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冒頭、チラ見せ!!! (2/3)     

妄執文庫新作 奸計外伝           奈落への復職~献身妻瑠衣子と淫鬼の帝国~


前回に記事にて、執筆中の新作の冒頭を先行公開いたしました。

今回!!さらに続きを公開します。前回分と合わせて累計一万三千字に及びますからちょっとした短編小説くらいの分量ですが、出し惜しみはしません‼文量は妄執文庫の最大の強みですからね♪

不倫の過ちを、嫉妬深い後輩女子社員、単細胞エロガキ男子社員に嗅ぎつけられて、ゴリゴリ言葉責めされるシーンです。まだ胸にも尻にも触ってません。言葉と淫靡な雰囲気だけでこれくらい引っ張るのが妄執文庫です。
(常連読者様はよくご存じかと思います、、、)

ということで、前置きはこれくらいにして、続きをお楽しみください。

「奸計」外伝 
奈落への復職~献身妻瑠衣子と淫鬼の帝国~



 仮初の安らぎは、唐突に終わりを迎えた。
その日は、四半期決算の繁忙期が終わる日で、本来であればチームは解放感に満ち、残業もせずに帰宅しているはずの日だった。
瑠衣子はその晩、石渡のマンションで時間を過ごす約束をしていた。
しかし、フロアの大半の社員が帰宅した午後八時頃になっても、瑠衣子以外のチームメンバーは会議室にてミーティング中だった。業務でトラブルが起こっているのか、夕方から主任の佐澤成美が石渡を捕まえて何かを耳打ちしている姿が目に入った。石渡の表情はいつになく暗く、強張っていた。
 瑠衣子自身は、特段仕事が残っているわけでもなかった。石渡からは、部屋の合鍵を渡されていたし、先に退社して、部屋で待っていようかとも思った。だが、上司の顔に浮かんだ深刻な表情が気がかりで、なんとなくこの時間まで居残っていた。
すると、新人の橋本から内線電話宛に着信があった。発信元は、会議室の固定電話からだった。
「瑠衣子先輩、遅くに申し訳ないんですが、ちょっと緊急ミーティングやらなきゃヤバイ状況なんで、会議室まできてもらっていいすかぁ?」

会議室に駆け込んだ瑠衣子は、室内に充満する異様な空気に気圧された。石渡が憔悴しきった様子で頭を抱えている一方、佐澤は勝ち誇ったように腕組みをしながら会議テーブルの上に腰掛け、うな垂れた上司を見下ろしていたのだ。
入ってきた瑠衣子が困惑して立ち尽くしている様を、新人の橋本と三年目の染谷が、意地の悪い、含みを持たせた笑みを浮かべながら眺めている。
佐澤が、石渡の隣の席を指さしながら言った。
「瑠衣子先輩、ここ、座ってもらえる?」
いつも、瑠衣子に対して慇懃無礼な態度をとりがちな佐澤であったが、今日はもはや挑戦的な態度を隠そうともしない。瑠衣子は、黙って従った。
「あの……緊急の話っていうのは……」
「先輩、課長のこの様子みてピンとこない?」
「えっ……?」
 恐る恐る、隣に座った石渡の方に向ける。苦痛に耐えかねたように目を固く閉じたまま、石渡の唇が微かに動いた。すまない、すまないと言っているように見えたが、声はほとんど聞こえなかった。
 瑠衣子は、急激に鼓動が高まるのを感じた。自分と、上司との道ならぬ関係が、露呈してしまったのではないか……
恐ろしい考えを振り払うように、思わず否定した。
「……なんの、ことかしら」
 佐澤の口元が、片側だけつり上がり、冷たい笑みが浮かぶのが見えた。
「あーぁ、正直に白状したら情状酌量の余地もあったんだけどねぇ。先輩、しらばっくれちゃうんだ」
「瑠衣子先輩、正直に言っちゃった方がいいっすよ。佐澤先輩、課長のこととなったらマジで怖いんで!」
三年目の染谷が意味ありげに言った。
「……だから、いったい、なんの話か……」
 その場しのぎの言葉を、佐澤が舌打ちしながら遮った。
「先輩、色仕掛けで課長を誘惑して、悪いこと、してるよねぇ?」
「何よそれ。な、なんのことか、わ、わからないわ。」
「ふんっ、会社でこんなことまでしてて心当たりがないなんて通用するかなぁ?」
佐澤が眼前に突きつけたスマートフォンの画面が、瑠衣子を地獄に突き落とした。
それは上司のベルトを解き、スラックスをずり下して、口淫奉仕の準備を始める、自分自身の横顔を捉えていた。
瑠衣子は、絶句した。不貞の関係が、何らかの形で露呈したことまでは想像がついていた。しかし。まさか、その映像まで押さえられているとは……
「ち、ちがう、これは……」
 思わず、右手が佐澤の持つスマートフォンの方へと伸びたが、簡単に振り払われてしまった。
「改めてみんなで、現物確認しようかしら?」
佐澤がスマートフォンをケーブルで会議室のモニタに接続すると、映像が大写しになった。そうして、マックスにまで引き上げられたボリュームで、瑠衣子の艶めかしい音声が、狭い会議室内に響き渡った。

