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記憶と歴史を辿って / 最後の東京帰省日記 ④

 前回の続き

 最寄駅で電車を降りる。地下鉄のプラットフォームは、学生らしき人たちで溢れていた。彼らの流れに乗って、階段を登る。地上に出ると、真夏の青い太陽と強い日差しがまぶしい。あたりの風景は、そこまで変わらない気もするが、昔はこんなに暑かっただろうか。

 ゼミ会は、大学の近くで行われる。大学と付近を散策したかったので、早めに着くように来た。お昼も近くで食べるつもりだ。駅周辺のお店を、幾つか見て回る。かつて通った駅近の定食屋は、今も健在で嬉しい。懐かしさを覚えるも、あの大盛りはもう食べられないなと思い、違うお店を探す。運良く入れた近くの店で、うどんを啜る。

 その日はオープンキャンパスだったらしい。どうりで人が多いわけだ。学生さんに混じって、校内を散策する。当時もボロボロで、他の学部から馬鹿にされていた自分の学部棟は、まだ持ちこたえているようだった。建物のにおいが懐かしい。一通り、思い出のある場所を巡った。

 意外と時間が余ったので、校内のちょっとした博物館で時間を潰す。中国陶磁の歴史を辿る企画展らしく、4,000年くらい前に作られた壺なんかも展示されていた。かつてこの壺を作った人は、それが4,000年後も健在だなんて、思いもしなかっただろうに。壺をまじまじと見る。

 次回に続く

 

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