国葬も、要するにパーティー券なんだろ。
幻想譚とあったので耽美的な小説集かと思ったら「北斎」のパロディぽいのがあり、予想していたのとは違っていたので暫く積ん読していました。異形のものが人間の日常に淡々と暮らしていて、御伽話にしては生活感のあるリアルだが、ヘンな感じはするユーモア小説群だ。
彫り物のような鮮やかさだった。ごろつき感覚でどん底で生きていることの腥さを感じた。飢えと渇きへの細やかな慰めも。鮮烈だ。表の世界からはみ出された俗に生きる人たちだけど自分の生に縛られている。粘りこく言葉の生霊がここである世を醸し出す。なのだが、逃避行しても行きたいとこへは行けないドンづまりである。生殖のシーンがあるが、子を産むでない、生命の迸りなのだ。魚のような生殖したら死ぬような性を感じさせるのだが、まぐわうだけで慰めしか残らない
急な雨に僕は追い立てられた。 咄嗟の夕立か、其れとも暫らく続く長雨なのかはわからないが、とにかく雨宿りだ。 でなければまるで僕は雨となってしまう。 速く、それでいて泥濘に足捕られないよう確りと足取りを進める。灰色の曇天は風景をモノクロがかせる。鉛のような雲は重さに堪えかねてしまい、ぼとぼとと雨の音、そんな雨の暴動が起きてバラバラとした機関銃のゲリラ雨となった。暈けた風景で視界は薄っすらとして、体が薄冷めて少し硬張り、時折に躓きかける。薄ぼやけた先を眺めると停留所がある