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ジブリ作品の世界観をMBTIで表すと

ジブリ作品の世界観が、MBTIでいうとどのタイプっぽいか例えてみる試み。


風の谷のナウシカ

世界観:INFJ

・簡単なあらすじ
風の谷の王女・ナウシカは、腐海に住むオームのような虫たちや諸大国のトラブルき込まれながらも、全ての生き物が共存できる道を模索していく。

・世界観はどのMBTIっぽいか
まず、ナウシカはENFJだと思う。多分、宮崎駿の思う完璧な女性像なのではないか。それくらい完璧超人だ。ナウシカの内面を分析してみると、ENFJの主機能から劣等機能まで全てを鍛え終わっている人物だと思われる。外向的感情の発達による生きとし生けるもの全てに対する圧倒的な包容力や愛情、風の谷の人たちや敵国の人たち、腐海の虫たち全てにとって最善のシナリオに持っていけるような内向的直観によるアイデアの閃き、常に自ら最前線で命懸けで行動する外向的感覚の強さ、論を張っても並大抵の人には負けないであろう内向的思考の深さ。全てにおいて高水準な人間であり、記念すべきジブリの初作品だけあって、宮崎駿の「人間(女性?)はこうあるべき」という夢が詰め込まれたようなキャラクターなのではないだろうかと想像する。ナウシカは全ジブリ作品の登場人物の中でも、最も実年齢に比べて精神年齢が高い人物だろう。

ナウシカ自身はENFJだが、作品としての世界観はINFJだと思った。というのも、次に紹介する天空の城ラピュタも同様なのだが、「人間は自然と共生して生きていかなければいけない(科学で自然を従わせることはできない)」という内向的直観から導き出された普遍的なメッセージが強く打ち出されているからだ。劇中ではナウシカと風の谷の人たちとの暖かい触れ合いや、ラストシーンでのナウシカとオームとのやりとりなど、生物全般に対する外向的感情を使った愛情表現がクローズアップされる場面が目立つ。しかし、ラストシーンでナウシカがオームたちの黄金の触手に引き上げられて宙に浮かび、それを見た大ババ様が「古くからの予言に出てくる人物とはナウシカのことだったのだ」と気付いて泣くシーンでは、ナウシカがこの世界の救世主のように扱われて映画が終わっており、そのラストシーンのインパクトの強さから、教祖やメシアなどと呼ばれがちであるINFJ的な世界観だと感じた。

天空の城ラピュタ

世界観:ENFJ

・簡単なあらすじ
ある日、パズーは飛行石を持つ謎の少女シータと出会い、天空の城ラピュタの古代文明をめぐって悪役のムスカと争うことになる。

・世界観はどのMBTIっぽいか
主人公のパズーは恐らくENFPとENFJの中間だ。(どちらかと言われればENFJか)物語序盤でトランペットを吹いてシータを喜ばせたり、中盤でムスカに囚われたシータを助けようと切磋琢磨するあたりが、特にENFx特有の「いいヤツ感」が出ている。

ヒロイン・シータは恐らく、少しだけINFJの要素も持っているISFJだろう。慎重で冷静な性格だが、信頼できる相手には少しずつ心を開いていく感じがとてもISFJっぽい。

悪役のムスカは分かりやすいINTJだ。天空の城ラピュタを手に入れれば、世界を支配することができる、という信念のもとに、合理的な手段でそれを実現しようとするところや、自分の確固たる信念を否定された時に感情的になるあたりに、INTJの得意/苦手な機能がそのまま出ていると感じる。

世界を古代文明のもつ力で合理的に支配しようとするムスカと、「それは人間のあり方や自然の摂理に反している」と訴えるパズーとシータ。この対立はつまり、論理vs感情の闘いだ。しかし最終的には、パズーとシータの想いが勝つあたり、世界観としてはENFJ的かと思われる。終盤の話の展開が、内向的直観(人間のあり方や自然の摂理という世界の本質)を外向的感情を使って訴えかけるような形になっているからだ。(シータの「どんなに恐ろしい武器を持っても、たくさんの可哀想なロボットを操っても、土から離れては生きられないのよ!」というセリフが典型的だ)終盤のセリフ回しや物語の展開に「人生の教師」感があり、その辺りが特にENFJっぽい。

