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「運動しない」という選択

前回、「歩き過ぎるのはよくありません」といった論旨の投稿をしたのですが、お読みくださった方から「それでも運動しないよりは、した方が良いのですよね?」とのご質問を戴きました。


答えとしては、「はい」であり、「いいえ」でもあります。

要するに、何を重視するかによって評価が違ってくるのです。

例えば、心肺機能の向上を主目的とした場合、運動をしないことには何も始まりませんから、答えは「はい」になります。

その一方で、私生活を自力で過ごせる身体作りを目的した場合、答えが「いいえ」になる事もあり得るのです。

過度の運動による最たる弊害といえば怪我ですが、割と奥の深いお話で「疲れたけど無事に帰ってこられたので問題なし」とはなりません。

この段階から既に弊害は生じているのです。

故障する事無く元気に歩くためには、正しい骨格(姿勢)を維持したうえで、正しく歩行することを要求されます。

骨格の歪みが大きいほど故障発生のリスクは高くなる、これは何となく想像できますよね?


実は、疲労した状態で運動をつづけると、歪みが発生しやすくなります。

学生時代、部活に励んでいた方は思い出してみてください。

テニスにせよ野球にせよ、各競技における正しいフォームを習い、身につくまで反復練習します。

何度も繰り返して、教わったフォームを実行するために、必要な筋力を養い神経の伝達回路を形成させるわけですね。

練習し始めた直後は良いのです。体力も集中力も万全ですから、教わった通りの動作を難なくこなせます。

問題は体力、集中力が低下した時、つまり、疲労しはじめた段階になると、教わった理想のフォームはなりを潜め、見るに耐えない出鱈目な動作になってしまうのです。

そのまま練習を続けてしまうと、間違ったフォームを実行するための筋力と神経回路が形成されます。

いったんフォームが定着すると、意識して矯正しない限り同じ動作を繰り返すわけです。

部活の練習に勤しんでいたころ、顧問の先生や先輩から「だらだら続けるくらいなら止めてしまえ!」と叱責されませんでしたか? 反論の余地もない理に適った指導であることが分かりますよね。

ご年配層の体力づくりもこれと同じです。末永く健康に過ごすためには、正しい姿勢、歩行を心掛け、それを実行するための筋肉を地道に養っていく事が肝要になります。

そういうわけで「疲労している状態で無理に運動するくらいなら、やらないほうが良い」、そういう事です。


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