見出し画像

【メデューズ号の筏#2】

前回は絵の大きさから
その集中力の異常さについて書きました

今日はその制作過程の異常さについて書きます

「メデューズ号の筏」事件をもう一度おさらい

これは本当にあった出来事で
船が座礁し、救命ボートに乗れなかった約150名が
即席で作った筏で13日間漂流し
発見された時の生存者はたったの15名だった事件です

筏の上では殺人や食人も起き
完全なる地獄状態でした

ジェリコーが描いた場面は
13日目に船影が見えた瞬間です

ジュリコーはここで
現実に起きた地獄に、精神を病んだ人と
耐え切れず死んだ人と
希望を持つ人を描いてます

まず精神を病んだ人を描くために
精神病院へ通い
そこにいる人達を
描くことでこのリアリティーを追求しました

そして死んだ人を描くために
死刑になった人の首を描いたり

一部を持ち帰って
腐敗していくさまや
色の変化を観察してを描き
死人のリアリティーも追及してます

現代では絶対無理ですし
なによりここまでやる画家は
ほとんどいないでしょう

倫理とか常識とかそんなものより
絵に対する情熱を超えた
狂気を持ってなければできません!

「本物を絵」を描くという
強力な思いがなければできない行動です

芥川龍之介の作品で
地獄絵図を描こうとする画家が
最後のピースを埋めるために

自分の娘を焼いて
その苦しむさまを描くという
異常な画家がでてくる作品がありますが
それを思い起こします

彼の生い立ちを思い出してください
裕福な家庭に生まれ
乗馬がうまくイケメン!

いくらでも別の生き方ができたであろうに
なぜか、狂気の絵描きの道を選んだ・・・

彼のような人こそ
絵を描くために生まれてきた人だと思います

20代でここまで狂気の情熱と集中力を使って
大作を描いた彼は
生き急いでいたようにも見える

まるで自分が早死にすることを予感してたかのように

彼はロマン主義の先駆者などという
変な肩書が後世つけられてますが、

彼が求めたものは
リアルであり、本物です

ダヴィンチが科学者の視点から
死体を解剖し、血管や骨、
臓器を詳細にスケッチしたように

ジェリコーが求めたものは
描くためのリアルと本物です

そんなジェリコーは
死ぬ前にこう言ってます

「本物の絵を3枚は描きたかった」と

メデューズ号の筏が
この内の一枚に含まれたかどうかは
わからないですが、

彼の言う他の本物の絵を
見てみたかった

余談ですが
画家のドラクロワは
この絵のためにモデルを務めてます

それに自分が受けきれない
絵の依頼を
ジェリコーはドラクロワに流してました。

もしジェリコーが
早死にしなければ、
今日のドラクロワの名声は
なかったでしょう

それくらいの
差があります・・・(´・ω・)

◆HP
https://art-garyu.webnode.jp/

◆インスタ
https://www.instagram.com/nagaset7

◆水彩画講座
https://suisaionline.webnode.jp/

Art in Heart (心にアートを)