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長田淳司の株式投資・経済ニュース解説(2021/6/25)

今日は以下の放送でお届けしました。

高齢者、金融トラブル多く 商品購入は家族もチェック 

金融機関としてはお金を保有している高齢者層に金融商品を売り付けたいというニーズはありますから、どうしても高齢者層も営業ターゲットになります。高齢者の人数が増えていき、今後もお金を持っている層がここに溜まり続ける構造は変わりません。

こうした状況でも、高齢者向けに金融商品を販売するというのは金融機関としての行動としては当然です。それに金融機関も、家族を同席させる、確認書を取る、録音するなどといった手続きを取っていますが、そもそも本人が理解していないと、どうしてもトラブルが発生する可能性は残ります。

なかでも心配なのはこれまで金融商品を買ったことがなく、退職金でまとまったお金が入ってきたために、それを資産運用しようと金融機関に相談するようなご年配の方です。

冷たく聞こえるかもしれませんが、現役時代に投資をしていなかった人が退職金で投資を始めていきなり成功するとは思えません。現役で投資していた人もすぐに投資で成功した人は少数派で、むしろ失敗を重ねるうちに次第に投資が上達した人が多いのです。

65歳で退職金をもらった人が、投資がうまくなってくるというのはさらに数年後先のことです。また投資というのは1,2年で成果が出るとは限りません。含み損に耐えなければならない期間もありますね。

また利回りが良さそうに見える金融商品の購入にも注意が必要です。昨今の低金利の状況では通常に国債だけでは、金利が高い商品を提供することはできません。金利が高いのは何らかの「味付け」がされていることが一般的です。

味付けというのはオプション取引などデリバティブを使った金融商品です。社債なのに10%など、やたらと金利が高いものとかありませんか?そういった商品はオプション取引などが含まれており、株価の変動によっては思ってもいなかった形で償還されることもあります。

デリバティブやオプションという言葉が人に説明してもらわないとわからないようでは、投資すべきではありません。よく仕組みがわかった商品を買うことが大切です。分からなければ無理をして買う必要ありません。

パナソニック、テスラ株を全て売却 提携関係は変わらず

パナソニックはテスラの株式を2010年に約24億円で取得しています。今回売却したことで約4000億円もの取引で売却益を上げることができました。この取引は狙おうと思ってもできないものですが、この売却に2021年4月に71億ドル(約7700億円)で完全子会社化を決めた米ソフトウエア大手、ブルーヨンダーの買収原資として充当したいという思惑があったのでしょう。結果的には高値圏で売却することができた、素晴らしいトレードになりました。

おそらくパナソニック社内でもこれは話題になっている取引だと思われます。トヨタ自動車も昔は提携関係があったのですが、ここまでの大相場になる前に2016年ごろまでに売却してしまったのでこの波には乗れなかったのですね。

三菱自動車、200万円切る軽EV 価格競争広がり普及期に

三菱自動車は200万円切る値段で電気自動車を販売します。ガソリン軽自動車は100万円を切る水準ですけれども、三菱自動車が販売する電気自動車は200万円弱で購入できるということで、本体の差額が100万円を切ってきました。電気代を含めても、まだ割高な側面は否めませんが、200万円割ると一般的に購入できるという価格になってきます。

今後一気に普及する可能性が高まってきました。この分野では割安な価格で大量生産している中国が先行しており、日本のメーカーも中国メーカーとの間で価格競争を強いられることとなりそうです。

家計金融資産、7.1%増の1946兆円 日銀統計

20年度税収、コロナ前超え 法人税上振れで58兆円超

新型コロナウィルス禍でも、法人税の支払い主体となっている大企業の業績は好調だったことが税収でも裏付けられた格好です。旅行・飲食などの業界は弱いですが、IT関係はもちろんのこと、製造業も下半期(2020年10月以降)は復調しており、終わってみれば2020年3月度とあまり利益水準が変わらないという企業も多かった。法人税収が好調ですので、減税の議論は盛り上がりそうにないですね。

ワクチンパスポートの国内活用を提言 経団連

国内でもワクチンパスポートが利用される機会が増えるかもしれません。飲食店ではワクチン接種済の人だけが利用できる席などが今後できるのでしょうか。大規模な集客会場では、稼働率を上げるためにワクチンを接種している人に割引をする、これまたワクチン接種済の人のゾーンをつくるなどの取り組みがでてくるかもしれません。

海外旅行については、まだワクチンがいきわたっていない国も多く、医療体制が不十分な国は、新型コロナウィルスの陽性者の入国には神経をとがらせています。と同時に観光客を呼び込みたいという切実なニーズもありますから、ワクチンパスポートによって観光客の流れを管理するという仕組みは近々導入されそうですね。

ライザップ、経営スリム化でも険しい再建への道

ライザップのビジネスモデルは未だに好調なのですが、本体自体がたくさんの不採算部門を抱えており、その子会社を整理するためにここ数年間は特別損失を計上するなど我慢の経営を強いられていました。

自分が蒔いた種といえばそれまでなのですけれども、不採算部門を切り離す際には取得価格よりも大幅に安い値段で手放すことになりますし(取得する側が儲かる余地がないと取引が成立しません)、人員も削減したのでリストラを敢行した年が赤字になるのは仕方がありませんが、何年も赤字を続けるわけにはいきません。

これまで同社の金庫番だったみずほ銀行も急速な財務体質の悪化により融資態度を変えることをちらつかせていた模様です。つまり、借りっぱなしでいいよというスタイルから、赤字が続くようであれば少しずつ返済してほしい、いや今後は一括返済してもらうというような交渉が水面下ではあったと思います。株主も赤字を嫌がりますが、銀行はもっと赤字を嫌がる存在です。

株主は将来の株価上昇のためであれば短期的な赤字を受け入れますが、収入を融資金利に頼っている銀行としては、毎年安定的に利益を上げてもらうほうが望ましいのです。2021年度3月期にわずかながら営業黒字となったことで若干メーンバンクのみずほ銀行との関係もよくなり、財務面での不安がおおきく和らいだのではないでしょうか。

放送予定について

当方の都合で、空いた時間に放送します。平日はお昼(12:00~12:30)ぐらいか、夜21:00以降に放送することが多いです。放送直前にTwitterでご連絡しますので、LIVEをお聞きになりたい方はツイッター(@nagata_junji)のフォローをお願いいたします。

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