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株式投資虎の穴の内容(9/13)を5分で振り返り

先日の放送では、日本経済が成長していないこと、そして世界の成長を取り込むために投資したほうがいいこと、それからセゾン投信についてお話しいしました。

番組をまだご覧になっていない方、もう一度見たい方は以下からご覧ください。

1.貯蓄から投資って本当?

貯蓄から投資がスローガンとなって久しいです。私が社会人になったころからずっと続いていますので、伝統的なスローガンになってきましたs。実は皆さまが日々の生活で一生懸命貯めた現金預金は、形を変えて世界中の投資に回っていることをご存じですか?今回はその仕組みを簡単におさらいしましょう。

日本銀行統計

これが日本銀行が公表している資金統計です。10年前の個人資産がこちら。ここから見てわかることは、資産規模が増えているのですがそれに伴って現金・預金が積みあがっており、そのほかは保険で占められているということです。

日本の保険は、株式投資などのリスク資産で運用することは少ないので、保険会社が大きく株式投資のリスクを取っていることはありません。

この表には出ていないですけれども、これも仕方がないところがあるんですよね。住宅ローンで買ったお金が隠れているのです。これだけ見ると増えないのですけれどもね。

それはともかく、現金預金でおいていることには違いがないわけです。これはどのように使われているのでしょうか?銀行などの金融機関は貸し出しに回しますが、それができない場合には運用をして稼ぎます。日本だけでなく、海外の債券を買うなどして運営しています。

あなたがリスクをとらなければ、代わりに銀行が世界に投資をしてその投資から得られた利益は世界各国で経済成長につかわれます。

銀行も外国債券という形で投資をしますので、その対価をえます。預金者は銀行預金の形で持っていてもほとんど還元されません。

一方、貴方がリスクをとって、直接投資に回した場合、成長を投資先の株価上昇という形で享受することができます。

もちろん、投資にはリスクがあります。短期的には下落するリスクはありますけれども、長期的にはこれまでのところ上昇してきています。資本主義は基本的にインフレし続けるシステムなので当然と言えば当然です。

結果としては何らかの形で現金は世界中で投資に回っていますので、何も心配することはありません。結局は経済成長のドライバーとしてあなたの預金は使われていて、その果実を得るのが誰なのか?という問題なのです。

よくこのお金が資本市場に流れ込めば日本経済がおおきく成長するなんてロジックをきくことがありますけれども、これは間違いで、マネーは有力な投資先にすでに投下されています。

そう、金融業界の「貯蓄から投資へ」は何のことはない、手数料稼ぎのためのスローガンだったのです。

この事実を知って、投資するかどうか、何に投資するかは、まさに投資家にゆだねられています。

2.自民党総裁選挙

これまでのところ、3人の候補者が有力とされています。岸田文雄氏、高市早苗氏、河野太郎氏の3人です。政策面で少し見ていきましたけれども、岸田文雄氏は大きな政府を志向。さらに公共事業を増やす。

増税派というイメージが付きまといます。新自由主義からの転換、新自由主義とは資本市場のプレーヤーの行動が最適化をもたらすという発想ですが、すでに日本の株式市場は官製市場うとなっています。

日銀は株式を大量にETFという形で買い上げるほか、短期債券市場のみならず長期債券市場でも国債を買うオペレーションを続けており、金利を低利に誘導しています。これが官製相場でなくて何なのでしょうか?

高市早苗氏はインターネット上では人気がありますけれども、投資家からは3割増税を打ちだしたがために、株式投資界隈からは人気がなくなってしまいました。あまりの不人気政策であることを悟った高市氏はその後、2%のインフレを達成した場合に造成を検討するとしており、トーンがだいぶ下がった印象を受けます。

もっとも税金の話は、財務省や税調(税制調査会)との話し合いできまります。金融庁も毎年税制措置についての要望を出していますが、それがすべて通るわけではありません。したがって、首相の意図がすべて反映されれうわけではありません。

河野太郎氏は経済政策についてはあまり強く押し出していません。反原発の先陣を切っていたはずですが、原発再稼働容認にかじを切るなど、これまでの政策との違いがきになるところではあります。

