「吃音の仕業」にやられてしまわないように



息子が一歳10ヶ月で発吃した時
私は絶望感でいっぱいでした。


なぜなら私は、夫との結婚生活の中で


吃音がある夫の心の闇のようなものを
嫌というほど見てきたからでした。

息子が生まれた時のアラフォーの私たち夫婦はまだしも、

20代の若い頃は
吃音があることで夫婦間の
心の隔たりをいつも感じでいたのです。


吃音があるということの
言葉では言いようのない辛さを
私は知っていました。




2020年8月のあの日、


息子に吃音が出て、私がすぐにとった行動は夫に電話でした。



『ねぇ、〇〇(息子)に吃音出たわ…』



『だから何よ… 』


『だから何ってなに?!!
〇〇に吃音が出たんだってば!!!』



私は悲しくて悲しくて
泣きながら怒っていました。




『だからどうしたってよ!!』


『もういいわ!』



なんて言って、
電話を切ったと記憶しています。



夫に怒ったって仕方ないのに
胸が痛くて痛くて仕方ない私は
ぶつける先は夫しかいませんでした。




6歳年上の夫とは
私が18歳のときに出会い
19歳で結婚しました。

当時から夫に吃音があったのは
私も知っていました。



「この人、吃るな」ってすぐにわかりました。


だけど、「だからどうした?」という
感じで気になりませんでした。



その後、夫が私を好きになり
私も夫が好きになり
お互いに惹かれ合い恋愛し、結婚しました^^


結婚式のお礼の挨拶では
1人では出始めの言葉で吃ってしまうので
「せーの」で2人で挨拶をしました^^



けれども、私たち2人なら大丈夫なことも
誰かと関わることが多くなると
大丈夫でもないことが
沢山出てくるのが結婚生活ですよね。



結婚してわかってきたのは、


夫は私の周りの人達と
ほとんど話さなかった事です。



もちろん夫には友人もいたし
仲間とフットサルもしたり
友人が遊びに来て夜な夜なゲームを
したり、


職場の人と飲み会にもいく
普通の面白い事が大好きな旦那さんでした。


口数が少なくて飄々としているところが
好感を持たれるタイプでもありました。


けれども、私の友人や親戚とは
ほとんど話さずに、
挨拶もしない人でした。


「少しくらい話してよね!
私だって気使うし」と伝えますが

何年かそんな調子が続きました。



私は心の中で思うんです。


「あぁ、この人はきっと吃音があるから
自分からは話さないんだろう」と。



夫は、自分のことを話すのが
とても苦手でした。



だからいつも何を考えているのか
わからなくて、


いつも距離があった気がしていました。



そして、自分のことをしまいこむ夫は
しょっちゅうイライラしていました。


仕事の悩みも家に持ち込んでいました。
だけど話さない。


でもきっと、会議のことや
会社内での放送。


沢山嫌なことと闘っていたんだろうと思います。



元々の夫の性格もあるのだろうけれど

この人はそんな暗い人ではないのは私にはわかるし
やっぱり「吃音の仕業」なんだろうなっていつも感じていたんです。


この「吃音の仕業」は
私には根が深いものだと感じていました。



夫は知り合いに挨拶をしない

夫は誰かと普通の世間話をしない

夫は人と距離をとりたがる

夫は家の電話に出ない

レストランで注文をしない

小さなことでも何かあると私が代弁する

業者との交渉ごとを私に任せてくる


だけど、夫の吃音は
私にとって、
「だからどうしたの?」という程度。



私が本当に一番苦しかったのは



夫が自信を持って生きていない事でした。



そんな人に息子がなってしまうの???



私と夫の愛する大切な息子まで、吃音にやられてしまうの?

それだけは絶対に絶対に嫌でした。



優しくて可愛くて、面白くて、
仕事が出来てイケメンで、
背が高くてかっこいい愛する夫の自信を失わせてきた吃音。



「吃音の仕業」が、
心の底から本当に嫌だった私。



「必ず良くなる方法を見つけてやる!」



多分、息子が発吃したあの日から
私は決めていたんだと思います^^



息子の吃音が
今のような明るい家族へのギフトになるとは、あの時は思いもしませんでしたけれどもね^^

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