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Venture Deals (17) 補償条項って何?

前回の取締役会に関する講義に関連し、タームシートに登場する補償条項(indemnification)の講義を続けて和訳してみました。

(以下、講義和訳)

会社の取締役にはある程度のリスクが伴うため、取締役は通常そのリスクを最小限に抑えたいと思います。したがって、取締役は企業に対し、自分を補償するよう依頼するのです。

(クリント)企業が取締役を補償するとはどういう意味ですか?

(ジェイソン)例えば、顧客が企業の商品に欠陥があったため、取締役を訴えたり、株主が、何かしら取締役の行為に間違いがあったとして訴えてきた場合、企業は自身のリソースを利用して取締役を補償し、弁護士を雇うなどして保護します。取締役が訴訟リスクから身を守る手立ては自分自身だけではありません。何か問題が発生したたら会社がバックアップしてくれるのです。

(クリント)この補償条項は、標準的なものですか、それともスタートアップ企業とVCの間で、この文言について交渉することがあるのでしょうか?

(ジェイソン)極めて標準的な条項です。なので基本交渉することはありません。私のこれまでのキャピタリスト人生で、取締役会と補償契約を結んでいない取締役メンバーは1人もいません。ですので商慣習上からも極めて標準的な条項であると考えます。

(クリント)なぜ取締役に対する補償が必要なんでしょうか?ファンドの法的形態は有限責任のLLCであるはずです。したがって既に責任が限定されるノンリコース構造となっているのでは?

(ジェイソン)あなたの質問は、「”ジェイソン、何か問題が発生した場合、私たちはあなたたち取締役を補償します”と投資家から言われており、従ってすでに補償されているんじゃないのか?」ということですね。答えはイエスです。投資家たちは何か問題があったら取締役を補償します。

しかし、会社に何か問題が発生した場合、投資家から派遣された取締役はその責任を引き受けたいいでしょうか?通常は引き受けたいとは思わないですね。

会社は取締役に対し補償します。もし、何らかの理由で彼らが補償できない場合(例えば彼らがお金を使い果たした場合など)、または何らかの理由で彼らの弁護士が気に入らない場合、取締役はその出身母体のVCファンドからの補償を頼ることができます。しかし、その補償のために使用される費用は、LP投資家に還元できる利益を減らし、ひいてはキャピタリストである取締役の実績を低下させてしまう、ということを忘れないでください。そのため、通常は企業側に補償してもらいたいと考えるのです。

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