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長崎大学工学部「創成プロジェクト」のメンバーが快挙!

 長崎大学、富山大学、新潟大学の工学部が合同で、学生グループによる活動を発表する場「学生ものづくりアイディア展」。長崎大学からは毎年、創成プロジェクトを受講したグループから2グループが出場しています。2021年度、オンラインで開催された同展で長崎大学の1グループが学生賞を受賞しました。その活動内容を2回に分けてご紹介します。

グループ3人のインタビュー記事を掲載している第2回はコチラ(Click)から。

長崎大学工学部の「創成プロジェクト」とは?
“ものづくり教育”と“安全・安心教育”の融合を図るとともに、地域固有の問題の解決を産学官連携のもとで試みる授業。工学部と博士前期課程の学生が対象です。
創成プロジェクトの詳細はこちらから

学生賞を受賞したメンバー。写真は2021年11月長崎大学で行われた創成プロジェクト最終発表会の様子。

ブロッコリー農家の2つの課題

 学生賞を受賞したのは「ブロッコリー農家支援のための害鳥対策機能を備えた支援電動モビリティ」に取り組んだ5人のグループ。依頼元は長崎県諫早市でブロッコリー栽培を営む農家です。与えられた課題は2つ。「①カモによる食害対策」「②運搬機の自動化」とのことでした。

 ヒアリングのために、メンバーが現地に足を運ぶと想像以上に広大な畑が広がっていました。

↑畑は3つあり、最も狭い畑でも100m×50m。広い畑で幅2km。見渡す限りのブロッコリー畑でした。

 この広大な畑で、人力での運搬車を使って作業することが大変なのは一目瞭然です。また、ヒアリングから、カモはブロッコリーの生育初期に当たる苗を食害すること。これまでカモ対策のために天敵のフクロウの鳴き声を鳴らしていたが、1カ月たらずで効果がなくなったことなども分かりました。

課題①カモによる食害対策 

 メンバーから挙がったいくつかの案の中で、当初有力だったのは「カメラでカモを検知して、ドローンで追い払う案」です。しかし、カモが活動する夜にカメラが対応できないこと、ドローンの稼働時間で広い畑をカバーできないことから断念しました。再度、規模やコスト面を考慮した後、最終的に開発に繋がったのはセンサとミニカーを使った対策でした。赤外線センサで動物を検知して、ミニカーを現地に向かわせて追い払うシステムです。

↑赤外線センサで近くにカモが来たことを検知し、その情報をBluetoothでミニカーまで送ります。全体の制御はArduinoという小さなコンピュータで行っています。
↑ミニカーにはブザーとライトを取り付け、音と光によってカモを追い払います。

 次の映像は実際にブロッコリー畑で行った実験の様子です。

 動物に対するセンサーが反応して、ミニカーがその場に移動。音や光を発する一連の動きを実証実験で確認できました。

課題① 運搬機の自動化

 まず、ブロッコリー農家から普段使っている運搬機をお借りして、その運搬機を電動化することにしました。取り付けるモータにどの程度の力が必要なのか計測が必要です。運搬機に65kgの重量を載せて、畑と同じ柔らかい草地で動かして、必要トルク(タイヤを回転する力)を測定しました。運搬機自体が重くならないようにすることもモータ選定の検討要素でした。次の映像は実際にモータを装備させ、動かした様子です。

 その後、農家と話し合い、3段階の速度制御機能とバック機能も実装しました。次の映像はブロッコリー畑で動かした様子です。

 畑ではあちこちにぬかるみがありますが、モーターをつけたことで運搬機を移動させる労力は格段に軽減されました。

その後の課題

 1年間の限られた期間の中で、一段階の結果を掴んだ同グループ。メンバーからは次のような感想がありました。「現地でのヒヤリング、構想、設計、初期実験、修正と進めてきて、実証実験まで実施することができました。農家の方と要望に答えられるように進めてきたことが評価されて、学生ものづくりアイディア展で学生賞を受賞できたと感じています」。
 今後の課題では、カモ対策では広大な畑に対応できるセンサの通信方法を検討すること、運搬機の自動化では作業者追尾機能の追加などがあるそうです。

〈終わり〉

 第2回ではメンバー3人へのインタビュー記事を掲載しています。


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