うふふ、課長。もうすぐ会議、始まりますけど、平気ですか?
大丈夫ですよ、私が対処しますから。リラックスしていてください

「あぁ……、あああっ……、そんな……」
 瑠衣子は、耳を覆った。佐澤は、スマホを操作し、巻き戻しては問題の台詞を何度も、何度も繰り返し再生した。鼓膜に響くような大音量によって、まるで鞭打たれているような錯覚を与えた。
 液晶の中の自分が、テーブルの下に潜り込み、いよいよ口唇奉仕を開始しようかという瞬間。瑠衣子は、叫んだ。
「お願い、もうわかったから止めて!正直に話しますから!」
「ははは、もう遅いし。逮捕されてからするのは、自首とは言わないからねぇ」
クチュ、クチュという淫らな水音が、瑠衣子と石渡の二人の鼓膜を責め苛んだ。瑠衣子は、啜り泣きを始めた。
「しっかし、惜しいよなぁ、この映像。肝心のシーンで瑠衣子先輩、テーブルの下に隠れちゃうから、フェラ顔が拝めないんだもん!」
 染谷が言うと、新人の橋本が調子を合わせる。
「ほんとっすよ。こっからさき、映ってるのは、課長のバカみたいなアへ顔だけなんだから、腹立ちますよ」
 瑠衣子は、自分の行った行為の取り返しのつかない代償に、震え上がった。これはもう自分の、既婚者としての貞操の問題だけでは済まない。課長である石渡の、部下三人に対する威信を木端微塵に砕いてしまった。これから自分達二人は、この三人の後輩社員達とどうやって接していけばいいのか……

「先輩、さっき、正直に話す、って言ったよねぇ?じゃあさぁ、このとき、テーブルの下で何してたか、しっかり説明してもらえるかなぁ?」
 あってはならない背徳の行為を、わざわざ言葉にして説明しろという。底意地の悪い要求に、瑠衣子は眉根を寄せた。その表情を、反抗と捉えた佐澤が、会議室テーブルを平手で叩きつけた。まるで、古い刑事ドラマの取り調べのように。
瑠衣子は、涙声で罪を白状するほかなかった。
「……う、うぅぅ……お、お口で、処理を、していました」
「ん?何言ってるかよくわからないんだけど?しっかり、主語と述語を明確にしてくれる、瑠衣子せんぱぁい?」
 佐澤は、勝ち誇ったような表情を浮かべている。
「だ、だから……、私が、か、課長の、そ、それを、口で、処理して……」
「コソアド言葉も要注意ですよ、瑠衣子先輩。課長のソレって、一体なんなんすかぁ?」
 染谷が、言葉嬲りに加わってきた。
「も、もう、いいでしょう!いい加減にして!」
「はーい、ゲームオーバー!反省の色が見えないようですのでぇ、本件は内部通報のホットラインに報告しまーす」
 佐澤がモニタの出力設定を切り替えると、今度は佐澤のパソコン画面が投影された。そこには、書きかけのメールのドラフトが映し出されていた。

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件名 経理課課長と課員による不適切行為について

内部通報ホットライン事務局 御中
 
掲題の件について、ご報告いたします。先月より当社に復職した、大前主任と、石渡経理課課長との関係性については、以前より不審な点が多くありました。
まず、二人きりで会議室に籠って打ち合わせをする時間があまりに頻繁で、時間が長いということ。また、深夜の人気のない時間帯に、リモート会議ということで二人だけで残っているシーンも多く見受けられました。
二人が親密すぎるのではないか、という声や噂話が多くたっており、それゆえに職場の風紀が大いに乱されているという状況でした。

そこで今回、会議室に据え付けてあるビデオ会議システムの機能を利用し、二人の様子を観察することにしました。
二人がリモート会議に参加している時間帯の様子を撮影した動画を本メールに添付しておきます。
……中身については、言葉にすることも憚られる内容ですので説明は差し控えますが、ご覧いただければお分かりいただけるかと思います。
適切かつ厳粛な処分を希望いたします。

