーティングを実施して頂きたい。

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