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【長崎ネクストリーディング企業紹介3】有限会社マルヒロ(波佐見町)

「マルヒロ」について

 マルヒロは、「波佐見焼」の食器やインテリア雑貨を企画し、卸・小売りを行っています。波佐見焼の多くは分業制で作られておりマルヒロは商社として企画・デザインを行い、各工程の職人に発注し製造した商品を販売されています。また2021年10月には私設公園『HIROPPA』をオープン。毎日通える親しみやすさとアートを身近に体感できる公園で、定期的にマーケットや音楽イベントを開催し、人とカルチャーが集まる場所づくりをしています。HIROPPAに隣接されている多目的機能空間『OUCHI』ではポップアップストアの開催、マルヒロごはん部門『えん』のかき氷屋さんが夏季限定でオープンするなど、さまざまなイベントが行われています。

「カルチャー」との融合

 マルヒロは、1957年に馬場廣男商店として波佐見焼露天商を開始し、1989年に有限会社マルヒロとなりました。その後、2000年代初頭に起こった食品の産地偽装問題の影響は、陶磁器の業界にも及び、それまで『有田焼』と産地を表記できていましたが、産地名表記の見直しから『波佐見焼』と名乗り始めると売り上げは激減。厳しい状況を強いられ、マルヒロはこの危機を乗り越えるために、産地名を前面に押し出した新ブランド『HASAMI』を発表しました。それが大きな転機となり、『HASAMI』は大ヒット、さらにさまざまなアパレルメーカーからコラボの依頼が来るようになり、『波佐見焼』の知名度アップに貢献しています。
 
 こいったアイデアは、現代表取締役の馬場匡平さんの、福岡で洋服屋、パン屋、エレベーターの設置などさまざまな仕事を経験していたことが源になっています。もともとカルチャーに興味のあった馬場さん、マルヒロの商品にも少なからずそのような経験や感性が反映されています。その感性から、アーティストとのコラボレーションにも積極的で、時には海外からアーティストをお招きし、アーティスト・イン・レジデンス※も行っています。
 そういったカルチャー色豊かな商品の発信が、ただただブランド化するだけではなく、老若男女、県内外問わず、波佐見焼の新たな客層の獲得、価値の共有に繋がっています。

持続可能な波佐見焼のために ①DXについて

 マルヒロは、波佐見焼を通じて、将来も永続的な地域発展に貢献との想いがあり、様々な取組を行っています。そのうちの一つがDX化です。
 販売管理、会計、POSレジ、労務、勤怠、給与、タスク管理などをwebアプリ、クラウド化し、社内外のチャットを導入しました。また、API連携を行い、シームレスにシステム間を連携するなど、IT導入での効率化を推進したことにより、リモートワークしやすい環境を行いました。その結果、残業も多く減り、テレワークの導入なども進みました。
 また、自社だけでなく、関連企業や地域全体のDX化牽引を目指しています。例えば、チャットを社内だけではなく、社外のメーカーさんが使えるよう、導入のサポートも行っています。他にも様々なサポートを計画していますが、それも、波佐見焼を守っていくためには、自社だけでなく、メーカーさんも働きやすい環境づくりが大切であると考えているからです。

持続可能な波佐見焼のために ②産業廃棄物の活用

 いわゆる「C級品」などで廃棄もされないまま残る製品や生地(陶磁器の半製品)がメーカーに多く存在し、廃棄にも費用がかかるため数十年そのままの状態であったものを、窯元から買い取り、約2万5千個を旧マルヒロ直営店の床に敷き詰め、廃材利用とともに店舗の付加価値を向上させました。この取組は、オランダの「The Great Indoors Award」を受賞されているなど、高い評価を得ています。
 また、公園の砂場や、スケートボード用のクランク、マルヒロストアのカウンター下に敷いている石にもそのような廃材陶器を利活用しています。
 廃業廃棄物の問題は、産地の多くで問題となっていますが、マルヒロは今後も活用に目を向けており、新たな取組も考えているところのようで、そのような活動にも注目です。

「マルヒロ」HP:https://www.hasamiyaki.jp/

文責:長崎県産業労働部経営支援課

※長崎県では、コロナ禍による売上減やECの急伸、消費者ニーズの変化など、急速な事業環境の変化に対応するため、高成長への意欲と潜在力を持ち、地域経済への波及効果が期待できるサービス産業事業者等を「長崎県ネクストリーディング企業」として認定し、ニーズに応じてDX等による県外需要獲得・生産性向上を目指す取組を支援しています。
 この「長崎ネクストリーディング企業紹介」記事では、各企業の取組や支援の内容について、ご紹介していきたいと思います。


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