となりのトトロ

世界観:ENFP

・簡単なあらすじ
母親の病気のため、病院のある田舎に引っ越してきたお父さんとサツキとメイ。サツキとメイは、子供のころしか会えない不思議な生き物であるトトロと出会い、不思議な体験をする。

・世界観はどのMBTIっぽいか
サツキはINFJ、ISFJ、ISTJあたりか。いまいち絞り切れなかった。責任感が強く、優しい性格で、非常に成熟した内面をもつ人物だと感じる。

メイは完全にENFPだ。主人公はサツキだが、話の中心人物はあくまでメイであり、彼女のキャラクターが物語全体の色を決めている。わんぱくで好奇心旺盛、色んなことを思いつく想像力豊かなタイプ。

トトロ(中)とトトロ(小)は動作の感じからINFPっぽいと感じた。トトロ(大)、ネコバスは不明。

お父さんはINTPだろう。本に埋もれた部屋に住む、大学教授。絵にかいたようなINTPっぷりだ。お母さんはINFJかISFJと予想。

一番印象に残ったのは、物語中盤でメイがトトロ(中)とトトロ(小)を見つけ、逃げていく二匹を追いかけてトトロの森にたどりつくところ。このシーンは非常にかわいらしい逃走劇になっていて、流れる空気感がENFPっぽい。終盤のメイが行方不明になるシーンより、このシーンの方がトトロの世界観がよく出ていると個人的には思う。夜のバス停でサツキの隣にトトロ(大)がやってきて傘を貸すシーンも妙な緊張感があって良い。トトロという不思議な生き物のかわいらしさ、奇想天外な行動など、すべてにワクワクが詰まっていて、ENFPが一番キラキラしている時と似た空気感が表現されていると感じた。

魔女の宅急便

世界観:INFP

・簡単なあらすじ
魔女見習いの少女・キキは、魔女になる修行をするために故郷を離れて、海の見える街に住むことに。その街で、パン屋の奥さんであるおソノさんや、好奇心旺盛な少年トンボ、絵描きのウルスラ等との出会いを通して、少しずつ成長していく。

・世界観はどのMBTIっぽいか
キキは分かりやすいINFPだ。人との接し方が少し不器用なところ(トンボに女友達がいると知って?不機嫌になる辺りとか)が典型的なI型、物語序盤でホウキで市街地を飛び回って通行人に迷惑をかけまくるところ、魔法という概念を操るところ、割と閃きで行動するところがN型、にしんのパイのおばあさんと感情を交えながら楽しそうに接する一面からF型だろう。残りのJ型かP型かは、感情を内側にため込んでいるような描写(ウルスラに魔法を使えなくなった悩みを相談するあたり)からして、内向的感情を主機能に持つINFPだと判断した。トンボはENTP、ウルスラはISTP、おソノさんはESFJと予想。

全体的な世界観としては、ひたすらキキが街の人々との交流を通じて、自分自身の成長と向き合っていくような構成になっているため、ストレートなINFPだと感じた。(INFPは「成長」というワードが大好き)ちなみに私は、途中から猫のジジが喋れなくなったのは、キキが精神的に大人になったからという理由ではなく、トンボに異性として好意を抱いたからという理由の方が自然ではないかと感じた。(キキが大きく成長するのはその後の、ウルスラに悩みを相談するシーンから最後のトンボを救うシーンにかけてだと思うので、このシーンの時点ですでに成長しているとするのはそこまで納得感がない)

耳をすませば

世界観:ISFPとINFPの中間

・簡単なあらすじ…月島雫は小説家を目指す女子中学生。ひょんなキッカケで天沢聖司という男の子と出会い、バイオリン職人になるという彼の夢を知る。彼はやがて海外にバイオリン留学をすることになり、雫も彼に追いつくために、小説を書きはじめるようになる。

・世界観はどのMBTIっぽいか
月島雫はINFPだろう。小説を書くだけではなく、作詞もやったりしていて、創作全般に対して興味が強い。自分や親友の気持ちの変化に敏感なところ、悩みやすいところもINFPらしい。先ほどの魔女の宅急便のキキとほぼ同じタイプ。

天沢聖司はT要素が強めなISFP、もしくはISTPあたりか。どことなく一匹狼的な雰囲気があって、ちょっと学校では浮いてそうなイメージ。最後の告白シーンを見る感じ、ISFPだと思った。職人として生きていく覚悟をこの年齢でできているあたりからも、自分の適性に向かって突き進むT要素強めのISFPではないか。

