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株式投資虎の穴の内容(9/27)を5分で振り返り

9/27の株式投資虎の穴は1.株式投資セミナーのご紹介、2.新生銀行対SBIh-ルディングス、3.みずほ銀行の業務改善命令について、4.銘柄研究:パナソニック、でお伝えしました。

番組をまだご覧になっていない方は以下からご覧いただけます。

1.株式投資セミナーのご案内

株式投資の勉強はほっておくと、急ぎではないのでついつい先延ばしにしがちになります。ですが、昨今の状況で従業員の給料は全く上昇していません。豊かになろうと思ったらどうしても投資を避けることはできないのです。

これまでの日本人はマイホーム・保険・定期預金で資産運用するのが当たり前でしたが、いずれもうまくいかなくなっています。それにもかかわらず多くの人がまだマイホームの資産性を信じて購入しています。ところが都心の一等地の物件を除いてマイホームはそこまで価値が上昇するものではありません。

保険・定期預金も昔はお金を増やす力が備わっていましたが、ゼロ金利が続いてお金を増やすことは難しくなってしまいました。

なんとかしなきゃ、ということは皆わかっているのです。でも投資の何から始めたらいいのかわからないという人もいるでしょう。そうした人は、株式投資虎の穴で何度もお話ししています通り、だまってインデックスファンドを購入するのがお勧めです。日本株とか米国株とかオールカントリーとか様々種類はありますが、まずは米国株を買っておけばいいでしょう。

私も確定拠出年金分(iDeCoのような制度)では、米国株のインデックスファンドを使って資産形成をしています。

でも、もっとお金を増やしたい、個別株で何倍にもなる魅力に触れてみたいという人もいらっしゃるはずです。そういった方向けに、今回はこれまで私が出版した2冊の本をより深く、実践的に学ぶことができる1年間のセミナーをご用意しました。

個別株にはそれ以外にも世の中のことに詳しくなるなど、知識が大きく身に付きます。財務諸表が読めるようになって、世の中のお金の流れ、税金の話、世間で言われている常識のウソ、お金持ちになるとはどういうことか、など様々な知識が具体的なケーススタディ(投資)で勉強することができます。

ここまで書いておりますが、投資のことですので自己責任ですし必ずもうかるとは限りません。ただ、このセミナーで学んだ知識は必ず人生を豊かにすることはお約束できます。

株式投資オタクの長田と一緒に株式投資の豊潤の海にこぎだしてみたい方、ご連絡をお待ちしております。

2.新生銀行対SBIホ-ルディングス

新生銀行に対してSBIホールディングスが敵対的TOBを仕掛けるという衝撃的な事件が発生しました。銀行業界でこのようなTOBが発生することは今までになかったからです。

TOBって何?

TOBとは株式を公開で買い付ける制度のことです。すべての株主が情報を持っていない状態で大株主の変動があると、一般の株主に不測の事態が生じることも考えられることから、発行済み株式の1/3以上の株式を購入する場合には、公開買い付けという手続きをとることを法律で義務付けられているのです。

TOBにあたっては、誰が主体なのか、TOBの価格(今回の新生銀行の件では1株2,000円でした)、TOBの期間、買い付ける株数の上限(〇%まで買い付ける)などを公開して、既存の株主に対して応募を呼びかけます。

株主が応募する場合には、あらかじめ定められた条件で株式をかいとってもらうことができます。応募は、証券会社を経由して申し込むことになるので手間はかかりません。

通常であれば、今の株価よりも高い値段でないと既存の株主は株券を譲ってくれませんから、市場価格よりも少し高い値段で募集するのが一般的です。この少し高い部分をプレミアム、といいます。

今回のSBIホールディングスのケースでは前日の終値が1,440円で、TOB価格が2,000円ですから20%以上のプレミアムがついている計算になります。

株式市場ではこれまでも敵対的TOBというのはたびたび起こっていたのですけれども、銀行業界は銀行法で事業会社が20%以上の持ち分を取得する場合には、金融庁の認可を得なければならないというルールがあるために、これまで買収されるケースはありませんでした。

