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介護施設にまつわるお話

いつの間にやら、朝晩はすっかり肌寒くなりましたが、皆さまお変わりございませんでしょうか。

さて、少し前に以下の様な報道がありました。

【ゼリー喉に詰まらせ窒息死 判決で被告の介護施設側に2365万円支払い命令 広島地裁】

 広島市佐伯区の介護施設で2021年7月、入所していた90代の男性がゼリーを喉に詰まらせて窒息し、死亡したのは施設職員が男性の誤嚥(ごえん)を防ぐ義務を怠ったことなどが原因として、死亡した男性の長男が施設を運営する社会福祉法人に3465万円の損害賠償の支払いを求めた訴訟の判決が6日、広島地裁であった。(以下省略)


介護施設にとっては、いろんな意味でかなり厳しい判決になったと言わざるを得ません。

食べ物を喉に詰まらせる事故といえば、お餅をイメージする方が多いと思いますが、これは餅に粘着性があり詰まりやすい食材だからです。

一方で、ゼリーはどうかといえば摩擦係数が低く、こちらは詰まりにくい食材の代表と言えるでしょう。

そのゼリーが事故の原因になったということは、嚥下能力が著しく低下していた事を意味します。


何より、社会福祉に及ぼす影響は計り知れません。

ご存知の通り一度判決がでると、以降は判例に倣い同様の判断をする裁判が増える可能性が高くなります。

そうしますと、介護業界としては否応なく、今回の訴訟結果を踏まえた業務態勢を整える必要に迫られるわけですね。

平たく言えば、介護施設を運営するにあたっての責任、及びコストが増加したということになります。

ただでさえ、人材を確保することが難しいと言われて久しい業界です。今後は更に運営が厳しくなり止む無く利用料金を値上げする、あるいは撤退する事業所もでてくるでしょう。

富裕層以外は利用できない施設になりかねない、そう考えると、利用者側にとっても切実な問題なのです。


というわけで、ここ二週間の間にお越しくださった介護関係者の皆さん(三名)から御意見を伺いました。

結果は、御三方とも大筋の意見は一致していて、「業界にとっては厳しい判決ですが、報道から判断できる範囲では、介護士の対応にも不備があったように思います」とのこと。

何と言いますか、皆さんプロですね・・・。既に相応の覚悟を持って、業務に勤しんできたという事でしょう。

改めて思い返してみると、介護士さんはマナーも人当たりも良い方が多いです。

これは賞賛に値しますが、言い換えると個人の負担が大きくなり過ぎてしまう可能性を否定できません。くれぐれも、ご自身に無理のない範囲で活動なさってください。


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