見出し画像

ログラスさん経営合宿@郡上

はじめに

7/26-28にかけて、岐阜県郡上市で行われたログラスさんの経営合宿に帯同してきました。CEOの布川さんから、
「積み上げで生める成長にはいずれ限界が来るだろうから、非連続な成長が生めるような経営チームになる、そのきっかけとなるような合宿をしたい」と相談を受けました。

私たちEVeMは経営合宿をサービスとして提供している会社ではありませんが、ログラスさんはまだ少人数の時から経営チームでEVeMのトレーニングを受講いただき、その後も兄弟のような深いお付き合いをしてきた会社さんです。なんとか力になりたいと思い、私が自分を取り戻した場所、岐阜県郡上市にお連れすることになりました。去年に続き2回目の実施となります。

▼郡上市のことや私の体験はこちら

郡上におけるコンテンツの設計・実施は、私も理事を務める一般社団法人長良川カンパニーが行いました。

▼長良川カンパニー

高い目標を掲げ死線をくぐるようなチャレンジを繰り返しているスタートアップの経営チームだからこそ、右脳で感じて、心でつながる機会が必要だと考えています。そういう営みの繰り返しが、業務上の役割分担だけではなく関係性の質も高い本当の強い経営チームを作ると信じています。
この経営合宿はスタートアップの経営チームのあり方に影響を与えるものだと思うこと、岐阜県郡上市の豊かさを伝えたいこと、この2つを目的に本記事を書かせていただきます。

布川さんからオーダーいただいた、本合宿で得たい具体的なアウトカムは以下です。

・経営陣で郡上市の自然の中で胸襟を開いて会話することで、コミュニケーションをより自然体に近づける
・自分達の命があることに感謝し、その命を社会と景気のために燃やすことに誇りを持てるようになる

それでは以下、自分がそこにいるような想像をしていただきながら一緒に旅を味わっていただければと思います。出かけて参りましょう。

長良川カンパニーの提唱する「創造性回復理論」

長良川カンパニーHPより

創造性の回復には3つのプロセスがあります。

①身体性の回復
豊かな自然の中に身体を浸し、五感を存分に使う体験を通して、“感受性の高い身体”を取り戻していきます。
②人間性の回復
自然界のリズムに身を委ねていると、自分の本来の感情や潜在的な意識、未来への意志が立ち現れやすくなります。自分の人生やチームの向かうべき方向を、頭だけで考えるのではなく、心と身体が感じていることに気づき、大事にすることができます。
③関係性の回復
自然豊かな源流域でのフィールドアクティビティは、水を起点とする生態系全体の仕組みを理解する機会になります。こうした自分と自然のつながりを身体をもって感じることは、他者とのつながりを感じながら生きるきっかけとなります。

長良川カンパニーHPより

この3つのプロセスを、郡上のフィールドを余すことなく味わい尽くす3日間を通じて達成していくことがプログラムの狙いになります。

この3日間は「できるだけスマホを見ない」ということを推奨しました。
スマホは私たちが思っている以上の脳のメモリを奪ってしまいます。創造性を最大化させるためにもスマホは見ないようにしました。

その代わりに、小さなノートと大きなノートを用意しました。
小さなノートをスマホ代わりにメモとして活用します。

旅の道中、気づいたことを小さなノート"モバイルノート"にどんどんメモし、モバイルノートに書いた気づきをより形にするために大きなノートを活用しました。
これは効果絶大で、普段の生活でも皆さんにおすすめしたいです。

気づきをメモする時、スマホでメモを取る方が多いと思いますが、それを"モバイルノート"に置き換えるだけでも、創造性がいつもより発揮されるかもしれません。

川で身体性を取り戻す

一日目、郡上につくや否や早速、川に出かけました。郡上をよく知る達人・由留木正之さんが連れて行ってくれる秘境です。透き通るような水と豊かな森のある沢に行きました。場所を予約する必要なんてなく、そこには誰もいません。対峙するのは、作り物ではない"本物の自然"です。

