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3月28日長野県教委との懇談 内容と所感

 2024年3月28日、長野県庁にて長野県教育委員会と懇談をしてきました。

出席者は県教委が7名(スポーツ課2名、高校教育課1名、義務教育課2名、学びの改革支援課2名)、当組合6名です。懇談の内容は大きく2項目です。1つは教員に部活動顧問をする・しないの選択権をくださいという要望。もう1つは部活動の地域移行についての確認です。以下に各項目に対する県教委の回答と、私たちの所感を記します。


懇談の内容

部活動顧問をする・しないの選択権を

 私たちは資料として、以前に提出した「顧問を強制しないことを求める請願」に対する県教委の回答を用意していました。その回答には次のように書かれています。

勤務時間内、校長が教職員に職務として命じることはできるものと認識。部活動顧問の任命に当たっては、今後も押し付けやパワハラとならないよう県立中学校・高等学校長に指導を重ねてまいる。小中学校長には、管内、市町村教育委員会を通じて管理下の各校へ指導を行ってまいる。

「部活動の顧問を強制しないことを求める請願」に対する長野県教委の回答

今回の懇談で県教委は

「この回答の通り」
「押し付けやパワハラにならない理解をしていただきながら、任命していく」

という具合で、あくまで部活動顧問は職務命令の対象という認識だといいます。私たちの「教員の理解を得られなかった場合については?」という質問に対しても、

「授業をやりたくないという先生がいて、校長はそれを承認できない。学校にある様々な業務を皆で分担してやる。ある先生が、私はこれはやりませんと言い始めたら学校は回らない」

という回答です。

部活動の地域移行について

 3月26日の県教育委員会定例会で「長野県地域クラブ活動推進ガイドライン」が決定しました。これによると長野県では、令和8年度末を目途に中学の休日部活動を地域に移行するとし、平日については令和8年度に移行方針を提示する予定ということです。高校については、何の情報も得られませんでした。

所感

成果

 私たちの目的は「望まない教員が部活動顧問を強いられない環境を整える」です。この目的に照らして、今回の懇談の成果はほぼありませんでした。

 まず、どんなロジックで私たちは部活動に関わっているのか、その辺を解きほぐしたかったのですが、県は「部活動は職務命令」「部活動も業務」「業務は教員皆で分担」といった認識のようです。確かに私たちは上司の職務上の命令に忠実に従わなければなりません(地公法第32条)。しかしこれは合法な職務命令においてのみです。勤務時間内に収らないことが分かりきっている業務を命令することはできません。さらに、授業と部活動の優先順位を同程度に考えているかのような発言にも疑念を抱かざるを得ません。平成31年3月18日の文科省通知「学校における働き方改革に関する取組の徹底について」の中で「教師が専門性を発揮できる業務であるか否かといった観点から業務を仕分け、優先順位をつけること」とあります。

 当日は県教委との懇談の後、当組合がメディアの囲み取材を受けるというスケジュールでした。実際に長野県では当日の夕方のニュースで放送されました。このことを県も知っていたので、私たちがメディアに変なことを言わないよう言葉を選んだものと推測します。この点において、今回の懇談が、本当に実情や本心を話合えたとは言えないと総括します。私たちにとっては、形式的な県の回答が残念でした。

部活は職務か

 県としては、「部活動顧問は命令できない」とは言えないものなのでしょうか?部活動は制度上極めて曖昧ですが、昨今の情勢からすれば「部活動顧問を命令」と言ってしまうことの方がリスクではないでしょうか。3月26日に決定した「長野県中学生期のスポーツ・文化芸術活動指針」においても、「教員の勤務時間外の部活動指導を減らす工夫を検討・実施します。」と書かれています。つまり、部活動指導が勤務時間外に及んでいる事実は認識しているということです。

 県と確認したわけではありませんが、「部活動顧問は職務命令の対象」だが、「押し付けやパワハラは行わない」ということですので、長野県では、「部活動顧問の就任について、理解を示し、引き受けてくれる教員にだけ、勤務時間に限って職務命令する」ということで私たちは理解しておくことにします。

地域移行への見通し

 1時間の懇談で、部活動顧問の話題に時間を割きましたので、地域移行については詳細までは聞けませんでした。中学の休日部活動について、見通しは以前より明るくなったといった所でしょうか。平日部活や高校部活については、まだまだ見通しが立ちません。部活動顧問の問題と併せて、長野県の教員志願者は減り続けるだろうという感想です。


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