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欧州のVCは年間平均851件の案件を受け付け、そのうち投資まで至る案件は6%

欧州VC市場の概観のわかる記事(上記リンクご参照)と、その大元となるレポートを見つけた(こちらのリンクご参照)ので、以下に概要を記載しておきたい。欧州VCにLP出資している・もしくはこれから出資しようとしている方々は、下記の数字を念頭におきながら検討を進めるのが良いかと思う。

なお、本レポートは、885の欧州のVCにアンケートを行い、集計した結果をまとめたものとのこと。


1.エグゼクティブサマリー

ソース:https://www.calameo.com/read/00013720638802630c2f1

・欧州のVCの平均的なファンドサイズは1億ユーロ。
・欧州のVCは年平均で851の投資案件をソーシングしている。
・ソーシングした851件のうち、投資実行に至るのは6%のみ。
・最も一般的なスタートアップに対する出資比率は10-20%。
・Exitの40%はトレードセールを通じて行われ、7%はIPOを通じて行われる。
・投資した案件の45%は失敗または投資倍率2倍以下で終わる。
・64%の投資は他の投資家とのシンジケーションで行われる。
・投資の意思決定時の最も重要な要素は投資先の経営陣が優秀かどうか。
・60%のVCがアーリーステージへの投資にフォーカスしている。
・欧州のVCのうち、75%が独立系VC。
・欧州のVCのうち、20%がフランス、13%がドイツ、10%がスペインとスウェーデンに拠点を置いている。

2.投資案件のソーシングから投資に至るまで

・VC年間平均851件のスタートアップ投資案件を受ける。その中で投資を受けるのはわずか6%。
・VCは851件の投資案件を受け付けたスタートアップのうち、37%と面談を行う。
・その後、851件の20%はVCの投資委員会まで辿り着く。
・851件のうち12%がDDプロセスに至る。
・851件のうち、8%の案件についてVCはタームシートを提示する。
・最終的に851件のうち6%の案件について投資を行う。

3.Exitの確率について

・VCが投資したスタートアップのうち、IPOまで辿り着くのは7%。地域別に見れば、北欧のスタートアップはIPOの可能性が最も高い(9%)一方、中東欧のスタートアップは5%と少し低い。
・ほとんどの新興企業(40%)がトレードセール(第三者等への株式売却)で撤退。
・VCが投資した案件のうち45%は失敗または2倍以上のリターンを確保できずに終わる。
・25%の投資案件は2〜5倍のリターンを実現。
・9%の投資案件について、10倍超のリターンを実現。

4.その他:地域別特性、投資の成功要因について

・イタリア、ノルウェー、ポルトガル、ポーランドをはじめとした東欧諸国等の新興市場はハイリスク・ハイリターン市場。10倍超の投資倍率を実現できる可能性が高い一方、0−2倍の投資倍率で終わる可能性も最も高い市場。
・ネットIRRは平均13%で、IRRが最も高かったのは、欧州の中でも新興市場を拠点とするVC。
・83%のVCは投資先のフォローオン投資を行なっている。うち、独立系VCの85%は、投資先企業のフォローオン投資を行いまた、各種バリューアップをおこなっている。
・独立系VCのうち76%は、投資先企業の取締役会に席を置いている。
96%のVCは、スタートアップの成功の重要な要因はチームメンバーだと考えている。
・投資の成功要因として、3分の1のVCは運が重要であると考え、56%のVCはタイミングと回答している。

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