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[都議会第3回定例会]本会議(最終日・討論採決)を傍聴しました。


都議会第3回定例会が終わりました。
最終日の5日は
各会派の討論と、採決が行われました。
築地の豊洲移転問題や、共産党が提案した二つの条例案など、盛りだくさんでしたが
わたしからは
第2回定例会から追い続けてきた
「東京都オリンピック憲章にうたわれる人権尊重の理念の実現を目指す条例(以下、人権条例)」について書きたいと思います。

まずは、各会派が行った討論の内容を。


◆都民ファーストの会:本橋ひろたか

・東京都人権施策推進指針で取り上げられていた17の人権課題も当然含む。

・世界の潮流を捉えた人権施策を推進することは、ホストシティとしての都の責務。

・様々な有識者の意見が聴取された。

・条例が制定されれば都民の意識がすぐに変わる…というわけではない。施策の推進には時間が必要。時期が不明確な国の動きを待つことはできない。


◆公明党:けいの信一

・この条例はスタートラインであり、17の人権課題に加えて、時代の変化によって生じる新たな人権課題についても今後条例に位置付けていくべき。

・この条例をもとに、性自認・性的指向への理解推進、ヘイトスピーチの根絶を目指した実効性のある取り組みを。


◆自由民主党:伊藤しょうこう

・人権問題は都民の日常生活、職場、家庭、地域社会など、あらゆる場面に影響を及ぼす重大なテーマ。

・時間とプロセスを何より大切にすべき。

・当事者の悩みや不安の解消を最優先すべき。

・差別解消を声高に主張する前に、人権問題に対する正しい知識を広め、お互いの人権に対して理解の増進に努めることが最も大切。

・性の多様性とヘイトスピーチに特化し、17の人権課題との整合性がとれていない。

・提案の手順も、政府の動きを踏まえず、市区町村との連携もおざなり。

・条例案の概要のみのパブリックコメントでは、都民から条例制定そのものへの疑問の声が多く寄せられ、良識ある声はほとんど無視された。

・参考人招致を行わず、わずか1日の審議という前代未聞の暴挙。

・このまま条例化すれば、差別解消どころか言葉狩りなどの意図しない対立を煽り、性的少数者の方々の孤立を深めることにも繋がる。

・人権条例は、人権問題をPRする手段ではない。


◆日本共産党:池川友一

・憲法の遵守が明記され、いかなる差別も許さない姿勢が明確にされ、啓発とともに教育が位置づけられたことを評価する。

・性自認、性的指向を理由とする不当な差別をしてはならないことが明確にされたことも、都民の声による大きな成果。

・ヘイトスピーチの解消では、表現の自由などを不当に侵害しないよう留意すること、規制の対象はヘイトスピーチ解消法第二条に規定するものに限られるという、明確な答弁があった。


◆立憲民主党・民主クラブ:宮瀬英治

・2020大会の開催都市である東京が、リオ・ロンドン大会を教訓に、LGBTやヘイトスピーチに焦点を当て、条例を制定することには意義がある。

・LGBTとヘイトスピーチだけでなく、17の人権課題を忘れてはならない。

・この条例によって具体的に何がどう変わるのか、明確にすべき。

・どのような言動が“差別的言動”にあたるのか、具体的に例示すべき。

・都民の表現の自由を不当に侵害しないよう、具体的措置を講じるべき。


◆かがやけTokyo:おときた駿

・性的マイノリティに対する差別やヘイトスピーチは許されない。

・差別禁止に踏み込んだことには、懸念と、議論の余地がある。

・条例全体を見ると、あまりにも問題が多く、議論が不十分。

・第二章と第三章が成り立ちから効力まであまりにも違う。

・性質の異なる内容をひとつの条例にすべきではない。それぞれ別の条例として成立させるべき。

・人権という概念は多岐にわたるはずだが、LGBTとヘイトスピーチというふたつに絞られていることは大きな疑問。

・性的マイノリティに関する最大の問題は、マジョリティが持つ“結婚する権利”を持っていないこと。根源的な差別解消に取り組むのなら、啓発とともに、都独自のパートナーシップ制度を確立すべき。


そして、各会派の賛否は
以下の通りです。

都民ファーストの会(52人):賛成
公明党(23人):賛成
自由民主党(23人):反対
日本共産党(18人):賛成
立憲民主党・民主クラブ(5人):賛成
かがやけTokyo(2人):退席
日本維新の会(1人):賛成
生活者ネットワーク(1人):賛成
※議長は都ファであり、人数から除く


