見出し画像

【阿南町】山田百次さん 阿南探訪(8月)

8月16日、先日の大雨の影響で公共交通機関が麻痺している最中、山田百次さんはレンタカーで阿南町に到着しました。

今回も宿泊するのは「まるはち旅館」。夕方、ご主人の坂井さんと一緒に新野だら実行委員会の金田さん一家のログハウス『カサビエント』に集まりました。

画像1

みなさんが揃ったところで話題に上がるのはやはり新野の盆踊り。坂井さんは盆踊りの素晴らしい音頭取りで、お盆の時期になると車の中などで歌を練習していると言います。盆踊りの前に改まった練習の場などは特に設けていないので、一人で粛々とカンを取り戻していっているようでした。
盆踊りが行われている21時から明け方までの間は、「音頭取り」が櫓の上から声を出し続けていなければなりません。朦朧とした意識の中、櫓から落ちずに踊り子の「返し」を盛り上げつつ、粋な選曲をし続けられる音頭取りが不足しているそうです。
昔は音頭取りに名乗りを上げる人がたくさんいたので、その中から成り上がった人が自動的に音頭取りになったそうですが、今は音頭取りを育てていく時代になったといいます。それでも昔と変わらず、今でも簡単には櫓に上がれません。先達がゆっくりと時間をかけて基本を教え、かつ、ただのコピーではなくその人の粋を育て上げ、そうして初めて音頭取りが生まれるのだといいます。

音頭取りは自分が粋だと思う歌い方をします。その歌い方にファンがついていき、その競争に勝ち残った音頭取りの粋がトレンドとなり、50年ほど残っていくといいます。新野の盆踊りの、時代とともに変化していくその姿は、重要無形民俗文化財ではあれど現代を生きる人々の心を反映している生きた祭りであることを再確認させてくれます。

最後に、少人数ながらも踊ってみようということで、ログハウスのウッドデッキでマスクをつけながら慎ましく踊りました。

画像2

金田信夫さんの粋、金田渚さんの粋、そして坂井さんの粋。音頭取りが代わると身体の動きも自然と変わります。

新野の盆踊りの片鱗を体験できました。
(ここまで文・「信州art_walk_repo」取材部 清水康平)

中1日お休みをはさみ、8月18日からは、いよいよクリエイションが始まりました。
クリエイションでは、これまで幾度も新野に通い、新野を丹念にリサーチしてきた山田百次さんが、『新野物語』という短編戯曲を執筆。この戯曲を11月に上演することを目指し、稽古を重ねていきます。
『新野物語』に出演するのは、山田百次さん、金田渚さん、そして、阿南町の隣の売木村にて地域おこし協力隊として活動する俳優の小原華さんの3名です。
稽古初日、まずは本読み。金田信夫さんに方言をご指導いただき、山田さんが書いた戯曲を新野の方言に書き直していきます。

画像3

『新野物語』は、新野の盆踊りを題材に取り扱ったお話です。稽古2日目からは、金田渚さんによる踊りと唄の指導も挟みながら、早速立ち稽古に入っていきました。

画像4

画像6

3日間の短い稽古でしたが、すでに3人の息はぴったり!これから10月、11月と稽古を重ねていきます。どんな作品になるのかとても楽しみです!
(ここまで文・「信州art_walk_repo」取材部 藤澤智徳)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?