井上雄太。語る。西野波音、新作短篇映画『＋、○○で逢えたら（仮）』 【Part 1】
Interview with Yuta Inoue
on the short film “And, if we could meet at ○○...”（part 1）
西野波音（にしの・はね）監督の新作短篇『＋、○○で逢えたら（仮）』には、2人の主人公がいる。ひとりは、想いを伝えられなかった女性。もうひとりが井上雄太演じる『想いを伝えられない男性』だ。
この役をオーディションで掴んだ井上は、どのように役を組み立てていき、撮影に臨んだのか。全3回で送るインタビュー1回目は、オーディション時のエピソードと役を構築していく過程に迫ってみた。
撮影／横山新一 文／あらいかわこうじ
ーーまずオーディションですが、手応えを感じていましたか？
井上雄太（以下、井上）：基本として、オーディションでは自分が見せたいものを見てもらえたかどうかがあります。今回は相手役の越原（小百合）さんがオーディション用の台本を読んだときにイメージした人ではなかったんですよね。
ーーオーディションの前は、どのような人を想像していたんですか？
井上：強い女性の可能性が高いと思っていました。『盗撮』していることをグイグイ言われて、僕が挙動不審になるくらいというか。越原さんはそっちではなかったので、「あれ？」と思いつつ演じた記憶があります。西野監督には「（越原さんとの）身長差がすごいなあ」と何度も言われて。これはダメなんじゃないかと。
ーーダメ、ですか。
井上：身長差があり過ぎると撮りづらくなるのかなと思ったんです。
ーー普段のオーディションとは違った部分もあったそうですが。
井上：まずお芝居を見てもらって、こういうことを考えていましたと話すのかなと思っていました。でも、オーディション会場前で僕が待っているところに監督が来たんです。そこで結構質問されることになって。もちろん、いろいろ考えていたので答えることはできましたけど、やっぱり監督の思っている世界と違うじゃないですか。「この時点で、自分の考えが監督とズレていたらどうしよう」と思っていました。
ーー監督は、ズレているのを面白がっていたそうです。
井上：そうなのかあ（笑）。でも、選考側としてはいい手法かもしれないです。こっちが想像していなかった形だったので、“おっ？”と思いましたから。ある種、素の部分を見せてしまうというか。
ーー今回の台本を初めて読んだときの感想を教えてください。
井上：会話の雰囲気が面白いなと。この作品はほぼ二人芝居なので、僕と越原さんがどう演じるのかもありますけど、どういう会話をするのかも大事じゃないですか。誰かが生き返るとか、亡くなるとか劇的なことは起きない物語の中で、『初めて出会う二人の何気ない会話』に僕が感じた面白い部分を出せたらいいなと思っていましたね。
ーー普段、役にはどのようにアプローチしていくことが多いですか？
井上：役によって違いはありますけど、『どうしてこの作品をつくるのか？』を突き詰めないと、僕は身が入らないタイプです。だから、今回に関して言うと、観る人たちにこの物語はどう伝わったらいいのかなと考えていました。
ーーそれは、具体的にどんなことですか？
井上：この作品は、誰もが昔を振り返ったときに「出会ったあの人は素敵だったな」「あの人のことが本当に好きだったな」と思い出すものが詰まっています。僕にもあるし、みんなにもそういうことは何かしらあるんじゃないかなと。でも、その想いがすべて相手に通じたのかと言えば、そんなことはない。想いはあったけど、告白しなかったかもしれない。この作品は、そういう経験がある多くの人に「それもいいと思います」と男性側からも女性側からも語りかけます。そこが伝わればいいなと思っていました。
（Part 2につづく）
いのうえ・ゆうた
大阪府出身。
主な出演作は、映画『ラオス 竜の奇跡』、ドラマ『アリバイ崩し承ります』、舞台『貴方なら生き残れるわ』（劇団た組。）など。2023年は、『Wasabi-not a fairytale』のほか映画数作品の公開を控えている。
●撮影協力／tad bottle&bar
（●取材協力／カフェテーロ葉山（https://www.instagram.com/cafetero.hayama/?hl=ja）
●衣装協力／KEY MEMORY
（https://keymemory.co.jp/）
□制作応援のクラウドファンディング、9月1日まで実施中です□
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