米国音楽市場関連データ(2019年上期)

かなり前のデータになってしまうが、米国の音楽業界に関するレポートがRIAA(アメリカレコード協会、Recording Industry Association of America)から発表されていたので、以下要約。

<2019年上期概観>
・市場規模(小売販売額):$5.4Bn(前年同期比+18%)
・売上内訳:ストリーミング80%、ダウンロード9%、実店舗9%、その他2%
・売上のうち9割をデジタルチャネルが、1割を旧来の実店舗チャネルが占める構造。デジタルチャネルのうち大きなシェアを占めるのがストリーミングサービス
・ストリーミングサービス市場規模:$4.3Bn(前年同期比+26.4%)
・ストリーミングサービスのうち、定額課金サービス(Spotify Premium, TIDAL, Appleなど)がその77%を、そして全売上高の62%を占める結果に
・一方で広告でマネタイズする無料ストリーミング(YouTube, 無料Spotifyなど)については、$427M(前年同期比+25%)と市場シェアは少ない

これらデータは日本の市場構造と比較すると興味深い。
・市場規模3,048億円
・ストリーミング比率54%、ダウンロード40%(2018年データ)

米国ではストリーミングが80%と音楽産業の大きな売上を閉めているのに対し、日本では54%にとどまり、ダウンロード比率が40%と高い。都度アプリやサービスにアクセスして音楽を聞きにいく、というよりは自分の手元デバイスに音楽をダウンロードして音楽を楽しむユーザーが多い。日米両方でストリーミングサービスを利用した個人的経験からすれば、この違いは文化の違いというよりは、通信速度制限の有無と、接続環境が多い印象である。米国にいた際、スマホにも家のWiFiにも通信速度制限が全くなかったので、常にストリーミングサービスを利用して音楽を聴いていた。ところが日本では制限がかかったり、また地下鉄のように一時的に通信状況が不安定になる場面が日常で増えたこともあり、ストリーミングで音楽を聞く時間は一気に現象してしまった。ストリーミングサービスの普及は通信インフラの充実と両輪であり、その観点から言えば日本は急速にストリーミングが普及していくことは想定しずらく、引き続き今のようにストリーミングとダウンロードのシェア構成が続いていくものと、勝手ながら推測している。

<市場規模概観>(単位:$Bn)

画像1

<売上内訳(2019年上期)>

ストリーミングサービスは前年同期対比で26.4%増加し$3.4Bnから$4.3Bnに増加、19年上期の全体の80%を占める項目に

画像2

<ストリーミング売上高の内訳>


画像3

<デジタル・フィジカル売上比率>

画像4


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?