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長田淳司の株式投資・経済ニュース解説(2021/6/27)

今日は以下のニュースを取り上げました。

社長の給料、日米で16倍差 米国平均は23億円

日本と米国では社長に就任するルートがちがいます。米国では、基本的に最初から社長候補の人を外部からヘッドハントしてきます。一流の大学を卒業し、大学院でも経営学修士を取得し、一流企業でジョブホッピングをしながら次第に経営幹部としてのキャリアを積んでいくのです。いくら従業員で頑張っても、経営幹部ポジションには、適材な人材を外部から招聘するので一般の従業員でキャリアを始めた職員は出世は一定のところで昇進が止まります。

米国は人種・性別・年齢といった条件で差別することが禁止されているので、上級幹部に応募できる条件として、大学院を卒業してMBAを取得していることが含まれています。実際にはそうした高等教育を受けられるのは白人のエリートの子弟に限られがちなのです。

一方日本では、従業員の中から出世競争に勝ち残った人が役員に登用され、そして実質的には前任の最高経営責任者が、次の最高経営責任者の選任に強い影響を及ぼします。形式的には平等なレースの結果、最後にたどり着くのが社長という地位なのです。35歳から40歳ぐらいまでは横一線で過ごして、そこから次第に地位の逆転が起こりだします。

コロナ禍で変わる株主総会 有望株見極めの好機に

株主総会は、普段会社の生の声を聴くことの少ない株主にとって貴重な、経営陣との対話の機会です。最近では新型コロナウィルスの感染拡大を避けるために、一か所に株主が集まる=密が発生する状況を回避するために、当面は仕方がないかもしれません。

もちろん、当日参加できない株主向けに情報提供手段としてオンラインでの株主総会への配信を開始する企業も増えました。株主が多い会社ですと、会場の確保もこれまで大変でしたがオンラインですとスマホ一つで見ることができますから、一度オンライン視聴するようになるとそちらのほうが便利という株主もいるでしょう。

現地での密の時間をなるべく短縮するために株主総会自体は短くなる傾向があります。日本の会社は株主を面倒くさい質問をする主体だととらえてあらゆる質問に答えられるように分厚い想定問答集を用意しているものですが、質問が少なくなると運営側としてはホッとするでしょうね。

しかし、株主総会は経営への関与がほとんどできない個人株主にとっては貴重な機会であることには変わりませんから、株主総会以外でも個人株主を大切にする会社では対話を重視するオンラインイベントもこれから増加しそうです。

総会には会社のカラーが出る 億万株主はここをチェック

私は書籍でも、オーナーに注目して投資をすることを進めています。会社のかじ取りは企業のトップに託されており、メッセージ性を一番強く感じ取ることができるのはオーナー社長です。

会社の事業の特徴が完全に頭に入っている社長は、プレゼンテーションの場面で、原稿を読み続けることなく自分の言葉で話します。決算数値の説明は棒読みのところも仕方がありませんが(決算の内容は社長が自ら語る必要性はないので財務部門の最高責任者が話すことも多いです)、今後のビジョンに関する部分ではその社長の個性がでます。どんなことを考えて今後経営をしていくのか。

それを肌で感じることができるのが、株主総会なのです。音楽が手軽にスマホで楽しめるようになりましたが、やはりLIVEでしか味わえないアーティストの魅力というものはあります。LIVEだから伝えられることもある。それと同じように、実際に株主総会で社長の放つオーラを体感することには意味があります。

また、株主総会を支えるスタッフの動作にも注目する投資家もいます。会場案内、当日の議事進行のサポート、トラブルの対応などがスムーズにできていると、あらゆる状況に対応して会社が一丸となって目標達成できる会社だという心証を固めることができます。逆に社長はいいことを言っているけれども、スタッフにはそれが伝わっていないようですと、逆に投資対象から外れるということもあるでしょう。

数字に表れない情報を株主総会で知ることができます。我々外部の個人投資家は、会社のことがほんの少ししかわかりません。その少しの手がかりを手にすることができるのが株主総会なのです。

FRB悩ます2013年の悪夢 緩和縮小、新興国に余波も

最近の株価動向は、まさにFRBがいつ金融緩和のスピードダウン(テーパリング)をするかで一喜一憂する展開です。これまでの株価の上昇は、日米欧の金融緩和によって演出されてきたのはまちがいありません。その総本山が燃料投下を減らすというメッセージを出せば一時はマーケットは失望感で売られるでしょう。

現に、2013年、金融危機から立ち直った米国経済がインフレ基調を強める局面で、FOMCで突如金利の上昇を決定した後、米国の株価は15%程度調整しました。マーケットの参加者は、金融緩和が減らされることで、株価への悪影響を心配したのです。

しかし、短期的には株価は弱含んだとはいえ、景気回復が続いたアメリカ株式は上昇を続けており、現在は当時よりもはるかに高い水準で推移しています。以下は、NYダウとナスダックのチャート(SBI証券より抜粋)ですが、いずれも2013年から上昇が続いています。

NYダウ工業株30種平均指数

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NASDAQ指数

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景気回復はまだ続くとみていますので、仮に大きく調整したとしてもそこが買い場だと見ます。

新興国は米国が利上げすると、資金が流出する傾向にあります。投資資金を外国からの資金で賄っている新興国はその影響が大きくなります。ドルベースで借り入れを起こしている国もあり、新興通貨安ドル高となりますと、新興国通貨ベースでの債務が膨らむこともありますし、また成長のための投資資金が入りにくくなります。

放送予定について

当方の都合で、空いた時間に放送します。平日はお昼(12:00~12:30)ぐらいか、夜21:00以降に放送することが多いです。放送直前にTwitterでご連絡しますので、LIVEをお聞きになりたい方はツイッター(@nagata_junji)のフォローをお願いいたします。

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