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誰もが“自分らしく”幸せを感じられるように

長崎大学医療系の学生グループ「らしくじら」は2022年夏に発足したばかり。「私らしくあなたらしく“らしさ”が輝くつながりづくり」をモットーに地域づくり活動を展開しており、現在は月に一度長崎市住吉町の教会で、こども食堂「くじら食堂」を開催しています。らしくじらの代表りんりんさんと、副代表のきもんさん(いずれも医学部保健学科看護学専攻4年生)に話を聞きました。

Q. らしくじら発足のキッカケを教えてください。

りんりんさん(以下りん):わたしたちが長崎大学に入学したのは2020年のコロナ禍の真っ只中でした。授業はほとんどがオンラインで、交流することを制限される時期だったので寂しさを打ちあける友達ができずに孤独を感じる日々が続きました。そんな時にふと「人間関係が活発な大学生ですらこんなに寂しいのに、小学生や中学生、もしかしたら大人でも不安に押し潰されそうになる人は多いかもしれない」と思ったんです。誰もが社会的な健康を脅かされていると感じました。

Q. 「社会的な健康」とは何ですか?

りん:人は周囲の人々に必要とされ、社会で認めらることに喜びを感じます。WHO(世界保健機関)の憲章前文にも「健康とは肉体的にも精神的にも、そして社会的にもすべてが満たされた状態にあること」と書かれてあり、社会的に幸せを感じられる環境は人間の健康には不可欠なんです。しかし、日本では肉体的、精神的は重んじられますが、社会的な健康はあまり尊重されていません。

Q. コロナ禍でそれが顕著になったんですね

りん:そう感じました。そんな時、東北地方で医療系の大学生が地域づくり活動をしていることを知り「長崎にも同じようなグループを作ろう」と思うようになりました。そして、きもんちゃんや他のメンバーと出会ったんです。

Q. きもんさんも地域づくり活動をしていたんですか?

きもんさん(以下きもん):私は長崎市の斜面地を中心に活動している古民家再生プロジェクトの方々のもとで勉強させてもらったり、長崎市の子育て支援フォーラムに参加したりしていました。医療系の活動ではないですが、看護学生としての視点を活かして街づくり活動に取り組みたいと考えており、りんりんと同じように人と人との触れ合いの場を作ることに必要性を感じていました。

Q. どうやって知り合ったんですか?

きもん:もともと同じクラスで、会ったら話す普通の友達でした。
りん:たまたま、会話の中で同じ方向に関心を持っていることを知ったんです。その時は、お互いに「そうなの!?」「やりたいよね!」っと盛り上がりました。
きもん:今では活動以外でも遊びに行く仲です♪

Q. 記念すべき1回目の活動はどんな活動?

きもん:長崎水辺の森公園で道ゆく人たちにお花を配る活動です。メンバーで「自己負担が大きくなってしまったとしても、やりたいことをやろう」と話して、農家さんからお花を50本購入。ラッピングして、「あなたが思うあの人へ」と書いたメッセージカードを添えて、見ず知らずの道ゆく人に配りました。
りん:受け取ってくれた人には「あなたが思うあの人へお花を贈ってみてください」と伝えました。普段、何気なく接している人と心を通わせるきっかけにしてほしいと思ったんです。

Q. くじら食堂(こども食堂&地域食堂)を始めたのはいつですか?

りん:2023年2月です。メンバーの1人が住吉町の教会の方と知り合いだったことから、その教会が「地域に居場所をつくりたい」という思いを持っていることを知りました。その思いはらしくじらの方向性と同じで、とても共鳴しました。そこで、協力してこども食堂を開くことにしたんです。場所と食材費は教会に提供していただき、わたしたちは企画の立案と実施、そしてチラシ配りをすることになりました。現在、月に1度開催しており、小中学生は無料、高校生以上は200円でカレーライスを提供しています。将来的には地域食堂にすることを目指しています。

※くじら食堂では宗教勧誘は一切ありません
※こども食堂は子どもとその保護者を対象としているのに対して、地域食堂はひとり暮らしのお年寄りや学生など誰でも受け入れる食堂のことです。

Q. 4回目を終えて、手応えはありますか?

りん:子どもたちは大学生と遊べる空間を楽しんでいました。アメリカからの留学生が参加した回では英語の歌を習うことができて、わたしたちも盛り上がりました。大学生にとっても、子どもたちとはもちろん学生同士の触れ合いができて学ぶことはたくさんあります。みんなが主体になれる空間はとても心地いいです。
きもん:これからは夏らしい企画も実施していく予定です。今、考えているのは竹を使ってソーメン流しをすること。準備段階から、子ども達と一緒にみんなで楽しみながら作り上げたいと思っています。

Q. くじら食堂で課題はありますか?

きもん:広報面での課題があります。チラシで興味を持ってくれても、両親の理解が得られずに参加を控える子どもが少なくないようなのです。地域の人と顔が見える関係性を築いて認知してもらうこと、大学生の活動への信頼度を上げていくことが求められていると感じます。
りん:そのために、地域のイベントなどに参加して活動内容をPRすることも考えています。夏のお祭りでは「大学生が質問に答えるブース」を作ってみたいと話しているところです。例えば、スマートフォンの使い方、ズームなどのアプリの使い方をレクチャーするなどのブースは需要があると思います。

Q. らしくじらの今後の目標を教えてください

きもん:現在は看護学専攻生を中心に、卒業した先輩(研修医)も含めて8人で活動しています。3、4年生が中心なので、1〜2年生のメンバーを増やしていきたいです。そして、まずはメンバーが自分らしく輝けるようなチームを作っていきたいです。
りん:大学生の活動は、厳しい制約がなく、何にでもトライできることが魅力です。わたしたちの活動では「やりたいこと」をベース。そのため、やりたいことを発言できる関係を作っているし、今後も続けていきたいと思っています。「どうせできないだろう」と思うことでもみんなで実現させていきたいです。

Q. やりたいことはまだまだたくさんありそうですね。

2人:やりたいことは尽きません!

貴重なお話をありがとうございました!


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