岐阜県郡上市は長良川の源流にあたります。飲めるほどの綺麗な水が流れる沢を登りながら、停滞していた自分の神経にスイッチを入れます。

私は何度もこういう体験をしているので、訪れた人の顔や状態を客観的に見るようにしているのですが、本当に、お酒に酔ったのとはまた違う様子ではあるのですが、東京で知る皆さんではなくなります。停滞していた自律神経にスイッチが入り、子供の頃に戻ったようなみたこともない笑顔で満ち溢れます。

美しい水、森に囲まれながら、自分の身体性を取り戻し、童心に戻ったようにひたすらに遊ぶ。この姿を見て「こちらがログラスの経営陣の皆さんです」とご紹介すれば「どんな会社なんですか笑」とみなさん焦りそうな、そんな"子供たち”の集まりに戻っていました。

オフィスでの慌ただしい毎日では、経営陣が集まって、ゆっくり心からの対話をすることは難しいと思います。そもそもスケジュール的に、経営陣が数名集まって話すことすら難しい。そういう毎日とは時間の流れが異なる場所で、時間と空間を贅沢に使い、心からの対話を行います。

非日常な空間で、スッキリと雑念がなくなった状態で、時間を気にせず過ごすことで、内省が進みます。
普段考えつかないことがどんどん頭に浮かびます。

生物と向き合い、その命に感謝すること。命あることを感じること。当たり前のことですが、都会にいるとなかなかそれを身近に感じることはできません。

いただいた命に感謝して、その恵みを感じます。

体→心→頭

川から戻り、気づきをノートに書いていきます。それぞれ孤独に、大きなノートに向き合い書きます。

自分の中に指令系統が、頭→心→体という"トップダウン"の指令系統から、体→心→頭という"ボトムアップ"の指令系統に変わります。いつもなら出てこない気づきが、体で思い切り自然を感じた後になら、堰を切ったようにドバドバと溢れ出します。スマホは使わず、紙とペンでその気づきをひたすらに記載します。

溢れ出る気づきをシェアしながら一日の振り返りをしました。このような合宿を何度も受け入れている郡上メンバーも、ログラスの皆さんの感受性や学習力には舌を巻いてました。この様子をみて、郡上メンバーにも火がついたように思えます。

知らない世界を知る

夜は今回運営している長良川カンパニーメンバーとの対話の時間でした。
「東京で・ソフトウェアを開発して・急成長を目指して」という"都市のスタートアップ”とは異なるモデルですが、彼らも長良川カンパニーを通じて社会にインパクトを与えたいと思い活動している”スタートアップ”です。

異なる地域で、異なるプロトコルで動いている地域の人から学べることは本当に多い。この話からたくさんのことを吸収されていました。

創造性を回復する3日間ですので、夜に宴会を行い痛飲するようなことはせず、しかし大いに語り合いました。

静かな空間で、1人じっくり振り返りながら眠りについた人もいたことでしょう。

森とつながる

2日目は長良川の源流が湧き出る森に行きました。自分たちが昨日見た大きな川の源流にふれ、湧き水を味わい、命の存在や尊さを体で感じます。

森に溶け込みながら、緊張状態が解かれリラックスモードに入ります。
自分が自然の一部であることを感じる、そしてその一部でしかないことを感じる、立場や役割といった普段つけている仮面がどんどん剥がれ、素の自分に戻っていきます。

この森で、創造へと向かう1on1を行います。

"課題解決"ではなく、私は今、この命を使って"何を作りたい"のか?

「課題を設定しそれを解決する」ということが日常の所作になりがちですが、課題解決ではなく「何を作りたいのか?」にフォーカスすることで、積み上げでは生まれないイノベーションを生むきっかけになります。
森で命を感じ、自分の力を大きく感じた状態で、話したい人を選んでもらい1on1を行いました。

皆さん1on1は普段の業務の中で行われていると思いますが、その1on1での話、お互いに”本当のことを”話しているでしょうか?覚醒してスッキリした頭で、そして森でリラックスした状態でお互いに対話するとき、それは普段の1on1とは比べ物にならない深い、心からの対話になります。

私もログラスさんの合宿の傍ら、一緒に帯同したEVeMメンバーと対話しました。「ああ、自分はこの人たちのことを何もわかっていなかったんだな」と痛感しました。心からの対話はできていませんでした。