結論としてはだれがやっても変わりなし

結論としては、だれでもあまり変わりません。自民党である限りは既存のレガシーにのっかった政策がつづきます。平時で有ればともかくコロナが続いている状態では、打つ手は限られてくるでしょう。

そして、自民党の制度では推薦人を20人以上集めて投票する仕組みになっています。なぜ推薦するかといえば自分に有利な政策を実行してくれるからであって、バックアップされているのでその意向(株主の意向)を聞かざるを得ません。

顔が変わっても支持母体が変わっていないのですから、政策が大きく変わると考えるほうが難しいでしょう。バランスを取ってこれまでの前例踏襲を続ける政権が誕生する可能性が高いとみています。期待感が高まるものの次第に失望されて、人気取りと長期的な視野に立った運営ができないという板挟みが続けられるのです。

脱炭素は長いテーマ

株式投資の長期的なテーマとして脱炭素は大きなトレンドになっています。株式市場のテーマには長いものもありますが、短いものもある。コロナ関連銘柄というのは賞味期限が短かった。昨年コロナ銘柄としてもてはやされた銘柄の現在の株価はとても苦しいものになっています。

しかし、脱炭素はトピックとして長い。電気自動車の対応期限を見ても、2030年、2035年というのがテーマとなっています。あと20年から30年は脱炭素ブームが続く。

番組で和田憲治さんがいっていたように、個人的に賛成反対の意見はあるでしょうけれども、そこに投じるお金が増えるとみるや自分も乗っていくのが投資家です。それだけホットマネーが流れ込みやすい状況jにないっています。それが表面的に出てくるところではかわれます。

最近ではエネチェンジ(3480)、レノバ(9519)といった再生エネルギー関連の銘柄にお金が流れ込んでいます。国が再生可能エネルギーの予算を増額することが明らかになってきたので、関連銘柄の業績が向上するという思惑から株価が上昇しているのです。

3.セゾン投信について

セゾン投信は、独立系投信として積立NISAにも選定されているファンドです。代表は「積立王子」こと中野晴啓(なかの はるひろ)氏です。

キャッチフレーズは「いそがないで、歩こう」。そのフレーズどおり長期投資で世界経済の流れに乗って資産を増やすことを、個人投資家に提案しています。このファンドでは債券と株のミックス型、株式投資特化型の2つの商品を長期投資によって資産を増やしたい個人投資家向けに販売しています。

時間軸に縛られず投資できるのは個人投資家の特権です。個人投資家は機関投資家の売買事情を知る機会は少ないので自分ではメリットだとは思っていませんが、実は機関投資家にはないメリットなのです。

時価会計制度が導入されてから、機関投資家はリスクが大きい資産を保有することが難しくなってきました。保有している有価証券の値段を決算のたびにいくら儲けた、損をしたということを報告しなければならなくなったのです。

個人の株式投資ではいくら含み益が出ていても、含み損が出ていてもそれを年収として計算することはないですよね。あくまで別建ての計算です。しかし、法人ではそれを報告しなければならないというルールになっているのです。

ソフトバンクGの決算を見てわかる通り、投資している有価証券が値動きすると激しく企業業績が上下動するのです。金融機関は事業会社よりも強い足かせがはめられていて、リスクの高い投資ができないようになっています。

個人投資家にはそういた時間のしばりがない。着実に資産を積み立てていける個人相手のビジネスに勝機を見出した代表取締役の中野氏は、長期投資を標榜する投資信託を作ることを提案します。

ただ、今でこそ独立系の投資信託は市民権を得ていますが、ほんの20年前、2000年頃は非常識でした。当時の証券業界の投資信託販売(今もそうなのですが)というのは、証券会社主導が、顧客に連絡して次々と投資信託を乗換えさせていたのです。

セゾン投信も長期ファンドを作ってみたものの、販売パートナー会社は販売開始から数か月後容赦なく乗り換え営業を開始。まさに業界の洗礼をあびてた中野氏は、自分たちで直接販売するしかないと決断。

当時はハードルが高かった独立投信の認可を取得するため、金融庁を1年がかりで説得。さわかみファンドの創始者、澤上篤人氏のサポートを借りながら、2002年に認可を取得しています。

