感動的だったサンフレッチェのラストゲーム(2009/12/8)

記事の初公開日:2009年 12月 08日

録画したサンフレッチェ広島最終戦を見ている。
昨日もスカパーでこのゲームの録画を見たが、感無量!
戦う選手たちも、サポーターも、VTRで見るファンもそれぞれのドラマがにじむゲームだった。

今シーズン、J2から上がってきて初戦のマリノス戦でみせた若々しい爽やかなサッカーをラストゲームでも見せてくれた。
対戦相手の京都サンガといえば、2007年入れ替え戦でサンフレッチェ広島をJ2に突き落としたチーム。でもそこにはもう遺恨なんてない。広島の選手たちは、本当にこのゲームを慈しむように戦っていた。広島らしい瑞々しいサッカーを最後の最後まで見せてくれた。広島の選手たちにとって、このメンバーで戦う最後の試合だった。

広島の顔の一人といってもいいリ・ハンジュ選手は今期限りの契約らしい。柏木選手も他チームへの移籍の可能性大のようだ。2ゴールを蹴りこんだ佐藤寿人選手のキャプテンマークの裏側には柏木選手の背番号10番が書かれていた。
このキャプテンマークを掲げてサポーターにアピールしていた佐藤寿人の思いはなんだったのだろう。
J2降格のとき、佐藤寿人は「このメンバーで1年でJ1に戻ってくる」とサポーターに約束していた。そして、真っ先にチーム残留を表明した。おそらく、彼は、当時浦和などから誘いがあった柏木選手を説得して引きとめたのかもしれない。それに応えて残ってくれた柏木選手への感謝の気持ちだったのではなかろうか。
途中交代でピッチを出るリ・ハンジュ選手。キャプテン・佐藤寿人が彼のもとに行って抱き合って称えあっていた。

試合終了後のリ・ハンジュ選手はキッパリと前を向いていたが、顎の震えから涙をかみ締めているのがわかる。泣きながらチームメイト一人一人と抱き合う柏木選手。万感の想いがこみ上げてきたのかユニフォームを頭まで引っ張りあげて泣き顔を隠しながらも嗚咽のとまらない佐藤寿人選手。
それぞれの選手がそれぞれの思いを込めて「このメンバーで戦う最後の試合」に全力を振り絞ったのだろう。
サンフレッチェ広島にとって「このメンバー」がいかに大きな意味をもっていたか改めて感じさせられた。
今年のサンフレッチェ広島というチームがとても瑞々しく魅力的だったのは、少年のように純粋にチームメイトを信じているハートがプレーにも表れていたからだ。

プロチームにあっては、選手が流動的に変わっていくと言うのは当たり前のことかもしれないが、魅力的なチームというのは、単に強さだけでなく、構成する選手たちの魅力の相乗効果というのがあると思う。監督もしかりだ。
ペトロビッチ監督と彼が育てた今のチームメンバーたちが魅力的で、サンフレッチェ広島を応援しないではいられなかった。その魅力的な選手たちが1人、2人と欠けていくのが寂しい。
まだ正式に発表されないが柏木陽介選手が移籍先するのであれば、そのチームがどこか気になる。
ぜひとも柏木選手が今のように活き活きプレーできるチームであって欲しい。(レッズの梅崎司選手のようにならないか心配だ)他チームに移った後、槙野選手という相棒の存在の大きさとペトロビッチ監督の懐の深さを実感することになるだろう。

2007年の降格以降、サンフレッチェ広島のゲームを見続けて、チームの成熟が一番楽しみなチームだなあと思っている。来シーズンもこのチームのこのスタイルは変わらないだろう。ぜひとも、このチームがアジアや世界の強豪と戦うのを見てみたい。そのためにも天皇杯は川崎かガンバか鹿島に優勝してもらわなければ。

今シーズン最も魅力的なゲームを仕掛けてきたチームはサンフレッチェ広島だったと感じているチームや監督たちも多いのではないだろうか。
今シーズンのサンフレッチェ広島はそれほど魅力的なチームだったと思う。

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