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【上田】滞在レポート by 久保田舞 _ 生きることとアートの呼吸〜Breathe New Life

滞在日程/ 2021年10月9日~2021年10月12日

「生きることとアートの呼吸〜Breathe New Life」にて4日間と短期間ながらスムーズなアテンドをしてくださり、上田市を拠点に、軽井沢町・小諸市・安曇野市・長野市・長野市松代・大町市・池田町と 長野県各地を訪ねることができました。

このプログラムを知ったきっかけはFacebookで、少し前からNOAのうごきはSNS上で見かけていて、長野県が熱い...!と感じていたのでその様子を間近で見れるならと募集情報を見た時これは絶対応募しようと思いました。
プログラム内容からも自身の活動場所や、生活することと芸術活動の関係性について改めて考えたいという事。又、作品制作や上演においてそれらを行う環境は作家やお客さんにとっても重要なポイントになると考える中で普段の生活環境から変化した場所で街や人々に影響受けながらインプット・アウトプットをしてみたく志望しました。
創作環境に影響された自身の例として昨年2020年前半に活動を予定していた舞台の仕事がキャンセルや延期になり、舞台の本番やリハーサルの為都内まで出ることがなくなりいつもより多く在住する街で過ごしていました。その中で普段は感じていない人の流れや街の歴史にも興味が沸いたこと、在住する街で出会ったアート関係者の方の後押しもあり初めて野外公演を企画・開催しました。 劇場ではない場所で地元の方を対象にした公演を行った際に、その作品制作のプロセスはダンサーや振付家だけではおさまらず地元の方の協力を全面に受け作り上げた空間に個人ではなしえないエネルギーを感じながらの創作活動となりました。
生きることとアートの呼吸での滞在は、作品としてアウトプットは求められませんがダンサーとして、訪ねた場で何が湧き上がってくるのかも一つの視点として大切にしたいと思い滞在に臨みました。


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野外パフォーマンス企画「まほろばや」より






◆生きることとアートの呼吸滞在スケジュール◆

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[1日目]
◾️上田市内街歩き
−竹乃湯
−26bldg.
−リベルテ
−北国街道柳町通り周辺
−パニエ 
◾️ 信濃追分文化磁場油や(軽井沢)
◾️ ブルーベリーガーデン黒岩(小諸)
◾️ 火のアートフェスティバル(東御)
犀の角周辺の通りは海野町商店街・松尾町商店街・原町商店街の三つの商店街があり表通りから一歩中に入ると全然違った風景が広がっていて、また商店街ごとに特色が異なるのも面白い。
油やでは旅館をまるっと活かしたスペースの展開。籠って作品創作にどっぷり浸かれそう。訪問日(10月9日)は外で市場もやっていたこともありかなり賑わっていた。
渡邉さんの展示(映像作品)は油や渡邉さんの身体を含めてを改めてみれるような作品で、滞在の"形跡"や"生活"を感じさせる。

この日特に印象的だったのはブルーベリーガーデン黒岩。皆さんが口を揃えて「ここは毎度来る度どこかが変化してる」と、、たしかに、黒岩さん遊び心が至る所に。以前開催された試演会の舞台はブルーベリー畑で、お客さんは旬のブルーベリーを開演前につまみながら観劇するという聞いたことないシチュエーションに驚きながら公演風景を想像しました。是非また伺いたいです。

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信濃追分文化磁場 油や

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ブルーベリーガーデン黒岩

[2日目]
◾️松代象山地下壕
◾️川中島古戦場史跡公園
◾️善光寺表参道歩き&善光寺
◾️長野県立美術館
◾️東山魁夷館 
◾️遊歴書房(KANEMATSU)
◾️権堂アーケード_相生座・ロキシー
◾️ネオンホール
長野県立美術館を軸にしてこの日も様々な場所へ案内していただきました。松代象山地下壕は観光でもあまり知られていないスポットで第二次世界大戦の末期、軍部が本土決戦最後の拠点として極秘で大本営・政府各省などを松代へ移すという計画のもと約9ヶ月間で建設されたもので貴重な戦争遺産として平成元年より壕の一部を公開しているそう。
穴の前に立つとひんやりとした空気が中から出ていて、中はずっしりとした圧を感じ、岩に突き刺さったままの削岩用ロッドなど当時を想ささせるものに緊張感が走る。
長野県立美術館にて上映されている映像作品榊原澄人「飯縄縁日」は複数のモチーフの反復が絶妙にズレと一致繰り返してずっとみていられる様な心地よさと反復の奇妙さがとても良かった。森と水と生きる展は
全5章にわたり展開。名和晃平 氏「Pix Cell-Deer#17」は物質が持つ質感と生物の生死、圧倒的存在の組み合わせが好きでした。