認可を得るといっても簡単に得られるものではありません。世の中の商売で最も堅苦しい業態である銀行業を営むわけですからそれにたる資本を有し、人員をそろえ、内部統制を整えており、システムを管理する能力がある組織であることは前提条件です。

加えてなぜその事業会社がTOBをして銀行業を取得するのかという公益にかなった説明がなければ認可などででようものがありません。

経営譲渡・買収があったとしても、それは銀行同士の合併であり、事業会社のTOBは、銀行法の規制により事実上不可能だったのです。それゆえ、銀行は他業種との競争を意識することはあっても、金融庁の指示を仰いで銀行経営をする限りにおいては事業会社から買収されることは考えなくてもよかったのです。

今回の買収行動の裏にはマネックスグループあり?

今回のTOBの背景は新生銀行とマネックスグループが業務で包括的な提携をするとの報道があったことがあります。それまで新生銀行はSBIホールディングスとの間で地方創生の分野で協業してきました。それゆえ提携関係をむすぶというのであれば、SBIだろうという考えがあったのです。

しかし、新生銀行は2021年初頭マネックスグループを提携相手に選びます。これを見た北尾氏は敵対的なTOBをかけてでも、新生銀行の経営権を確保することを決意したといわれています。

敵対的TOBというからには、友好的なTOBがあります。TOBは本来は、友好的に行われるケースが多いです。事前に大株主側が買収先の経営陣との間で買収の条件・買収後の企業の形・従業員の処遇・成長戦略・資本政策など幅広く話し合って合意しておくことが一般的です。

しかし、今回のケースでこうした合意は得ていません。不意打ちの形でTOBを実施していますからもめること必死です。

金融庁は難しい判断を迫られた

今回のケースで金融庁はSBIから打診があった時に大変難しい判断を迫られました。というのも金融庁はすべてのプレーヤーを監督するレギュレーターとしての立場がある一方で、国としては20%弱の株式を保有する大株主でもあるからです。

どちらかの側に有利な判定を下してはいけないという一方で、新生銀行の株主でもあるという難しい立場の中、金融庁は、国が保有している株式についてはTOBに応募しないことを条件として、SBIHDの敵対的TOBを認めました。

これにより新生銀行はTOBを強行しました。これを受けた新生銀行側は現在TOB期間を延長し、臨時株主総会において、このSBIHDの申し出に対して買収防衛策を発動するかどうかを決定することを検討しています。

買収防衛策には様々な手法がありますけれども、最近主流となっているのは新株予約権の発行です。詳しい話は省略しますが、新株予約権をSBIHD以外に発行することで、SBIHDの保有する株式の持ち分を下げることができるのです。

しかしこうした取り扱いは当然狙い撃ちされるSBIHDにとってはたまったものではありませんから、その取り消しを認めてもらうよう裁判所に訴え出ます。その訴えに対して新生銀行側がまた訴え返す、ということが今後続きそうです。有名な上場企業同士の案件ですので、今後の判断基準ともなる可能性があり、注目が集まっています。

新生銀行には公的資金がはいっている

かつて旧長期信用銀行をひきついだ新生銀行は2000年代前半経営状態が悪化して、政府に公的資金を申請しました。このころは経済危機が続いており、金融システムを維持するため金融機関の統合や、公的資金の注入が盛んにおこなわれていました。

公的資金が導入されてから二十年。他行が公的資金を返済していく中で、新生銀行の公的資金返済のめどは未だ立っていません。政府が投じた公的資金は一株当たり7450円。現在の株価は2,000円前後ですから、多少SBIHDの公開買い付けで株価が上昇したとしても、大勢に影響がないのが現実のところです。

3.みずほ銀行の業務改善命令について

みずほ銀行が3度目の業務改善命令を受けることになりました。度重なるATMの故障により、企業統治に重大な欠陥があることが懸念され、このままでは同行への信頼が失墜してしまうからです。

業務改善命令とは

業務改善命令とは、その業務を監督する官庁(金融業界の場合には金融庁)が、法令違反や重大な業務トラブルを起こした場合に、その問題点を把握して業務を改善するよう求めるものです。

