官能目線の映画レビュー vol.1 『砂の女(1964)監督 勅使河原宏』 ~それは、極上の誘惑イメビでもある~
はじめに
エロ小説書いている身ですが、何もエロ小説だけからインスピレーション得ているわけではありません。ヒントになるものはなんだって貪欲に取りこんでいきますよ。ということで、官能小説の養分になりそうな作品も紹介していきます。まずは、映画 から。
※概要紹介はあくまで簡単に済ませます。エロ字書きのNoteなので、エロを期待して読まれていると思いますので、そちらに紙数を当てます。本作や監督、原作のファンの方、気を悪くされないでくださいね……
作品概要
1)原作
原作は安部公房というゴリゴリの純文学作家の傑作を映画化したものですな。ストーリーを端から説明していくのもかったるいので(おいっw)、↓読んどいてください。
原作は、浪人生時代くらいの時に読んだのかな。哲学的な匂いとエンターテインメント性が両立した素晴らしい作品でした。
※安部氏の作品、本作以外は手ぶらで読んで「おもろかったー!」って言えるような感じじゃあありません。割と、それなりに覚悟して読まないといけないです。他の作品は敢えていえば、↓は割と読みやすいですが。永井的に他は結構きつかったです。
2)映画化作
今回取り上げるのは映画化作の方です。
日本では、レンタルDVDとかで見かけた記憶もなく、あまり流通していない感じがしましたが、私の暮らすアメリカの、地元の図書館に置いていたので見てみました。
(追記)なんと今やYou Tubeでフルで見られます。
浪人生時代の永井は原作を読んで「とにかくこの穴ぼこから這い上がって自由を得るのだ」といった単細胞的で間違った読み方をしていました。
サラリーマン生活を15年ほど経て、四十を前にこの映画を見て感じるのは、
現代ホワイトカラー
=自由、都会、合理的だが、その分何度も自己責任、一見かしこそうな仕事だけど中身空っぽのブルシットジョブ
未開の部族社会
=不自由、理不尽、個性など顧みられない……でもとりあえずしっかりした居場所がある
みたいな対比のもと、この誘惑に逆らえるかね君たち?と挑発されているような感じがしましたね。実際、監禁された男も、水をくみ出す方法編み出したりして、めっちゃ楽しそうだし(笑)。
「いつか抜け出すぞこの生活」って思ってもがいているうちが、抜け出した後よりも一番幸せだったりするのかな、なんて。とまあ、哲学的、人生論的な含みも満載の本作ですが、そういうのを永井に期待する人はいないと思いますので、これくらいにしておきます(笑)。
3)で、何がエロいか?
なによりもまず、岸田今日子さん演じる未亡人の献身性と表情ですな。労働力として穴ぼこの中に監禁されますが、わりと手厚く労わってくれますし、無条件に求めてくれる体験は現代男性のほとんどにとって手の届かない極楽でしょう。
(夜通し砂かきしないといけないことくらい、大したことなくね?と思えてきます)
さらにいうと、このシーンの表情の多彩さが神がかっています。
そうかと思ったら、こういう楽し気な顔もあったり。これ、もうここで一生いてもいいんじゃね?と思えてきます。おれ、この奥さんと暮らせるならやるよ、砂かきくらい(笑)
このようにですね、本作、超絶濃厚な誘惑イメビとしてお楽しみいただけるんですね。
……といって、楽しいだけの砂穴生活ではありません。閉鎖的な部落は時に凶暴性を露わにします。凌辱小説派の方にも響くものがありますよ。
「三十分だけでいいから外にでて海がみたい」という男に対して、村リーダー格の男が突きつけた交換条件は、、、、
このモブたちの視線の下品さと暴力性、やばいです。凌辱小説愛好家の皆さまなら、きっと分かってくれるでしょう。
「ばかばかしい、ほっときゃいいんだよ。色気狂いじゃあるまいし」無視して砂かきを続ける未亡人だったが、「いや、これはチャンスじゃないか。そんなにむつかしく考える必要はないじゃないか」といって男が、、、、
あとがき
いかがだったでしょうか?見てみたくなったに違いありません。↑をJust One Clickで見れます。
ちなみに、村人勢ぞろいのシーンを見て私は、以下の2作を思い出しました。そうです、フランス書院から出ている「町ぐるみの」シリーズです。
どちらも、巨匠による傑作中の傑作です。合わせてお楽しみください。
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