月島雫と天沢聖司がおじいさん達と一緒にカントリーロードを演奏するシーンが一番の見ていて楽しいシーンだと思う。言葉を使う仕事を夢にしている雫(オリジナルのカントリーロードの歌詞を考えていた)と、楽器を作る仕事を夢にしている聖司(自分の作った楽器を使って演奏する)という二人の夢が重なった、一番盛り上がる場面だ。

このシーンが聖司(T要素強めのISFP)と雫(INFP)の距離が一番縮まる場面だったことや、物語自体が二人の交流を中心に描かれることから、これらの中間的な世界観ではないかと判断した。ISFPもINFPも主機能が内向的感情のため、この作品には人の心をくすぐったくさせるようなピュアな想いというか、そういう何かがある。よく「見ると死にたくなる青春映画」などと話題になるのも、それだけ見る人のなかにあるピュアな部分(=内向的感情)を刺激するからだろう。

風立ちぬ

世界観:INTP

・簡単なあらすじ
第一次世界大戦の少しあとの日本。空に憧れを持つ少年・二郎は、成長するなかで飛行機の設計士を目指すようになり、大学卒業後、ゼロ戦の開発に関わっていく。そんな中、二郎は若い頃の関東大震災のときに命を救った女性・里見菜穂子と再会し、恋に落ちる。

・世界観はどのMBTIっぽいか
二郎はINTPだと思われる。穏やかな口調、高い知性、抑えられない飛行機に対する興味と夢。すべてINTPであれば合点がいく。(これがISTPならもう少しぶっきらぼうで、スリルを楽しむヤンチャな性格になりそうな気がするし、INFPにしては感情のブレが少なく、興味の対象が理系寄り過ぎる気がする。ENTPにしては他者に対する関心が薄いし、INTJなら、もう少し世間的な評価に敏感になるはずだし、そもそも雰囲気がINTJ的ではない)

菜穂子はISFJかと思われるが、この話の軸は常に二郎にあるので、そこまで深く掘り下げない。

この話のテーマは「一人の男が夢に生きた姿」を描くことだろう。恐らく二郎は、宮崎駿自身をかなり投影したキャラクターだ。(だから、航空技術者・堀越二郎の半生と、作家・堀辰雄の小説「風立ちぬ」の内容を一つに合体させて、全くのオリジナルなストーリーにし、さらに主人公役の声優をわざわざ同じアニメ監督で、しかも自分の弟分である庵野秀明にしたのではないか)そして二郎の夢とは「子供のころに憧れた、空を自由に飛ぶ、美しい飛行機を設計する」ことだった。飛行機の設計には抽象的な思考が求められる。抽象的な思考を得意とするタイプはINTPとINTJだが、彼の設計以外の物事に対する淡々とした態度を見る限り、INTPとみて間違いないだろう。(INTJであれば、もっと色々なことに対して自分なりの「理想の世界観」を持ち、それを自論として述べる傾向にある)よって、この物語は一言でいうと「INTPが夢に生きた姿」と言い表すことができ、世界観もまたINTPそのものとなる。

ラストシーンで二郎が菜穂子と夢の中で出会い涙を堪えていたたのは、INTPの劣等機能である外向的感情が抑えきれなくなるほどの、菜穂子に対する愛と感謝なのだ。

おわりに

・余談だが、宮崎駿のMBTIタイプは、本人の話している映像などを見てみても性格や価値観が難解なため、いまいちつかみきれないところがある。しかし、ジブリの初期作品4つ(ナウシカ、ラピュタ、トトロ、魔女)の世界観が偶然にもINFJ、ENFJ、ENFP、INFPとxNFxが全て揃っていることから、彼は間違いなくその4つのタイプのいずれか、またはそれらのうち複数のタイプの混合系だと個人的には思っている。

・この記事を書くにあたって、いくつかのジブリ作品を久しぶりに見たのだが、それを通じて思ったことがある。ジブリ作品の良さとは「子供の頃に誰もが持っていた純粋な気持ちとか、何気ないことに好奇心を持つ気持ちとか、何をよい・悪い・好き・嫌いと感じるのか、といった、人間として元々持っていたはずの大切な何かを思い出させてくれるところ」ではないか、ということだ。


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