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正座をすると足がしびれる原因と対処法


数年前のお盆前、住職さんから「楽に正座をできる方法を教えて」と相談を受けた事があります。

このクライアントさんは、修行僧(学生?)の頃に1度お越しくださっていますので、2回目の来院です。

ちなみに、住職になって2年目だったのですが、1年目のお盆シーズンが想像以上に過酷で、お盆を終えてからしばらく膝を痛めたままだったのだとか。

日常では殆ど正座をする機会がなくなりましたが、どうしても正座をしなくてはならない場面は巡ってきます。

お盆は正座をする事を要求される確率が高い行事のひとつですが、足がしびれて、ふらついたり、転倒したりしてしまうと、恥ずかしいですよね。

これを機に正座をしても、足がしびれない座り方をマスターしましょう。

ただ、由緒ある正しい正座の仕方ではありません。あくまでも、しびれないための方法、いわゆる邪道である事は予め申し添えておきます。

1)正座で足がしびれる原因

まず足がしびれる原因ですが、正座をすることによって、体重が膝や足首に掛かり、一部の神経や血管が圧迫されることにより発生します。

膝の外側(膝の側面)、やや下方に突起した骨(腓骨頭)に触れることができます。

そのすぐ内側に総腓骨神経と呼ばれる神経が通っているのですが、正座をすることによって、この神経が圧迫されるとしびれが生じます。

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損傷する機会を少なくするために、神経は基本的に体内の深部を通っているものですが、表面に近い部分に位置する神経もあります。

総腓骨神経はそのうちのひとつで、皮膚表面に近いために、圧迫されやすく、しびれやすいわけです。

次に、足首の真ん中くらい(足の甲)に、足背動脈と呼ばれる血管が通っていて、正座をすると、この動脈が圧迫され血行不良を起し、やはりしびれの原因になります。

茶道歴40年になるクライアントさんがいらっしゃるのですが、昨年の秋に引退なさいました。

すると、半年も経たない間に、正座を持続できる時間が半分以下になったそうです。

つまり、正座は関節や筋肉に負荷が発生する座り方で「日々の鍛錬を怠るとできなくなる」という事になりますね。

2)足がしびれない座り方

しびれの原因となる該当箇所が分かっていれば、その部分が圧迫されない、あるいは、圧迫が少しでもマシになる座り方をすれば良いわけです。

まず、正座をした際に、両方の膝頭を不自然にならない程度に離します。

次に、かかとは外へ向けて、足の親指が内側で重なるような角度に調整します。

正座の足の位置 (2)

それで、開いたかかとの間にお尻を入れるような感じで体重を掛け、さらに、座布団の端のからつま先が少しはみ出る位置に座ります。

圧迫される動脈を解剖学的に考えると、足首を伸ばした状態は好ましくありません。

座布団の端の傾斜を利用して、足首の角度を保つことが目的です。

厚みがある座布団ほど、足首の角度を確保しやすくなるため効果が高くなります。

正座の足の位置

上記の画像よりも、5センチほど後ろに座り、座布団のカーブに足首を合せる感じですね。

ちなみに、この画像の座り方だと、両足首に負担がかかりますので、確実にしびれます。必ずかかとを開き、重ねるのは親指だけです。

※ この座り方をつづけるとO脚の原因になる可能性があります

3)重心を移動させる

次に、重ねて下になっている方の親指側に重心を掛けます。そうしますと、反対側は荷重が減り、神経と血管はそれほど圧迫されません。

その場合、体重を預けている側は、負担が増してしびれが生じやすくなりますが、荷重から解放された側は、しびれない状態です。

体重をかけている側の足が軽くしびれてきたら、親指の重ね方も左右で入れ替えて、逆側に重心を移動させます。

そうしますと、しびれ始めていた足が体重から解放されて回復に向かいます。

あとは、延々とこの作業を繰り返すだけで、本格的に足がしびれる状態を回避することが可能になるわけです。

両側がしびれてしまうと、立てなくなったり、最悪の場合は転んだりします。ところが、片側だけでも健在であれば、周囲に気づかれることなく誤魔化すことも可能です。

4)しびれてしまった足の治し方

上記の通りに座っても、膝や足首には、必ず体重による負荷が蓄積し限界がきます。そもそも、正座は膝や足首に負担がかかる座り方ですから、これは仕方ありません。

しびれや違和感が発生するのは、脳が身体の異常事態をキャッチし、「それ以上、その状態をつづけてはいけませんよ」というシグナルです。

本来なら、その時点で正座を止めてしまうのが、最も身体に優しい選択なのですが、状況によっては、そういうわけにもいきませんよね。

そこで、座布団の端から、はみ出させたつま先を立てます。

足首を曲げて、立ち上がる動作に近い状態になりますが、座布団との高低さがありますので、それほど目立ちません。

女性の場合、可能であれば、足首を隠せるようなスカートをはいておくと、気づかれずに体勢を変えやすいです。

この状態にすると、神経の圧迫が軽減するうえに、つま先を中心に血流が回復しますので、しびれは急速に治まっていきます。

5)服装も重要

その他に、伸縮性に乏しいジーンズや、タイトなパンツは、衣類が神経や血管の圧迫を助長してしまいますので、正座をする時は避けましょう。

ストレッチ機能のないスキニーを履いてしまうと、本格的に神経障害や血流障害を招いてしまうことになりかねません。

従いまして、正座をする時は、膝周りに極力ゆとりのあるパンツ、できればスカートを選択したいところです。

膝も足首も、体重による圧迫がしびれの要因ですので、スマートな人ほど、足がしびれにくいです。また、太ももやふくらはぎに脂肪が多めだと、どうしても膝裏の神経を圧迫してしまう確率が高くなってしまいます。

つまり、足のしびれが発生する確率や、強弱には個人差があるのです。ご自分にあったペースで、足を組み替えたり、つま先だちしたりしながら、足のしびれを回避してください。


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