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自民党過半数獲得で株価はどう動く?(2021/11/09株式投資虎の穴より)

先日も株式投資虎の穴をご覧いただきましてありがとうございました。今回も私の備忘録を兼ねて放送内容のメモを投稿します。まだ本編をご覧になっていない方は、放送の全編を以下からご覧いただけます。

今回の振り返りから、放送の振り返りをトピック毎に投稿することにしました。全部まとめて書いていると合計で一万字以上の投稿となってしまい、せっかく訪れていただいたのに読みにくいのでは、と考えたからです。

ということで、今回は最初のトピック、自民党総裁選から衆議院選挙の結果までの日経平均株価を見てみましょう。

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菅前首相の自民党総裁選不出馬発表から動き出した政局

2021年の8月後半までは、菅前首相は次期総裁選に出馬する予定でした。現行の総理大臣が出馬するとなるとよほどのことがない限り現職有利となりますので、菅前首相がそのまま任期を「更新」した可能性が高かったでしょう。

ところが、オリンピック直後は新型コロナウィルス第5波の感染拡大か止まらず、新型コロナウィルスの感染拡大が止まらないのは菅前首相がオリンピックを強行したせいだ、とオリンピックの間は金メダルの数を数えてばかりいたマスコミが、オリンピックが終わるや否や一斉にコロナ感染者数のカウントを再開しはじめたのです。

直前の横浜市長選挙でも敗北した菅陣営の求心力は低下し、選挙区での基盤がまだ確立していない若手を中心にこのままでは衆議院選挙を戦えない、トップを変えるべきだという意見が党内に高まります。日経平均株価もこれまでの菅総理続投のシナリオが崩れて、選挙にもしかして負けて政局が不安定になってしまうのではないかということを織り込みにかかります。

自民党が選挙に勝つことを最優先にした菅前首相は、自民党総裁選に不出馬を表明。これを機に、選挙の顔が変われば自民党が勝利して現在の経済政策が維持されるのではないかという期待感から株価が再度上昇をはじめます。

日経平均株価は今回の総裁選に正式に名乗りを上げる人が出てくる前から期待感で上昇し始めており、実際に、岸田、高市、河野、野田という4人の候補者が出そろった段階ではすでに横ばい状態になっていることに注目してください。期待感が株価を押し上げていったのです。

不安定感を何より市場は嫌がるもの

株価は期待感と失望感を常に先に織り込んで動きます。とくに先行きが不安定になった時には株価は調整します。株式市場が嫌うのは何がこの先に起こるかわからないという不安定感です。

常に株式投資は不安定な状況で動くもの。すこしでも不確実性が高まると、投資家としては、ひとまずは株を売却して手元に資金を置いておこうという動きが強まります。

一例としては2020年3月のコロナショックのときに株価が大きく調整したのは、新型コロナウィルスという未知の病原体が世界中に伝播して、これから世の中がどのようになっていくのかがわからないという不安感に襲われたからです。

その後も新型コロナウィルスの感染拡大は続き、2020年3月時点よりも状況はむしろ悪化していきましたが、株価自体は順調に上昇し続けました。どんな悪いニュースでも既知の情報となると、株式市場は悪材料に反応しなくなります。これは初心者がついつい引っかかってしまう罠ですのでよく注意しておいてください。知っていることは、短期的に大きく相場を動かす材料たり得ません。

株式市場は先を見て動くものですから、景気後退など悪いことが起こっても、その先に回復する局面があるだろうというところまで読み取って動くのです。盛んに専門家が新型コロナの感染拡大を懸念ししていましたが、結局は株式市場コロナショック後大きく調整することはありませんでした。

いざ自民党総裁選が始まると株価は停滞

話は自民党総裁選に戻ります。今度は、すでに菅政権ではなくなることが確定しているので、あたらしい人が出てくることにつかの間の陶酔感に浸っていた投資家もいざ候補者の顔ぶれを見てみると、どのような政策が打たれるのか、様子見ムードを強めます。これが株価の横ばいにつながります。

さらに岸田氏が自民党総裁選で勝利し、新首相として任命されると、金融取引課税強化が嫌気されて投資家がややよわきになったところを狙った大口の売り仕掛けが出て、日経平均株価は一時27,000円まで下がりました。

しかし、その後岸田新首相が金融取引課税の見直しをして、一人の政治家としてのポリシーは胸にしまい、首相としては当面実施をしないと発言したことを受けて株式市場は安堵を取り戻します。聞く力を売りにしている首相ですから、軽く観測気球を上げただけで短期間に反対の声が大きく燃え上がったのを見ては、撤回したほうが身のためだと気が付いたのでしょう。

その後は衆議院選挙に突入していきますが、ここでも選挙戦が進むにつれて野党が大きく票を取る見込みがなくなるのに平仄を併せて株価はじりじりと上昇していき、これを書いている11/10現在では29,000円どころで落ち着いています。

今後の株式市場の行方

株式市場は様々なニュースで動きますが、その一つとして政府の政策があります。今回岸田新首相は11月中旬にも20兆、30兆ともいわれる大型の経済対策を打つことを検討しています。

これまでの記者会見や所信表明演説での発言を参考にしますと、18歳未満の若者への特別定額給付金、事業者向けの持続化給付金、雇用調整助成金の延長、GOTOキャンペーン再開など、安倍元首相や菅前首相が取り組んできた案の焼き直しの感が否めません。

これらの政策は一度党内や省庁の調整を経て、すでに一度実施されているものです。再度実施するとしても、比較的スムーズに事を進めることができます。利害関係者の根回しが済んでいる案件とも言えます。前例踏襲というのは、反対意見が少ないものですから、これらの政策パッケージは予定通り実施される可能性が高いでしょう。

逆に菅前首相のように、反対意見があっても携帯電話の料金を下げさせるですとか、福島第一原発の処理水の海洋放出といった話は出てきていません。調整型の政治家ですから、担ぎ上げてもらった支持層と溝ができるようなデリケートな案件はやらないはずです。

期待感は乏しいが金融市場にとってはおおむねプラス

期待感という意味では乏しいですけれども、金融政策が今後も引き続き踏襲されていくという意味では株式市場にとって追い風が吹き続けると言えそうです。といっても米国もいよいよテーパリングを開始し、日銀もETF・J-REITの買い入れ金額を減らしていることからもわかるようにすこしづつ中央政府の政策も常態への回帰を目指している状況です。

短期的に調整局面が来てもおかしくありません。ただ、皆がそのリスくを十分認識している間は不思議と大きな調整は来ないものです。大きくポジションを落とすことなく臨んでいきます。

次回は、節税術についてのコメントをまとめたnoteを投稿します。

株式投資虎の穴について

株式投資虎の穴は初心者向けに、株式投資を面白くお伝えするインターネット放送です。オンザボード代表和田憲治氏と、サラリーマン投資家長田淳司が対談形式でお送りしています。

隔週月曜日放送で、次回は11/22(月)20:30~22:00の時間に放送します。放送内容の事前告知などはツイッター(@nagata_junji)をフォローしてご確認ください。

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