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映画カラオケ行こ!/原作▶映画の変更点ともたらす影響

映画『カラオケ行こ!』で原作から変更されている点と、それがストーリーにもたらす影響のまとめです。
※観客(自分)から見た物語への影響であり、「制作陣がその狙いで作った」ことの証明は目的としていません。



■本編中の変更点と影響

■冒頭で刺青を見せる演出
・一目でヤクザだと分かる▶聡実くんがカラオケに行った理由となる☆
・今になって歌を頑張らないといけない理由に繋がる(濡れていた理由←兄貴が音楽教室に通い始めた日が雨←歌ヘタ王常連が消えた と逆算されていく)
・最後に刺青に“加えられた”「聡実」
冒頭から全てに繋がっている

■ももちゃんが代理の先生であること
・聡実くんがコンクール後に独りになる最大要因
(元の先生よりうっかりしている、聡実くんの方が大会経験豊富)
・↑これが加わり「今この時」でなければ2人は出会わなかったという運命的要素の強化

■聡実くんが最初は名前を教えていない☆
・実写に耐える現実的な危機意識になっている

■初対面では「狂児さん」呼びナシ
・実写に耐える現実的な距離感になっている

■音楽教室アニキへの「毎年歌ヘタ王だった」設定の付加
・狂児の状況を、それまでの『最下位だけは確定だから何位でも良かった』から、『誰が最下位になってもおかしくない』へと突き落とし、『たまたま通りがかった合唱大会で見つけた中学生』にさえ先生をお願いするという、必然性と切実さを強化している。
(原作だと定期最下位は居ないようなので、「何回も大会あったのになぜ今?」「なぜ中学生に?」という疑問が、実写のリアリティの中だと生まれてしまうだろうのを回避したと思われる)
・アニキの裏切り▶絶望▶偶発的に出会った歌声 だからこそ、映画の狂児はより切実に聡実くんの歌声に縋ったし、「天使の歌声」「神様のお告げ」とまで形容するに値したのだと思う。

■ヤクザ集会で聡実くんが狂児の腕にしがみつくタイミング
・最初はしておらずアニキが怒鳴った事での「思わず」なの、理由付けが上手くてスゴい、天才(ただの感想)

■ヤクザ集会の後に指事件を持ってくる
・積み重ねによる「もう無理」の切実さがすごい

■いちご→免許証への変化
・指事件により、そのままだったら聡実くんが再び狂児に関わることはないと思えてしまう所、狂児は本名?とプライベートな点を訊ねる+狂児が免許証という超個人情報を開示してくる事で、かえって2人の距離が縮まり、縁が切れないようにしてるのスゴイ
雨降って地固まりすぎる

■音叉
・「もう無理」後でも、狂児が聡実くんに連絡する理由を作っててスゴい…
・聡実くんの和訳と同時進行の狂児の作業の創出?
・後半事故の被害者を狂児と推定する決定打

■和田&映画を見る部
・やりとりが積み重なって聡美くんの合唱部での居場所が無くなり、「逃げ」の先として狂児のレッスンを許容する流れに組み上がってるのがスゴい

■ミナミ銀座(危ない地域)に行く理由☆
・「ビデオデッキを買いに行く」という必然性の創出
・スナックカツ子の位置もさり気なく聡実くんの緊張を解すために教えられててスゴい……
・屋上の2人かわいくて大好き(感想)

■お母さんが合唱祭に来ない&無断欠席でなく自己申告
・実写でリアリティが付与された結果▶原作と同行動でも見え方が変わってしまい▶映画の聡実くん≒齋藤潤さんが「馬鹿な子供」に見えてしまう ことを徹底的に避けている!!(これは上記☆印の項目が全て該当)
聡実くん≒齋藤潤さんに0.1mmたりとも悪印象を持たれないよう細心の注意を払っているのが本当にスゴい……。

■聡実くんが紅を絶唱してるのを聞いてる狂児のカット
・ネタバレと比較してさえ選ばれたってことはつまりあの表情がこの物語の全てなんですね……
狂児が生きてたオチより重要なんですね……って目頭を抑えた……(ただの感想)

■ラストシーン
・「原作の再現」にこだわらず狂児だけ+電話で聡実くんを出さずに終えたラストの思い切りがスゴい!!!!
あれきっと聡実くんに無理矢理ちょっと大人びた格好させて、声は編集でもやろうと思えばやれたと思うのに、実写としてのリアルさ、「今この時」の聡実くん(齋藤潤さん)を一切の嘘なしで映したんだなあ……と思うともう言葉が無く……

■空港と、宇宙人の血が飛ぶシーンのカット
・原作の最高潮のひとつだと思うので、原作を尊重しつつもカットするって勇気も発想もなかなか出ないと思うんですけど、とにかく現実世界での狂児と聡実くんを描こうという明確で強い凄まじいまでの意志が見えた


■映画を見る部/映画内容とストーリーへの関連まとめ

映画の主題がカラオケ行こ!自体に沿っている&その中でも直接前後のシーンに関わる部分を選んで見る部で映している、ものと思われる。

■『白熱』
・ギャング映画=ヤクザ
・見る部で映っているのは「ギャングの“名前”を聞いてしまった一般人が殺されるシーン」→そのまま、後のミナミ銀座での狂児との再会&うっかり“名前”を知られてしまった展開につながる

■『カサブランカ』
・元恋人が現旦那と亡命するのを助ける主人公の話=与える愛
・見る部で映っているのは「こんな“狂”った世の中を見過ごせない」→おそらく、聡実くんが話している「“狂”った児なんて名前つける親おる?」に被せられている

■『三十四丁目の奇蹟』
・本物か偽物かわからないサンタの話=聡実くんにとっての狂児?(逃げ道というプレゼントをくれたサンタさん?)
・見る部で映っているのは「“過剰在庫”を売るよう指示されるサンタのシーン」→合唱部に対する『自分は“要らない”(代わりはもうおる)』な聡実くんの心情を反映していそう……

■『自転車泥棒』
・生活が苦しい親子が自転車泥棒を探す話=???
・見る部で映っているのは「正論を言った息子が余裕の無い父親に叩かれるシーン」→2人の会話まんまだと、大人の理不尽さを表している?
※テーマとカラ行この関連性は自分としては現在不明
※ただし、作中で小児性愛者が息子にしつこく絡む→父親に息子が回収されるシーンがあり、理不尽発言をそのまま適用して息子≒聡実くん、父親≒狂児の配役としたら、小児性愛者≒宇宙人となり、聡実くんが絡まれたシーンの隠れた危うさと、宇宙人をブッ倒した狂児の立ち位置(宇宙人の嗜好を断罪する立場)を表しているのかもしれない

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