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034:ピアノ

・ピアニストとして活躍中のアメリカ人の友達から、リサイタルの様子を写した動画が送られてきた。
・画面の中に移る彼は佇まいがとてもかっこよく、ピアノの音色もとても綺麗だった。こちらの知識不足でその音色が織りなす情緒は理解できなかったのが、悔しい。

・何度か書いているが、自分も昔ピアノの英才教育を受けていた。
・親の離婚ですべて失ったという思いがある。
・彼の動画を見て、こんな未来ももしかしたらあったのだろうか、という気持ちに少しだけなった。
・もちろん彼ほどの努力もできないかもしれないし、仮に家庭的な事情がなかったとしても途中で挫折していた可能性だって大いにある。
・でも、それでも、あの頃あんな事態が起きなければ…と夢想することは10年以上経った今でも辞められない。

・彼の努力は断片的には知ってるので、すごいなとは思いつつ、少しだけうらやましかった。
・自分だって、こんな晴れ舞台でグランドピアノを弾く人生を歩みたかった。

・何者にもなれなかった。
・何を始めるのもいつからだって良いことはわかっているが、始まっていたものを終えるともう再開したところで大成はしない。
・ことピアノに関してはわかるのだ。自分も昔血の滲むような努力をし、たくさんの勉強をしたからこそ、今からじゃもうダメなことはわかるのだ。

・彼はピアニストとしてはまだ走り出しだろうが、有名になって欲しい。僕の小さなころに思い描いていた夢がどんな風に叶っていくのか、彼に幻影を重ねながら観測していきたい。

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