自民党が反対し、かがやけTokyoは退席しましたが、賛成多数で、人権条例は可決されました。本当に良かったです。


各会派の発言について、
ひとつひとつ、考えを述べたりはしませんが
気になることをいくつか書いておこうと思います。

まず、自民党の
“当事者の悩みや不安の解消を最優先すべき”という発言について。
差別が日常にある今、それを禁止する条例ができることこそ、当事者の不安の解消に繋がるとわたしは考えます。
また、セクシュアリティを問わず誰でも相談できる相談窓口も設置されます。
それらの点からわたしはこの発言は的外れであり、何の具体案も示さずに“悩みや不安の解消を最優先”と言うのは無責任であると指摘しておきたいです。

また、
“このまま条例化すれば、差別解消どころか言葉狩りなどの意図しない対立を煽り、性的少数者の方々の孤立を深めることにも繋がる。”
という発言については、
差別というのは、言われた側の受け止め方の問題ではなく、その行為(言動)こそが差別なのだということを、ここで改めて確認したいです。
つまり、差別はあくまで差別であり、人の受け止め方ひとつで差別かどうかが変わるものではないのです。
いま、差別や偏見に基づく発言を繰り返しているのは、自民党であり、
その言葉ひとつひとつが、当事者をはじめ、様々な人を傷つけていることを指摘し、強く抗議するとともに
そのような方たちに“孤立を深める”などと、根拠に基づかないことを言わないでほしいと、強く思います。

そして、発言の中で
“良識ある声はほとんど無視された”とありましたが、自民党にとって“良識ある声”とはいったい何なのでしょうか?何を根拠に言うのでしょうか?とても驚きました。


かがやけTokyoの発言にも驚きました。
性的マイノリティに関する最大の問題は“結婚する権利がないこと”と断言したことです。
たしかに、LGBTと言うと、パートナーシップ制度というのが連想されがちですが、
それを“最大の問題”と断言して良いのか…そもそも当事者だってひとりひとり違っていて、考え方も、セクシュアリティの受け止め方も、求めるものも、様々なのに、何かひとつを“最大の問題”と決められるのだろうか?と思います。

また、かがやけTokyoをはじめ、いくつかの会派が「LGBTとヘイトスピーチに絞った条例」などと発言したこと
また、一部報道などで「LGBT条例」と言われていることも、問題であると思います。
総務委員会の傍聴②でも少し触れましたが、
これはLGBT当事者のための条例なのか?
ということを改めて問いかけたいです。
また、SOGIというものをきちんと理解していないのではないかと言わざるを得ません。
性的指向も性自認も、それはすべての人に関わることです。
「性的指向・性自認=LGBT」ではありません。
だから、
LGBTとヘイトスピーチに特化した条例、ではないと、わたしは言いたいです。


そして、最後にどうしても触れておきたいことがあります。
それは、総務委員会での自民党の発言についてです。

共産党の池川さんの討論の中で、
とても大切だと思う部分があるので
都議団HPから、該当部分を引用します。

 都議会自民党の本条例案に対する意見の核心は、国が啓発など理解促進にとどまる法案を準備しているときに、東京都が国に先駆けて差別禁止の条例をつくるべきではないというものです。人権尊重のよりよい条例をつくろうという、前向きの姿勢とかけ離れていると言わねばなりません。
 総務委員会の自民党委員の質疑を聞いた方たちから、LGBTへの理解を深める教育をすることが、日本の家族観や結婚観を揺るがせかねないというようなことを議会で言われてショックだった、悲しくて涙が出そうになったなどの声が寄せられています。重く受け止めるべきです。

総務委員会での、自民党の発言は
本当に差別的であり
なぜ、人権条例を制定し、いかなる差別もなくしていこうという議論の場で、平然と差別が行われるのか…と、わたしはとても悲しく思いました。
また、当事者に寄り添う…などと言いながら、条例に反対する理由はそのような言葉とはかけ離れたものです。

他の会派がそのことに一切触れない中で
共産党が、討論と、そして本会議終了後の談話で触れたことは、とても意味のあることだと思うし、
差別発言を見過ごすことはできないという認識を共有し、討論・談話に盛り込んだ、総務委員の原のり子都議、討論に立った池川都議をはじめ、共産党都議団のみなさんには、心から感謝しています。ありがとうございます。


最後に、
この条例を審議した総務委員会の委員である原のり子都議のブログがとても素晴らしいので
リンクを貼っておきたいと思います。

[都民みんなの人権が尊重される東京に]:こんにちは 原のり子です

多くの人に読んでほしいです。

この条例をきっかけに
いかなる差別も許さない、すべてのひとの人権が尊重される東京になることを心から願うとともに、
わたしも、引き続きこの条例に注目し、
自分にできることをやっていきたいと思います。

条例が可決されて、本当に良かったです。


【人権条例に関するわたしのブログ】
■都議会総務委員会を傍聴しました
■[都議会第3回定例会]代表質問を傍聴しました。
■[都議会第3回定例会]総務委員会を傍聴しました。
■[都議会第3回定例会]総務委員会を傍聴しました②


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