見出し画像

日記的なもの 33「ボイスメモの重要性的な話」

 昔いた会社で上司が急病で休みになった時、別の営業所から上司のパソコンに入っているデータが欲しいとの連絡が来た。

 ちなみにこの休んだ上司、みんなから嫌われていたために、誰もが連絡を取りたがらない。
 自分からはこっちが休みの時に仕事の件で電話してくるくせに、こっちが休みの上司に電話すると、休みの日にまで電話してくるな、と怒り出すような人間だった。
 だがその上司のパソコンはパスワードロックされていたため、開くことができない。
 通常、会社のPCをパスワードロックしないように通達は来ているのだが、上司は仕事中にアダルティなサイトを見ていることは誰もが知っていた。それがバレたくないがために、パスワードロックしているらしい。

 しかし向こうの所長も急ぎで資料が欲しいというのだから、パソコンは開かなければならない。
 誰かが仕方ないと電話しようかとの話になった時、一応俺の方でロック解除できないかいじってみると伝え、キーボードの前に座った。
 そしてある程度の推測を持って、8桁の数字を入力してみた。

「あ、入れた」

 俺が呟いた直後、全員が「えっ」とそろって声に出していた。
 そこの会社は社員証の裏面に生年月日が書かれており、上司は事務机の上にある小ボックスに社員証を突っ込んでいて、それを入力しただけで解除できたのだ。
 だけどまさか一発で解除できてしまうとは思わず、俺が一番驚いていた。

 その後、パソコンの中から資料を見つけてメールで送り、みんなでブラウザの履歴を見ながら大笑いした。
 当然、上司にはこの日のことは誰もが一切何も伝えなかったのは言うまでもない。

 まぁそれから2年ほどして仕事を辞める事にした際、まずはその上司に話をした。辞めるのは2か月後になるが、次の仕事の関係で最後の2週間は火曜日と水曜日に休みをもらうことを話し、承諾を貰った。
 それで翌月になってシフト表を見たら、火曜日と水曜日が全部出勤になっていたため、そこは休みをもらう話をしてOK貰いましたよね? と言うと、そんな約束していない、などと怒りながら言ってきた。

 俺は一旦はそこで「分かりました」と答え、さらにその上の部長のところへ向かい、シフト表を見てもらい、話が違う、とクレームを入れた。
 部長から「言った言わないの話になる」と言われたので、辞める話をした際に録音していたボイスメモを聞いてもらうことにした。
 そう、あの上司のことだから念の為にと思い、俺は最初に上司へ辞める話をする時に、iPhoneのボイスメモをオンにしておいたのだ。
 動かぬ証拠を突きつけ、部長から話がすぐにいったのだろう、俺が戻ると上司が「さっきのシフトは間違えだから捨てておいて」と言ってきた。

 その後、その上司は3年ほどいたようだが、部長あたりから解雇を言い渡されたらしい。

 やはり何かしら不安な相手と話をするときは、会話を録音しておいた方がいいだろう。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?