一度業務改善命令が発出されますと、その金融機関は大騒ぎとなります。責任問題に発展しますし、再発防止を防ぐために様々な取り組みが行われていきます。みずほ銀行のケースでは業務改善命令が発出される前に何度もシステムトラブルを引き起こしており、この段階で処理できれば業務改善命令が発出されるという事態は防ぐことができたのですが、残念ながら同行の努力だけでは再発を防ぐことができませんでした。

業務改善命令中は金融機関は定期的に、業務が具体的にどのように改善しているのかを報告する義務があります。十分に業務が改善されたと判断されるまでこの作業は続きますので、負担も重く経営の自由度も下がります。

特に金融業界は新しい業務をするにあたって、金融庁の認可を受けることがお約束になっていますから、業務改善命令が発令されているときには新規の業務は進めにくいのです。

トラブル頻発の裏には複雑なシステムが

よく言われていることですが、みずほ銀行のシステムは旧日本興業銀行、旧第一勧業銀行、旧富士銀行がそれぞれ使っていたシステムを統合して作られたものです。

銀行の勘定系システムとは、振込や振替など、まさにお金を動かすための期間となるシステムです。このシステムが同じ銀行なのに3つも異なるシステムが利用されており、それをリアルタイムでお互い連携しあうということがどれだけ難解なことなのかはシステムエンジニアが一番わかっているでしょう。

既得権益でシステムが温存された

統合されたときにシステムも同一にすることが合理的なのは皆わかっているのですが、いまだにみずほ銀行ではたすき掛け人事、すなわち順繰りに旧3行出身者が重要ポストについているぐらいですので、当時はそれぞれのシステムを温存して権益を守りたいという考えが強かったでしょう。

システムを管理するということは、そこに発言力が生まれます。システムを他行のものに変更してしまうことは、その銀行出身者の発言権が弱くなってしまうのです。例えば、システムを改修しようというプロジェクトが立ち上がった時に、主導的な立場を果たすのは現在システムを運営しているものでしょう。

ですから、旧行の幹部はそれぞれ合併時に引き下がるわけにはいかなかったのです。また、それぞれの銀行に勘定系システムを提供していたITベンダーもせっかくのおいしい仕事がなくなっては大変です。

銀行のシステムというのは、高い稼働率が求められるために、常に人員を配置して、システムトラブルが発生しないようにしなければなりません。今回ATMで動作が停止したことでこれだけ大騒ぎになったわけですが、他の業態であればここまで大げさにはならなかったでしょう。

ですから、保守点検にはそれだけ多額の費用が投じられるわけです。

金融庁が現地に入って直接指導する

日経新聞の報道によりますと、今後は金融庁が直接指導に入るとのことですが、これは実際うまくいくのかは疑問です。

もちろん、検査に入るのは金融庁の職員の中でも、これまでITベンダーなどでキャリアを積んできた専門職の方々です。

しかし、他人が作ったシステムというのは複雑怪奇で理解するだけでも時間がかかり、それをさらに修正するとなると途方もない手間がかかるのです。必死に修正作業をつづけていても、連日のようにシステムトラブルが発生している状況では、外部の専門家がはいってきてもすぐに問題を解決できるとは思えません。

結局は、現行システムをある程度だましだまし使いながら、次世代のシステムについてはどこか一社のベンダーと手を組んで開発するように促していくというのが現実的な線ではないでしょうか。

問題は、巨額のシステム開発費用をどうするかですが、いくら監督官庁とはいえ、何千億円もかかるシステム費用(現行の勘定系システムMINORIは4,000億円が投じられたといわれています)を今すぐ出してシステムを更新させるよう命じるのは難しいところです。

少なくとも、過去の経営陣の権力闘争の結果である、旧3行のシステムを温存して今後もシステムを開発していく方針は、すでにNoを突き付けられているとみるべきでしょう。

株式投資虎の穴について


株式投資虎の穴は初心者向けに、株式投資を面白くお伝えするインターネット放送です。オンザボード代表和田憲治氏と、サラリーマン投資家長田淳司が対談形式でお送りしています。

隔週月曜日放送で、次回は10/11(月)20:30~22:00の時間に放送します。次回は、キッコーマン(2801)を取り上げます。放送内容の事前告知などはツイッター(@nagata_junji)をフォローしてご確認ください。

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