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暑くなり始める時期がしんどく感じる理由

1)生理的適応と文化的適応

ヒトは本来「熱帯の動物である」と言われています。具体的に言えば、暑さに対しては生理的に適応することが可能ですが、寒さに対しては適応しにくい生物だと言う事です。

生理的に対応できないぶん、冬になると暖かい服装をして寒さを凌ぎますが、これは文化的な適応です。

寒くなれば、必要に応じて衣類を着たり、脱いだりしながら適温を探れば良いのですから、文化的な適応は時間を要しません。

一方で、夏に向けて求められる生理的な適応は、身体が環境に馴染むまでに、どうしても相応の時間が必要になります。

2)夏の汗と冬の汗の違い

暑さはストレス

実は夏と冬では、汗をかき始める体温が異なります。体温の上昇を抑えるために発汗することは周知の通りです。夏は放熱するために汗が出やすいのですが、逆に冬は体温を逃がさないため、あまり発汗しません。

暑くなり始めると、1~2週間ほどかけて皮膚の血管拡張反応が活発になり、発汗しやすい身体へと徐々に移行していきます。

つまり、体が暑さに馴染むまでは、発汗しにくいため熱がこもりやすく注意が必要になると言うことです。思い返してみれば、「気温が上昇し始める時期は疲れやすい」という事に心当たりがありますよね。

さらに、ただ単純に発汗量が増えるだけではなく、汗の成分にも変化があります。

夏になると熱を体外へ逃がすために、汗をかく機会が増えますよね。その際に大量の塩分を消失してしまうのは非効率ですから、夏の汗に含まれる塩分は、冬の汗と比較して少なくなります。

夏仕様の身体に移行中に、大量に汗をかいてしまうと、熱がこもりやすくなるだけでなく、塩分も損なわれるため、しんどく感じるわけですね。

従いまして、いきなり暑い中で長時間過ごすのではなく、夏用の身体に切り替わるまでは、徐々に慣らしていくと負担が少なくてすみます。

緊急事態宣言の影響で、運動不足がちになっている方も多いでしょうから、余計にしんどい日が続きそうです。くれぐれもご自愛ください。


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