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パパ

おもむろに聞くその声で 突然 目が覚めた

その声に促されるように 早々に身支度をして、事前に調べたデートスポット先へ出かけることにした、普段は仕事で通る街の景色も 平日だというのに 人出があることへ 新鮮な感覚を憶える

「パパッ!」

そんな一人考えに溺れていると、いつもの声に我へと返る、いかんいかん 余計な感慨に耽ると「腹が、減っった・・」

「パパぁ~↷」

どっかのドラマのセリフ、パクってみたがウケなかったようだ・・、滅多にない機会だし 今日は奮発して銀座のランチはどうかな?

「パパ💛」

今日は一年に一度の特別な日だから フルーツが山盛りのパフェも注文しよう、そう考えてホールスタッフにお願いすると少し怪訝な様子で オーダーを伝えに厨房へ向かった

「・・パパ」

店を出て歩くと街の時計が○○時を指していた

そう、不倫相手の彼女が子供を堕ろしたのは18年前の今日この時間、当時はこの出来事の後ですぐに彼女とは音信不通になった

(パパ)

そうこの声が聞こえるようになったのはその一年後、最初は怖くてたまらず精神的に追い込まれ 当時の妻とはその後別れてしまった

最初は聞こえてくる声が怖くてたまらなかったが 今では聞こえなくなるのが怖い、さて来年は「パパ」と一緒にどこへ出かけようか悩む

でも時間は十分にあるさ、そう一年もね

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