以上
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「おっと。動画を添付するのを忘れてたわ。一ギガバイトくらいあるから、ちゃんと圧縮しておかなくっちゃね」
 佐澤が鼻歌まじりに、動画をzip形式に圧縮する。作業進捗を示す青いバーが、ジリジリと伸びているのが目に入って、瑠衣子の焦りは極まった。
「ま、待って、お願い。これは、送らないで!困ります……」
「ふーん。じゃあ、圧縮が完了するまでは待ってあげる。瑠衣子先輩お得意の、丁寧な5W1Hで、報告してくれるかしらぁ?」
佐澤は昔、瑠衣子から稟議書の書き方で繰り返し指導を受けたことがあるのだが、その時の意趣返しとばかり、皮肉たっぷりに言った。もっとも、瑠衣子の方はそんなことなど気にしている余裕すらなかったが。
「わ、私は、この会議室で、リモート会議のあった、その夜に……石渡課長、の……」
 青色のバーは、百パーセントを目指して刻一刻と伸長していく。もう、なりふり構っているわけにはいかない。
「課長の、お、おチンチン、を……」
 瑠衣子の口から飛び出した言葉に、染谷と橋本が歓声を上げた。佐澤がそれを舌打ちで制した。まだ終わっていないぞ、というように。
「お、お口で……な、舐めました」
「ふーん。なるほど。で、結論は、なんなの?顛末もはっきりさせてちょうだい?」
「くっ……それは、え、えっと……その……お口の、中で、受け止めました」
「だから何を!」
「ううっ……せ、精子です……」
「へー、このテーブルの下で、そんなことしてたんだぁ。全く信じられないわぁ。ねぇ、あんたたち、今の説明でよく分かった?」
 佐澤が、後輩男子二人に話を振った。大袈裟な身振りで染谷が首をすくめながら言う。
「やっぱり最後がよく分からないなぁ。口で受け止めた?んで?それからザーメンどこいっちゃんたんだろうなぁ?って」
 瑠衣子は、恨みの籠った目で染谷を見返した。だがモニタに映された内部告発のメールがチラついて、抗議する勇気はどうしても持てなかった。
「だ、だから……そのまま……飲み込みました」
「へぇ!瑠衣子先輩、ゴックンもやるんだ!さすが人妻だけに、鍛えられ方が違うっすねぇ!」
 橋本が、囃し立てた。染谷は、抵抗できない瑠衣子に対して、更に追い打ちをかけた。
「で、課長のスペルマの味の評価は?企画はちゃんと成否を冷静に振り返るのが大事だって、先輩いつも言ってたよね?」
 瑠衣子は、もう我慢の限界とばかり、テーブルを両手の平で叩いて、立ち上がった。

ふざけるのもいい加減にしなさい!あなたに、関係ないでしょう!

