「晴れの日も雨の日も」#31 男らしいって何だろう(後編)

前編では、今も昔も変わらない「男らしい」とは強さと優しさを兼ね備えること、ではないかと考えた。「男らしい」のハードルは実は結構高いのだ。後編では、時代の変化をふまえて考えたい。

女性の地位向上に伴ってという訳ではないのだろうが、男性側はやや地盤沈下傾向にあるように映る。たとえば稼ぎが悪い等「男性弱者」と呼ばれる層が増加傾向にあるらしい。そしてこうした男性は古典的な「男らしい」の呪縛から、弱音をはいたり、助けを求めたりということができにくいという。

もちろん、強くない男にも生きていく権利はある。草食系と言われようが何だろうが、自分の人生を堂々と楽しめばよい。生涯独身の男性が増えている(=独身女性も増えている)が、別に一生結婚しないという選択肢があってもおかしくない。
が、自らそういう選択を選び取るのならまだしも、結婚したいのに女性が見向きしてくれない、となると少々ツライ。

女性が経済面も含め自立を進めてきた時代に、男性は女性に何を提供すれば「男らしい」と認められるのだろう。
少なくとも経済面においては、女性が自分で稼ぎを得て自立してくると、「守ってあげる」という側面は弱まるのだろう。昔のような庇護とか扶養とかという関係ではなく、いわば対等なパートナーという色彩が強まっている感じかな。
そうすると、「男らしさ」にも共感とか寄り添うとかというイメージが必要なのかもしれない。

また、家庭とは安らぎの場なのだから、外で働いてヘトヘトになって帰ってきた女性に安らぎを与えるというのもとっても良いのではないか。しかしそうなると、同じように外で働いて疲れた男は、家に帰ってからも、もうひと頑張りして相手への「安らぎ」を自分の中から捻出しないといけないということだ。
まあ、そこは男も女もお互い様、相互安らぎ提供ということなのだろう。

家事の積極的負担ということもひとつのキーワードだ(これについては明日投稿「些事に神々は宿る」であらためて)。

どうやら、「強くて優しい」の「優しい」の部分の強化や、質のバージョンアップがカギのように思われる。「女性の男性化・男性の女性化」というか双方の中性化が進んだ結果、同じような役割・同じような疲れ具合の独立した二人が同じ屋根の下に住んでいるだけ、という構図は少しサビシイ感じがするが、ここを打開するにはコミュニケーションが重要だろう。そしてコミュニケーションは双方の信頼と努力によってはじめて成立する。

また、主に女性対男性という観点で「男らしい」を考えてきたが、男から見た「男らしい」なんていうのも考えてみる価値がある。

さて、新しい時代の「男らしい」「女らしい」は、若い人達が考えてくれればいい話で、老域に入った私がとやかく心配する話ではない。が、この話は今この国が世界トップスピードで走っている少子高齢化という問題につながるように思う。政府は政府で経済対策などの制度面を検討しているが、それよりもこうした考え方とか社会的な価値観・文化の方が大きく影響しているような気がしてならない。

「男らしい」「女らしい」より「自分らしい」ということの方がより重要だという見方もあるが、拙文をひとつの起爆剤として、自分はどんなオトコもしくはオンナになりたいのだろう、ステキなオトコ、ステキなオンナってどういうことなんだろう?ということを若い世代が考えたり話し合ってくれれば大変幸甚である。

今日も最後までお付き合い頂き誠にありがとうございました♬ 長井 克之

仕事のご連絡・その他ご相談等はこちらに→nagairb21@jcom.zaq.ne.jp

<予告>
#32 些事に神々は宿る(一部「男らしいって何だろう?」続編)
#33  賭ける~カムカムエブリバディ雑感
#34 サラメシ探検隊
#35 正しいから距離を置く
#36 「好き」ということ
(続く)


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?