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AIを活かした新しいマンガの作り方
はじめに
先日投稿した上記のこの漫画は、自分としては数年ぶりに本腰を入れて作ったものです。
数ページ読んでいただければ一目で分かるかと思いますが、大きな特徴としてほとんどのコマやページにAI出力による画像を活用しています。
これには実験的な理由もありますが、それとは別に、「AIと協力してどれぐらいイメージを拡げられるか」に挑戦しました。
各ページやコマによって絵柄や色合いが変わってしまっていますが、個人的にはこれは一種の表現として面白いと思い、あえてそれらを残しながら作っていきました。
AIと手書きの差
今回投稿した漫画とは別に、これは以前に自分が描いた漫画で、どちらも共通して「女性二人の愛」というテーマが描かれています。
実際に両方を読んでいただくとわかりますが、どちらも作風や雰囲気、漫画としてのストーリー展開には差異がないかと思われます。
もちろん、自分でゼロから描いた方には「手書きならではの良さ」のようなものがあるかもしれませんが、一方でAIでしか描けない絵やコマもたくさんあります。
アニメや映画にCGが導入され始めた当初、CGへの反感などが多くあり、手書きへの拘り、セルアニメへの強い執着などがありました。
今でもそれらは根強く残っていると思われますが、多くのアニメや映画では、CGは制作過程や手法の一つとして、当たり前のように使われるようになりました。
どちらが良い悪いという話ではなく、どちらを使うか使わないかにとらわれず、両方を組み合わせてより良い作品を作っていくことが今後の作品作りの課題ではないでしょうか。
効率化と手抜きは大きく違う
AIによるイラストの生成の仕方について、詳しい解説はここでは省略しますが、「思った通りの画像(イメージ)がボタン1つで生成される」というわけでは決してありません。
今回行った具体的な順序としては、
① なんとなくのイメージを文字(プロンプト)やラフイラストで生成する。
![](https://assets.st-note.com/img/1683957232150-dyRKvv9HaW.jpg)
今回は自分で描いたラフを使用。
② ランダム値を上げて、イメージを膨らませる。
![](https://assets.st-note.com/img/1683957313351-eotQrKeuG8.jpg?width=1200)
これによってイメージを固めたり、逆にイメージを広げたりする。
③ イメージが固まってきたら、候補となるイラストを修正したり、数枚コラージュして完成形を出力するための準備をする。
![](https://assets.st-note.com/img/1683957410880-yrBAGKUy7G.jpg?width=1200)
目的のイメージに近い画像を生成する。
④ イメージに近い画像が出力されたら、細部を修正し、色の加工やフィルターなども加える。
![](https://assets.st-note.com/img/1683957530280-ngfezrSkE0.jpg?width=1200)
![](https://assets.st-note.com/img/1683956979332-of4NWKtz9X.jpg?width=1200)
1コマの絵を作るだけでも結構な労力がいります。
もちろん、その前にストーリーのプロットからシナリオ制作、ネーム作りやコマ割りの構図を考えることなどが必要です。
「漫画の絵を描く作業は最終工程」という言葉を聞いたことがありますが、それはAIが行っても変わることはありません。
イメージの拡張と多角的視点
AIのもう一つの大きな利点として、自分一人で思い描いていたイメージよりも、より良いイメージを提供してくれるというものがあります。
![](https://assets.st-note.com/img/1683957763919-dEkQqZp9ca.jpg?width=1200)
こういった絵はAIならでは(人間のインプットだけでは難しい)
これは、漫画家と担当者、アーティストとマネージャーのような関係で、客観的な視点や複数人のアーティストによるイメージの統合化に近いことができます。また、イメージだけでなく、ストーリーや設定作りなどもchatGPTを活用しました。
![](https://assets.st-note.com/img/1683957932604-rgysNDIqhO.jpg?width=1200)
人間同士で相談しながら仕事をすることの苦労を知っている人は多いかと思いますが、AIだと一方的な関係で提案や修正が行えるため、人間関係特有の忖度や煩わしさがありません。
庵野監督のような強い拘りが個人で再現できる
エヴァンゲリオンの監督である庵野監督は『シン・エヴァンゲリオン』や『シン仮面ライダー』のドキュメンタリーで、映画に使用するカットにこだわり、プリヴィズを用いて撮影したり、何十台ものiPhoneのカメラであちこちから撮影して、膨大な素材の中から理想のカットを求めていました。
その理由としては「監督個人の主観やイメージ、ありきたりな発想だけで映画を作りたくない」といったニュアンスが込められています。
漫画やイラスト制作においても、AIによって同様のこだわりが可能になったと思います。
![](https://assets.st-note.com/img/1683958114459-oWNvWscT7K.jpg?width=1200)
例えば、この「二人で月を眺める後ろ姿」のコマは、理想の絵の完成まで何百枚も出力しました。
本来、このようなシーンは漫画でも1秒も読まれないか、読み進めていったら記憶に残らないコマだと思います。
しかしそういった無駄なコマを一切省く「漫画としてコスパやタイムパが良く、万人が理解できて面白い作品」を作るためにAIを使うことは、今回はしませんでした。
![](https://assets.st-note.com/img/1683958316007-MjOLKJF0yL.png)
完成した1コマ
自己満足でもいいから、その漫画や物語にとって必要な1コマを徹底して作る。そのために今回はAI技術を活用しました。
今後の課題と次回作
![](https://assets.st-note.com/img/1683958582632-k10Y12VJPC.png?width=1200)
AIの精度が上がっても、理想の作品を完成させるためにはイメージのボキャブラリーが必要になってきます。
これまではインプットを増やすことでしかボキャブラリーを増やすことは難しかったのですが、先にも述べたように、AIによるランダムな出力によって、固定観念や自分の見聞量を超えられるようになり、平たく言えば頭を柔らかくしてイメージを沸かせられるようになりました。
また、「すでにあるプロットや物語のためにイメージを起こす」のではなく、イメージから作品を作り上げていくことも、AIのおかげでより柔軟にできるようになりました。
![](https://assets.st-note.com/img/1683958640350-K2U8OeycZv.jpg?width=1200)
自分の理想に近いものと、理想から離れているが発想を膨らませられるものを
可能な限り用意する。
実際に現在作っている次回作では、膨大な量のイメージボードを先に出力してから、物語を考えていき、制作に取り掛かっています。
これまでは、絵を描く技術を持っている人にしか完成させることが難しかった漫画やアニメーションが、AI技術によって個人でも仕上げられることになりました。
今後さらに面白くてバラエティに富んだ作品が増えていくことを望んでいます。
![](https://assets.st-note.com/img/1683958789963-vNr25ATekB.jpg?width=1200)
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