その言葉が、喉元まで出かかった瞬間。圧縮が完了した動画ファイルがメールのうえにドロップされるのが視界に入った。立ち上がったまま、金縛りにあったように、全身が緊張した。
「後輩の質問には、優しく答えてあげなくちゃ。」
「う、うぅぅぅ……どうして、そんなことを、答えないといけないのよ……」
「ほら、最後のチャンスよ。課長の精子のお味は?どんなだったの?」
「……す、少し……苦い、味がしたわ……」
「くっ、くははははっ!そっか、やっぱ中年男の枯れたチンポから出てくるザーメンでもやっぱ、しっかり生臭いんだぁ?」
「そ、そんなこと、言ってないから!」
 瑠衣子は、抗議した。悪意に満ちた質問で自分と石渡との間を引き裂こうとしている、その魂胆が許せなかったのだ。
それに、これは全て自分が招いた事態だ。不倫関係の始まりにせよ、会議室でのオーラルセックスにせよ、石渡に強いられたわけではない。自分で進んでやった行為だった。だから、自分自身で立ち向かわなくては。
だが、ふと石渡の表情が目に入った。その目は虚ろだった。微かに首を横に振っている。抵抗するな、こいつらを刺激するんじゃない、そう言っているように見えた。
「さて、これを送るか送らないか、判決を下す前に、最後の質問をさせてもらうわね。瑠衣子先輩。あなたはどうして、勤務時間中に、フェラチオなんてしちゃったのぉ?WHY??」
「そ、それは……」
 瑠衣子は言い淀んだ。石渡が性器を勃起させていたからだ、などとは言いたくなかった。
「お、俺が、悪かったんだ。魔がさして、つい変に興奮してしまったから。彼女は、何も、ちっとも悪くないんだ。だから、彼女を、いたぶるのはもうよしてくれ、頼むから……」
 夕方から詰問され続けて、すっかり打ちひしがれていた石渡が、自分を奮い立たせるように言葉を絞りだすように叫んだ。
 しかし、二人の男子社員達からすかさず罵詈雑言を浴びせられた。
「ええ!そうだったんすかぁ。そしたら課長、上司の立場を利用して部下に性奉仕させたってことじゃん」
「ああそうか、初めから、旦那さんの件で困っている瑠衣子先輩の弱みに付けこんで、イイナリにするために呼び寄せたんだ?鬼畜だねぇ、このオッサン。佐澤先輩、そのことも内部告発のメールに書き加えておきましょうよ」
 瑠衣子は、長い黒髪を振り乱して、首を横に振り続けた。不倫の関係とはいえ、恩人なのだ。自分の軽率な行動のせいで石渡の人生を破滅させるわけには、絶対にいかない。憤慨が極まって、もはや言葉にならない叫びしか出ない。
「うるさいわねぇ、喚かないでくれる?何が言いたいのよ?」
「あぁ、ああっ……だから、全部、全部私が悪いの。私が、勝手にやったことなの。だから、課長は、何にも、本当に何にも悪くないの。お願い、信じて!」
「ふーん、じゃあ、瑠衣子、お前が石渡課長を色仕掛けで誘惑して、ドロドロの不倫関係に引きずりこんだ。そういうことなんだよねぇ?」
 もはや堂々と自分のことを呼び捨てにする佐澤を前にして、瑠衣子は抵抗する気力を失っていた。佐澤の左手が瑠衣子の頭髪の中に潜りこみ、憎しみを込めて荒っぽく揺さぶってきた。そして右手は、パソコンのマウスに伸びている。マウスポインターが『送信』ボタンの真上に置かれている。
それは、自分と石渡の二人の人生に突きつけられた銃口のようなものだった。
「いぃぃっ……は、はい、そうです。そのとおりです……私は、本当に、どうかしてたんです!だから、それはお願い、送らないでっ!」
 狼狽しきった瑠衣子の様子を見て、三人は満足気に目を見合わせた。
「瑠衣子せんぱーい、ちょっと慎重に答えた方がいいっすよぉ?佐澤さん、先輩に石渡課長寝取られたって、逆上してるからねぇ」
「そうそう。このままだと、かなりひどい目に合わされるっすよぉ。女の嫉妬は怖いっすから、あははは!」
 瑠衣子に耳打ちする男子二人の頭を、佐澤がノートでパシン、パシンと打った。
「余計なこと言ってんじゃないよ、お前ら!こうしてやる!」
「ひぃ、い、痛ってぇ!」
「許してくだせー佐澤のアネキぃ!」
 あまりにも高くついた不倫の代償の前に震える二人男女。その沈痛な表情を、三人の若手社員達の場違いなほどコミカルなやり取りが残酷なコントラストをもって浮き上がらせていた。

第一章より


永井の原風景

いかがだったでしょうか?永井は、ヒロインが初めに脅しに屈するシーンが大好きです。抵抗を試みるも、さらにあくどいカードが切られて徐々に選択肢がなくなり、最後にはがんじがらめにさせられる。
脅す側、脅される側の関係の非対称性。それ自体が非常にエロチックだと思います。そこに、肉体の接触がなくても、十分性的に興奮できるのです。

永井の全ての作品において、そのようなシーンが存在しています。それくらい、妄執文庫においては欠かせない要素なのです。

いつからそういうものに興奮を覚えるようになったか。思い出せる限りをたどっていくと、やはりこの作品に行き着きます。

綺羅光先生の三部作の長編の最終巻。
好色なヤクザ(醍醐)の情婦に落ちたヒロインの佑里子。醍醐が抗争のドサクサか何かで突然の死を迎え、平穏な日々が戻ってきた。
そんなところからこの第三巻が始まります。ただ、ヤクザの罠にかかって義理の息子と家庭内で肉体関係を結ばされていた過去を、質の悪い家政婦(鳥越満智子)に嗅ぎつけられ、今度はその家政婦を通じて凌辱鬼達の輪が広がっていく、という展開です。

その家政婦が佑里子を追い詰めていくシーンが本当に秀逸で、永井はものすごく影響を受けました。
今回の「奸計外伝」でいうと、後輩女子社員の佐澤成美がその役割に相当します。

また、拙著、淫虐二都物語の下巻においては、川越夫人という大ボス(笑)が出てくるのですが、正直に申し上げて淫猟夢3の鳥越満智子に出会わなければ、生まれてこなかったキャラクターだと思います。


今回の先行公開ではいわゆる「濡れ場」は含んでいませんが、淫靡なテンションを保ったまま、ここから肉弾戦にもつれこんでいきます。

期待しておいてください!待ちきれない!という方は、既刊本をお楽しみください!それではまた!

妄執文庫の既刊本は↓

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