オーバーエイジに思う(2008/6/26)

記事の初公開日:2008年 06月 26日

W杯3次予選が終わると、さっそく五輪オーバーエイジは誰かがスポーツ紙を賑わしている。
3人の枠があるので、勝つためにはオーバーエイジを使うのは当たり前のこと、というのは理解できる。
ガンバの遠藤選手、神戸の大久保選手、グランパスの楢崎選手などが候補に上がっているようだが、ぜひとも3人入れる必要があるのだろうか。五輪に出場できる選手の数は18名(だったよね)。今のU-23,U-20は選ぶのも困るほどのタレントぞろい。それも各チームでレギュラーを張っている選手ばかりではないか。いっそオーバーエイジなしでいけないものだろうか。

遠藤選手は、前からオーバーエイジでも五輪に出場したいという意思表示をしていた。彼にはそれだけ五輪への思いいれがあるのだろうし、そのための準備もしているということなのだろう。中村俊輔選手は、若い人だけでやるほうがいいと思うと、昨年秋ごろのインタビューの中で言っていた。オーバーエイジ枠の選手たちもそれぞれに意思表示をしてもらいたい。意思表示はしていないが、選ばれたなら行くでは、少ない枠を争って必死に戦っているU-23の候補の選手に失礼だと思う。

楢崎選手が入れば、西川選手は控えに回ることになるだろう。北京のゴールを守るために、予選からずっと身体を張って掴んだその位置が本番でするりと指の間から抜け落ちてしまったような落胆と悔しさを味わうことになる。それがプロの世界、実力の世界と言われれば確かにそうだが、楢崎選手と西川選手はJリーグでは、年齢の差こそあれ、どちらもチームの正ゴールキーパーであり、どちらが優れているという評価のしようはないと思う。さらに、楢崎選手はA代表の正ゴールキーパでもある。9月にはW杯最終予選があるのだから、彼にはリフレッシュする時間もなくなる。もしや良くない形での敗戦となると、それが悪影響になるかもしれない。それは遠藤選手にも言えることなのだが…。

さらに、一番問題なのは大久保選手についてだ。
W杯予選というFIFA公式戦で、悪質なファウルをして3試合の出場停止を食らっている選手をオリンピック代表に選ぼうとするサッカー協会の姿勢に驚く。

大久保選手のファウルは避けられなかった事故ではない。レッドカードと3試合出場停止というペナルティがどれくらい重いものかしっかりと認識して欲しい。
絵空言かもしれないが、オリンピックの精神は「清く、正しく、美しい」プレーを競い合うのではなかったか。「勝つことより参加すること」に意義のある大会ではなかったか。
そんなことは、現実問題あり得ない!、ばかか!と言われるかもしれない。
それでもいいではないか。
大久保選手はJリーグでも故意のファウルや審判への文句が多すぎる。ジーコ監督のころも事件を起こしてはずされている。はっきり言ってダーティーなイメージのある選手だ。オーバーエイジというのはプレーが優れていればそれでいいという存在ではないはず。精神的にも若いチームの支えにならなければいいけない存在。選手たちが正々堂々と誇りを持って闘うための頼りになるお兄さん役。うちのお兄さんはプレーも人間性も立派な人だぞ!と顔を上げて自慢できる選手であってほしい。
今、大久保選手は自分のあり方を静かに見つめて反省しなければいけない時だ。彼をオーバーエイジの候補にあげることは、彼のダーティーなプレーを認めることになり、彼を甘やかすことになる。プレーがすばらしいからといって罪を曖昧にし、代表候補に選んだ”つけ”は、茂原選手の件で経験したではないか。

国際試合で出場停止処分中の選手を五輪に出せば、日本サッカー協会のスポーツマンシップが疑われると思って欲しい。
日本サッカーのプライドを捨ててまで期待できる得点力が大久保選手にあるのか?それよりは、平山選手や岡崎選手の成長にかけるほうが絶対にすがすがしい結果になると思う。

少し前までは、メッシだのパク・チソンだの、オーバーエイジなどで出場すると言う話があったが、現実になってくるとパク・チソンは出ないし、メッシだってバルサがいい顔していない。北京五輪開催時は、すでに欧州リーグが始まっている。各チームとも新シーズンの序盤に大事な選手がチームを離れることは避けたいはずだ。五輪の位置づけはそのようなものなのだ。

きちんと意思表示までしてくれている遠藤選手には申し訳ないが、協会や反町監督はオーバーエイジ枠を使わないで若い選手たちだけで闘う決断をして欲しい。
そして、速やかに代表選手を決め、さらに精鋭化していってほしい。
現在のU-23選手たちには、それだけの力と精神力があると確信している。
彼らの晴れ姿に期待をはせながら、五輪の日まで応援していきたいと思う。

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