星空とサウナ

川で自らを停滞状態から覚醒状態に持っていき、森で緊張状態からリラックス状態へ、覚醒*リラックスという最も良い状態に持っていけるようなプログラムを中心にしつつ、そのプログラムの中でサウナも重要な役割を果たします。

満点の星空を眺めながらの外気浴で、この2日間自分の中で生まれそうになったものが溢れ出ます。まだ言葉にはならないが、体や心は気づきつつあることを感じつつ、星空と溶け合う時間でした。

今回の経営合宿の拠点となったのは、長良川カンパニーの下田知幸さんが運営する「民宿しもだ」です。
建物も料理もサウナも本当に最高なので、こちらにHPを貼っておきます。

▼民宿しもだ

自然と経済は繋がっている

源流の森から少し上に行ったところでは、造成のための工事がされていました。そのような工事が森の生態系に影響を与えてしまうのは悲しいことでもありますが、一方でその工事に従事されている方やそのご家族の生活がその工事の業務を通じて営まれているのもまた確かな事実ですし、造成された施設が誰かに使われ役に立つかもしれないということもまた事実でもあります。
自然と経済はこのように繋がっていて、一概に「自然を壊すな」「経済を成長させよ」という二項対立の議論では消化しきれない矛盾がこの社会には存在しています。

その森に感謝して、その森を守りながら、「フィールドワークを行わせてもらえばもらうほど森が復活するような関係性」を目指して取り組みを重ねていた長良川カンパニー代表の岡野さんは、造成の様子を振り返り思わず涙を浮かべていました。
その涙は、生態系が破壊されていくことへの怒りという単純なものではなく、いろいろな矛盾を理解した上で、いろいろな想いが重なった上での涙だったと思います。

ログラスさんHPより

このような矛盾が社会に溢れていることは頭ではわかっていても、自分たちが身体性や人間性を取り戻している素敵なその場所でその事実を目の当たりにした時に、「良い景気を作ろう。」というコーポーレートミッションを掲げるログラスの皆さんは何を思ったのでしょうか。

良くしようとしている景気の姿、経済の姿や、経済と自然のつながりがより多義的に見えて、考えさせられる時間になったのではないでしょうか。

様々な学びや気づきを得た旅を振り返りつつ、最終日の夜を過ごしました。

旅の終わりに

この旅の総決算として、経営陣がお互いの悩みを心から受け止め、聞き、支援する対話を行いました。郡上での3日間を通じて繋がった強い絆を感じることができました。この対話で涙される方もいらっしゃいました。

この合宿をこの短いブログでまとめるのはあまりに難しく、その全てを伝えきれないのは悔しい限りですが、興味のある方はぜひ郡上を訪れてみてください。

帰り際に、郡上の集落から市街地である八幡町に移動し街を散策しました。10数メートルの橋から子供がバンバン飛び降りるのが郡上の夏の風物詩なのですが、身体を取り戻した布川さんは地元の子供に混じって飛び込んでました(私は無理です笑)
人が秘めてるものってすごいよな、自分はまだまだ他人のことなんて少しもわかってないんだな、と感じました。

布川さんからは以下のようなコメントをもらいました。お役に立てたようでよかったです。

皆様、全員無事帰宅できました。 本当にこの度は素晴らしい旅をありがとうございました。
皆さんは郡上で身体性を取り戻す方々を数多く見てこられたと思いますが、私も本当にこの5年間で一番心の底から身体が求めることに忠実になり、人間性を取り戻せたと感じました。
あまりに自分が健康でエネルギッシュで、普段の自分が嘘みたいな活発さだったと思います。(いつもあのレベルでは全くないです)
また、本来求めていたアウトカムである
・自然体の対話と関係性構築
・大いなる命への感謝と良い景気を作ろう。への誇りを感じる
ということについても達成されたと感じました。
特に後者は川で魚を捌いて食べること、森に変化が起きていること、そこに新しいチャレンジを重ねて守るべきものへ全力で向き合う人たちとの対話でかなり深く根がさした感覚を持てていて、会社も自分も社会の公器としてデカくなった確信があります。
また来年、必ず行きます。

以上、ログラスさんとの旅の記録でした!

▼創造性回復の旅「Transition Journey」のご紹介

▼お問い合わせ



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?