この日最後に伺ったネオンホールは(ライブハウス/小劇場/フリースペース)利用する角度によって柔軟に変容できる場が魅力的。

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長野県立美術館



[3日目]
◾️北アルプス国際芸術祭鑑賞
・源流エリア
・仁科三湖エリア
・東山エリア
・ダムエリア

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[4日目]
◾️北アルプス国際芸術祭鑑賞(市街地エリア)
3日目+4日目の午前中は北アルプス国際芸術祭をまわり、それぞれの作品の規模感に圧倒され、いずれの作品も大町の地に溶け込みながら作家が大町のどこにインスパイアされたのか作品を通じてひしひしと伝わった。

◾️あさひAIR
あさひAIRの取り組みや北アルプス芸術祭について伺いました。
アーティスト・イン・レジデンスの取り組みは、なかなか市民のみなさんへ見えにくい部分があるという課題が印象的。改めて、今自分自身アートに関わりどう生活をしていこうとしているのか考える視点をいくつかいただける貴重なお話。

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あさひAIR

◾️NOA池田見学_平原慎太郎さんら
小学校内のフリースペースで平原さんたちが段ボールなどでなにやら制作を。
お話を伺うと以前の滞在で広津に残る伝統芸能の”獅子舞”を復元する活動をされている若い方々の映像を見て平原さんらがインプットしたものを今回の滞在でアウトプットしているそう。
小学校等のアウトリーチでwsなどやる際、授業のスケジュールや人数などの関係もありwsの時間でしか子どもたちとのコミュニケーションとれないことがあるが、今回の平原さんの滞在制作のようなクリエーション空間のひらき方はすごくナチュラルにコミュニケーションがとれるのだなと短い時間ながらも感じる。特別踊ったりをしているわけではないが、きっと子どもたちは"クリエーション"する際の異様なエネルギーが伝わっているのでは...
個人的には平原さんがクリエーションをする際の雰囲気(着眼されるポイントなど)少し覗くことができて嬉しかった。
平原さんらが9月の滞在で行った池田町在住のアーティスト千田泰広さんの作品「Brocken5」とのクリエーション映像も拝見し、映像ならではの手法を通じて身体と千田さんの作品の特徴が最大限に引き出され掛け合わさったとても素敵な作品でした。

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NOA池田


◾️豊科近代美術館
◾️安曇野市役所
安曇野市文化振興計画のお話や、安曇野市ミュージアム活性化事業のあゆみ、スクールプログラムについて等。
安曇野市は博物館美術館が20館ほどと多くあるもののどうしても子どもたちが足を運ぶ機会が増えないなどの課題がある。各施設の収蔵品を市内の小中学校で展示し、学芸員が子どもたちと対話しながら鑑賞できるというプログラムはその課題を解決するべくつくられた事業。いただいた冊子にその様子が載っていましたが真剣な表情で作品を見つめる子どもたちの姿が印象的。
あさひAIRのレクチャーでもあったように、どの様に入り口をつくっていけるかがいずれの視点でも必要だと感じました。

[滞在記録Day1~Day4]
https://youtube.com/playlist?list=PLN3lgFRUwmssEhniE3ctc5w5so0rmvsEU


滞在中、自分自身じわじわとキーワードになっていたのは『川』でした。
長野県立美術館での展覧会「水と森と生きる」や大町市での北アルプス国際芸術祭コンセプトである「水・木・土・空~土地は気配であり、透明度であり、重さなのだ~」でも関連して雄大な自然をテーマにしていたこともあり作品や会場までの道中で様々な川を見れ、川によってその地域がどう変遷したのかがわかりやすいと感じました。去年行った野外パフォーマンスも河原で開催したこともありますが今後もひとつ、川で起こる出来事・川に集う人々にフォーカスし企画や作品に取り組めたらとも思いました。

各地域で抱えている問題が異なる事、共通してアートが住民のみなさんへの理解やそれが浸透するまでかなり辛抱強くいなければで、そう簡単にはいかないという事に頷きながらアートと生活は切り離せないものだと今回のプログラムで再認識しました。

ナチュラルな呼吸を目指し活動していきたいです__

久保田 舞 Kubota Mai(ダンスアーティスト)
1995年生まれ。埼玉県立芸術総合高校にて舞台芸術を学び大学ではモダンダンス部に所属。作品制作・上演を国内外で行い、近年は他ジャンルアーティストとのコラボレーションやオペラへのダンサー出演、在住する川越市にて野外パフォーマンス企画やリサーチに力を入れている。(シンガポールM1contact comtemporaly dance festival,韓国NDA International Festival, Dance New Air,TPAMフリンジ等参加)

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