セゾン投信は、実は日本に紹介したい米国の投資運用会社がありました。それがバンガード社です。今でこそバンガードの商品は日本でも有名になりましたけれども、2000年代前半は有名ではなかったのです。

バンガードは直販モデルを取っており、なるべく安い手数料で投資家に金融商品を提供することをモットーとしています。その当時の日本の金融機関は、外国の金融商品を取り扱う際に高い手数料を要求していたのですが、それを良しとしないバンガードは提携先がありませんでした。セゾン投信の中野氏は日本法人の方を経由して、米国本社と掛け合います。バンガードのビジネスモデルを理解し、彼らの商品を日本でも広めたいという熱意がついにとおり、バンガードとの提携関係を締結。2007年に本格的な長期投資ファンドが産声を上げたのです。

グローバルバランスファンドは債券ファンドと株式を半々にしたファンドです。運用実績は以下になります。

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株式の達人ファンドは株式を100%組み入れたファンドです。運用実績は以下になります。

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どちらもファンドオブファンズ形式で運用されています。ファンドオブファンズとは投資信託に投資をする形式。いわば投資信託のソムリエが、顧客にとって最適な投資信託をセレクトしてくれます。

長期的にはリスクを取っている分株式投資のほうが増えている金額が大きいですね。

海外に投資するのがプロとして当然の判断

冒頭の話にもつながるのですけれども、プロは合理的な判断で、預かった資産を運用します。世界経済は成長し続けていますから、投資信託の運用でも世界経済の成長を取り込む形で運用することが最適解となっています。

国内で投資できるところがすくなく、規制緩和が進まないこともあって海セゾン投信も海外の成長性にかけています。安倍内閣は財政出動、金融緩和はやりましたけれども、第三の矢といわれる構造改革はできなかった。

規制緩和の一例をあげますと、ウーバーイーツのタクシーを解禁するということです。日本以外の諸外国では当然のようにウーバードライバーのサービスが使われていますけれども、日本ではライセンスを持っているタクシーしか使うことはできません。日本でできるのは食事の配達(ウーバーイーツ)だけです。

日本以外のどこでもウーバーのようなサービスは利用されているのに、タクシ―業界の既得権を維持するために規制緩和できないのです。賛否両論あるでしょうが、一事が万事で何かと既得権に配慮して物事が進まないのが日本です。今日本で伸びる会社というのは既存の市場慣行に従わず新しいサービスを提供し続ける会社です。インサイダーから大きくなった会社はありません。現状に問題を感じた創業者が業界からスピンアウトして新しい会社を作っています。

二極化がすすむアクティブファンド業界

積立NISAに入るような投信は残高が伸びますけれども、そうでない投資信託は残高が伸びなくなってきています。これは勝ち組の投資信託は過去の実績、積立NISAに選定されているという金融庁の太鼓判があるために、定期的に資産が流入していくわけですけれども、そうではないファンドはイチから実績作りをしなければならない。

成績が良くなれば資金流入しやすくなりますけれども、ひふみ投信が1兆円の残高、そしてセゾン投信が4,500億円の残高をすでに保有している状態で、追撃するのは容易なことではないでしょう。

証券会社系列の投資信託であれば、グループの力で強引に投資信託を売ることもできるのですけれども、販売チャンネルが基本的に自社となっている独立系の投資信託では優劣がはっきりしてくるでしょう。

運用のパフォーマンスが上がっていること、そして顧客が付いていて安定的に資金が流入してくる投資信託を自然と選ぶようになりますから、これからは二極化の時代がやってきます。

アクティブファンドを購入する皆様はもちろん、資金流入が続いていて、成長し続けている投信を中心に選ぶことをお勧めします。

株式投資虎の穴について

株式投資虎の穴は初心者向けに、株式投資を面白くお伝えするインターネット放送です。オンザボード代表和田憲治氏と、サラリーマン投資家長田淳司が対談形式でお送りしています。

隔週月曜日放送で、次回は9/27(月)20:30~22:00の時間に放送します。次回は、放送できなかったパナソニックを取り上げます。放送内容の事前告知などはツイッター(@nagata_junji)をフォローしてご確認ください。

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