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2023年の大晦日に

 2023年の日本映画は例年になく豊作だったと思う。「怪物」「君たちはどう生きるか」「ゴジラ−1.0」「正欲」など、数え上げたらキリがなく、私が観た映画こそ限りはあるものの、ベストテンを選べと言われたら順位づけには結構苦労しそうだ。
 外国映画も随分面白かった。「イニシェリン島の精霊」「エブリシング・エブリウェア・オールアット・ワンス」「フェイブルマンズ」「生きる LIVING」など。ただ、こちらの方は順位づけにはそんなに苦労しないようにも思う。個人的には「イニシェリン島〜」が一番好みだ。
 映画、といえば、地元のTジョイ長岡、午前十時の映画祭関連で新潟のTジョイ新潟万代、この2つが私の映画鑑賞において主に足を運ぶ映画館だが、今年はユナイテッド・シネマ新潟やシネ・ウインド、高田世界館にも足を運んだ。
 高田世界館は今年だけでも3度出かけた。前年のキネマ旬報ベストテン第1位に輝いた「ケイコ 目を澄ませて」、言わずと知れたラブコメ映画の大古典「ローマの休日」のデジタル修復版、今年はイギリスでリメイクも作られた黒澤明監督「生きる」のフィルム上映。新作、旧作のデジタル版とフィルム版と、3つが3つそれぞれに個性を持ったラインナップで、ミニシアターならではの面白さや、100年以上前に建てられた映画館で観る映画の醍醐味をたっぷりと味わうことができた。多分来年も行くだろうな・・・・・・。
 そんな私も昨日“映画納め”として映画を2本鑑賞した。ドイツの巨匠、ヴィム・ヴェンダース監督が東京で撮影し役所広司さんがカンヌ映画祭男優賞を受賞した「PERFECT  DAYS」と、人気アニメの劇場版「SPY  FAMILY CODE:White」。いずれも楽しく気分良く鑑賞し、大満足の足取りで今年の映画鑑賞を終えた。
 残念な話もある。Tジョイ新潟万代が「午前十時の映画祭14」の上映館から外れ、(今の所)来年度は新潟県内で「午前十時の映画祭」が行われない、という状況になっているのだ。なんで県内の映画館(シネコン)、どこも手を上げないのだろうか、と首を傾げる。たかが旧作、されど旧作だ。新潟県における文化の水準がまた一つ後退しかねない。旧作の上映意義を県内シネコンは今一度考えるべきであろう。

 最後は話変わって、個人的なこと。私にとって2023年は“表向き充実しているように見えて、内心充実しているとは思っていない”年だった。将来を考える上では、不安要素がとても多すぎる。
 いろんな憤懣も込み上げる。長岡を一回離れてみてもいいでのではないかと思いつつ、その余裕が見当たらない。東京に出た人たちが羨ましいと思いつつも、一方で東京から発信されるやや極端な地方批判には眉を顰めたくもなる。地方でも流行る起業の波に乗っかってみたいが、私なんぞ乗れるものでないことも悟っている。10年前、高卒後の進路でチャンスを逃した自分を呪いたい気持ちにもなる。
 来年、2024年は不安や憤懣を晴らすような、大きなビッグチャンスに恵まれないものだろうかと思う。

(写真は高田世界館<新潟県上越市>、2023年8月26日「ローマの休日」鑑賞時)

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